季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第16回は、梅雨の季節にシャキッとした味わいが心地よい新生姜を楽しむ!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 高知県産の新生姜料理に「マキノジン」を合わせて

高知県産の新生姜料理に「マキノジン」を合わせて

 初夏の薬味の定番・新生姜は、梅雨の季節を憂う頃に旬を迎える。この時期は梅、実山椒、らっきょうなど保存食作りの頃でもある。新生姜の甘酢漬けも6月の季節行事のひとつだ。収穫して直後の生姜は、先端に鮮やかな紅い茎をつけて色白だ。細長く、肌は美しく食感もなめらか。「採れたての新生姜は、みずみずしくて辛味も穏やか。たっぷりと使いたいですね。日本の夏の料理には、日本のクラフトジンを合わせてみましょうか」(平野さん)

 生姜の生産量は高知県が約40%を占めている。今回のお酒のセレクトは高知の司牡丹酒造による「マキノジン」。植物学者・牧野富太郎博士が亡き妻、寿衛子夫人の名を付けた「スエコザサ」をキーに生姜など12種類のボタニカル原料を使用。「柑橘とウッディな香りのジンは、食事と一緒に楽しむのにほどよい爽やかさ。土佐の緑や自然に思いを馳せるような味わいです。料理と合わせるとスーっとした爽やかさが重なり合い、口の中に心地良さが広がっていくようです」(平野さん)

レシピ1:新生姜のピクルス

みょうがと共に漬けた甘さ控えめのピクルスは、さっぱりとした初夏の味。漬け込むと薄紅色に全体が変わっていく様もまた美しい。

画像: 薄切りにしたものは翌日が食べ頃に、ブロック状のものは数日後が食べ頃になる

薄切りにしたものは翌日が食べ頃に、ブロック状のものは数日後が食べ頃になる

<材料 作りやすい分量>
新生姜300g、みょうが3本 A [白ワインヴィネガー1/2カップ、水1カップ、砂糖大さじ2〜3、塩小さじ2/3、ローリエ1枚]

<作り方>
[A]の調味液をひと煮立ちさせ、粗熱がとっておく。
新生姜はたわしで皮を洗い、半分は薄切り、半分は小さめの固まりのまま使う。みょうがは縦半分に切る。湯を沸かし、10秒程度さっとゆで、ざるにあけ、冷ます。
を入れて漬け込む。翌日くらいから食べられる。

画像: 甘酢漬けよりも甘さが控えめで、さっぱりした味わい

甘酢漬けよりも甘さが控えめで、さっぱりした味わい

画像: 「生ハムやマンゴーとともに食べるのがお気に入りです。お酒がすすんで困りますが」(平野さん)

「生ハムやマンゴーとともに食べるのがお気に入りです。お酒がすすんで困りますが」(平野さん)

レシピ2:新生姜と豆もやしのナムル

 シンプルな塩味のナムルにたっぷりと新生姜を加えたレシピ。しゃきしゃきの食感と新生姜の鮮烈な香りが爽やかで、飽きのこないおいしさ。

画像: 食べ慣れたナムルに新生姜が加わるだけで、新鮮で贅沢な大人のための味わいに

食べ慣れたナムルに新生姜が加わるだけで、新鮮で贅沢な大人のための味わいに

<材料 作りやすい分量>
新生姜50g、豆もやし1袋 A [ごま油大さじ1、すりごま大さじ2、塩小さじ1/2]

<作り方>
新生姜はたわしで皮をこすって洗い、繊維に沿って千切りにする。
鍋に豆もやしとひたひたになるくらいの水、塩を入れて、蓋をして火にかける。沸騰したら弱火にして3分ゆで、ざるにあげて水気を切る。
を[A]で和える。

【今月のお酒セレクト:司牡丹酒造 マキノジン】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 高知県佐川町出身の世界的植物学者、牧野富太郎博士にちなんだ「マキノジン」。司牡丹酒造の一角は、かつて博士の生家があった場所。この地を「マキノ蒸留所」と名付け、高知県産のグアバや柑橘などを使用してジンを製造。「日本のボタニカル素材を使ったジンは飲み疲れせず、食中酒に最適な味わいです。土佐料理など和食にも合うでしょうし、夏の間じゅう飲んでしまいそうです」(平野さん)

平野由希子

素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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