季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第13回は春だけのぜいたくな味わい、フレッシュな新玉ねぎを堪能!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 新玉ねぎが本格的に出回り始めた。爽やかな酸味が魅力の日本酒で、フレッシュさを味わおう

新玉ねぎが本格的に出回り始めた。爽やかな酸味が魅力の日本酒で、フレッシュさを味わおう

 新玉ねぎのシーズンだ。色白でみずみずしく、生でもおいしい味わいで人気が高い。一般的な玉ねぎは乾燥させることで保存性を高め、一年中食べることができるが、新玉ねぎを味わえるのは春の収穫後すぐに限られる。「まずはやっぱり生で食べましょうか。定番のオニオンスライスにパルミジャーノチーズをたっぷりのせ、オリーブオイルを回しかけました。新玉ねぎの魅力は辛味と甘味。その辛味は合わせるお酒を選ぶのですが、これを生かしたいと考えました。今回合わせたのは吾有事(わがうじ)という若き作り手が手がける山形の酒。軽快だけれど、小気味よい酸味と確かな旨味があります。お互いに味を引き立てつつ、玉ねぎの味わいが口の中でスッと溶けて消えていくのが心地よく、後を引きます」(平野さん)

レシピ1:新玉ねぎとパルミジャーノチーズのサラダ

 定番のオニオンスライスにひと工夫で粋な酒の肴に。血液をサラサラにしてくれる成分の硫化アリルは熱に弱いので、生で食べるのが栄養面からもおすすめだ。

画像: シャキシャキとした歯ごたえとともに、ほどよい辛味とフレッシュな甘味が口の中に広がって、手が止まらない美味しさ!

シャキシャキとした歯ごたえとともに、ほどよい辛味とフレッシュな甘味が口の中に広がって、手が止まらない美味しさ!

<材料 2人分>
新玉ねぎ1個、クレソン1束、かつお節ひとつかみ、パルミジャーノチーズ、オリーブオイル、醤油各適量

<作り方>
玉ねぎは薄切りにし、水に5分さらした後、水気をよく切る。クレソンをざく切りして混ぜる。
器に1の半量を盛り、削り節をのせる。ピーラーなどでチーズを削って散らし、これをもう一度繰り返す。オリーブオイル、醤油を回しかける。

レシピ2:新玉ねぎの鍋ロースト

 新玉ねぎは加熱した甘さも魅力。平野流は玉ねぎの断面にキャラメリゼを加えることがポイント。じっくり火の通った甘さと香ばしさをご堪能あれ。

画像: こんがりとキャラメリゼした玉ねぎは、コクのある甘味が引き出されたぜいたくな味わい

こんがりとキャラメリゼした玉ねぎは、コクのある甘味が引き出されたぜいたくな味わい

<材料2人分>
新玉ねぎ2個、ローリエ4枚、バター大さじ1、塩、黒こしょう

<作り方>
新玉ねぎは横半分に切る。
厚手の鍋にバターを熱し、切り口を下にして中弱火で焼く。焼き色がこんがりとついたら返して、塩少々をふり、ローリエを乗せ弱火で20分ふたをして加熱する。
火を止めてそのまま10分おき、余熱でさらに火を通す。

画像: 付け合わせとしても最強の新玉ねぎロースト。スカモルツァチーズをフライパン焼きしたものを添えれば、酒の進む一品料理に

付け合わせとしても最強の新玉ねぎロースト。スカモルツァチーズをフライパン焼きしたものを添えれば、酒の進む一品料理に

【今月のお酒セレクト:日本酒 奥羽自慢 吾有事 わがうじ 純米大吟醸 さんみ】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 山形県鶴岡に構える蔵。「吾有事」の新銘柄を立ち上げて、酒造りを一新。キリッとした酸味とまろやかさのバランスを感じる日本酒だ。「さんみという名前ですが、強い酸味ではなく、食べ物に合わせるのにちょうどいい、心地のよい酸味。玉ねぎだけでなく、野菜料理やフレンチなど、合う料理の幅が広いですね。日本酒の世界はどんどん変わってきているので、料理の合わせ方も広がり、楽しくて仕方ありません」(平野さん)

平野由希子

素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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