「おいしいものは身体にいいのよ」。有元葉子さんはしばしばこの言葉を口にする。「野菜が身体にいいのはもちろんです。ただ、運動したら、肉や揚げものをたっぷり食べたいし、疲れたときには甘いものが欲しくなります」と有元さん。「見知らぬ土地で、スマホ頼みではなく、太陽の位置や見える景色を頼りに歩くと認知機能が高まると聞きました。食べることについても同様に、自分の身体の声を頼りにしてはいかがでしょう」有元葉子さん直伝の、真っ当においしく、体にやさしい理にかなった調理法と食べ方をお届けします。第1回は、絶品フライドポテト!

RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: 有元流フライドポテトはほんのひと手間で、まわりがカリッカリッ。中はホクホク

有元流フライドポテトはほんのひと手間で、まわりがカリッカリッ。中はホクホク

「揚げものは、油の質が大切です」

 情報が氾濫する今、私たちは“体によい”と言われればその食材を選び、反対ならやみくもに避けてしまっていないだろうか。例えば、揚げもの。おいしいけれど、“カロリーが高くてヘルシーではないから”、“太りたくないから”と控えている方も少なくないだろう。
「古い油を使っていたり、揚げてから時間が経ったりしたものは、油が酸化し、体にいいとは言えませんね。新しい油を使い、揚げ立てをいただけば、油の酸化は最低限で済むのです。だから、揚げものは家庭でするのがおすすめね」と有元さん。
「揚げる作業は大変と思われがちですが、調味に凝る必要はなく、油の力で素材の味を閉じ込めてくれるので、揚げるだけでおいしくなるんです」

 まず大切なのは、油の選び方。「原料は何か、どうやって作られているかを知ってから選んで欲しいのです。ラベルにすべてが書かれているわけではありませんが、せめて生産国は確認しましょう。私はイタリア産のオリーブオイルと、日本で作られた太白ごま油を使っています」

 そして、油の使い方にもコツがある。「最初は、野菜の素揚げに使います。二回目は、かき揚げなど衣をつけた野菜類や、ドーナッツなどの甘いお菓子。最後に、肉や魚を揚げておしまい。
油は早めに使いきることが大切です」

 今回はおろしたての油を使って、フライドポテトを。コツは、じゃがいもをゆでておくこと。じゃがいものでんぷんで、揚げ上がりがねっちりなってしまいがちだが、ゆでることででんぷんが流れ落ち、表面がカリッ、サクッに。次から次へと手が伸びるおいしさ。余ったら(多分、余らない…)、フライパンににんにくとバターを熱してフライドポテトを合わせ、溶き卵を加えて、薄焼きのフリッタータ(オムレツ)に。

<材料>
じゃがいも

揚げ油

<作り方>

画像: 1 じゃがいもは皮をむいて、くし形に切る。海水くらい(なめて塩からい程度)の塩水に15〜20分浸け、水で2〜3回ゆすぐ

1 じゃがいもは皮をむいて、くし形に切る。海水くらい(なめて塩からい程度)の塩水に15〜20分浸け、水で2〜3回ゆすぐ

画像: 2 鍋に1と同じ濃度の塩水を沸かし、1を入れて、5分煮る

2 鍋に1と同じ濃度の塩水を沸かし、1を入れて、5分煮る

画像: 3 ざるにあげてしばらくおく。熱くて水分がすぐに切れるため、じゃがいもをキッチンペーパなどでふかなくてすむ *この状態で冷凍可能。冷凍のまま揚げられる

3 ざるにあげてしばらくおく。熱くて水分がすぐに切れるため、じゃがいもをキッチンペーパなどでふかなくてすむ
*この状態で冷凍可能。冷凍のまま揚げられる

画像: 4 揚げ鍋にたっぷりの揚げ油(今回はオリーブオイル)を入れる。写真で使用しているのは、有元さん考案の揚げ鍋。カゴに素材を入れ、そのまま油に入れて揚げて、鍋の取手にカゴをかければ油切りもできる。揚げ鍋がなくても、深さのある鍋や中華鍋でもよい。深いほうが油のはねが少なくてすむ。はね防止網をのせれば、油が飛ぶのを防ぐことができるので便利

4 揚げ鍋にたっぷりの揚げ油(今回はオリーブオイル)を入れる。写真で使用しているのは、有元さん考案の揚げ鍋。カゴに素材を入れ、そのまま油に入れて揚げて、鍋の取手にカゴをかければ油切りもできる。揚げ鍋がなくても、深さのある鍋や中華鍋でもよい。深いほうが油のはねが少なくてすむ。はね防止網をのせれば、油が飛ぶのを防ぐことができるので便利

画像: 5 揚げ油を中温(170℃)に熱し、3のじゃがいもを入れる。量は、じゃがいも同士がくっつかないくらいがよい。最初は細かい泡がたくさん出る

5 揚げ油を中温(170℃)に熱し、3のじゃがいもを入れる。量は、じゃがいも同士がくっつかないくらいがよい。最初は細かい泡がたくさん出る

画像: 6 途中で全体をゆすって万遍なく油に浸かるようにする。カゴでなければ、網杓子などですくい上げてから再び入れる作業を繰り返す

6 途中で全体をゆすって万遍なく油に浸かるようにする。カゴでなければ、網杓子などですくい上げてから再び入れる作業を繰り返す

画像: 7 中温でゆっくりじっくりあげていくと、周囲がカリッとなる。泡が大きく少なくなってきて、こんがりきつね色になったら揚がった証拠

7 中温でゆっくりじっくりあげていくと、周囲がカリッとなる。泡が大きく少なくなってきて、こんがりきつね色になったら揚がった証拠

画像: 8 網などに移し、全体に塩を振る

8 網などに移し、全体に塩を振る

画像: 有元葉子(ありもとようこ) 料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。 公式サイトはこちら

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら

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