RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA
![画像: 牛肉は大ぶりに切って。お箸でいただけるほどやわらかく煮込んだ牛肉を堪能してほしい。ゆで卵を加えても。その場合は、最後に加えて少し煮たら完成](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/ba6763bbf9670f6fac3b901e4f24f95324a86995_large.jpg#lz:xlarge)
牛肉は大ぶりに切って。お箸でいただけるほどやわらかく煮込んだ牛肉を堪能してほしい。ゆで卵を加えても。その場合は、最後に加えて少し煮たら完成
「ひたすら煮込むだけ。とろける牛肉の贅沢な味わいをどうぞ」
「醤肉(ジャンロウ)」は牛肉の中国風醬油煮。長時間煮て、とろけるようになった肉はお箸でちぎれる。牛の脂をしっかり取り除き、酒と醤油だけで煮込むので、すっきりキレのよい仕上がりに。酒の肴によし、白いご飯のおかずにもよし。
「お肉の料理ではありますが、肉の旨みを吸った干し椎茸と昆布のおいしさは格別です。我が家では、干し椎茸と昆布の料理と呼んでいるほど」
牛の「ブリスケ」という部位を使う。ブリスケとは、前足の付け根あたりの前側部分。よく動かすところなので、筋肉質で硬め。コラーゲンが多く、煮込み料理によく使われる。手に入らなければ、すね肉でもよい。「牛肉は煮ると縮みますから、半分に切ったりせず、大きいまま煮込みます。ことことひたすら煮込むだけなので時間はかかりますが、手はかかりません。せっかくならたくさん作って、残りは切り分けて牛丼に、ラーメンに。刻んで粒山椒と一緒にご飯に混ぜても」
上手に作るポイントは、塊肉がちょうど入る深めの鍋を用意すること。クッキングシートと落とし蓋をして水分が蒸発しすぎないようにし、煮汁を対流させて味が全体に均一にしみこむようにする。また、クッキングシートについた余分な脂を取り除けば、すっきりした味わいになる。2日間かけてじっくり煮込むので、味がしっかりしみて、口の中でスッと溶けるような肉のやわらかさを味わえる。
![画像: 「ひたすら煮込むだけ。とろける牛肉の贅沢な味わいをどうぞ」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/86d2e92c8178a6ffcbeb8dc39cf5a25ccad704e7_large.jpg#lz:xlarge)
<材料 作りやすい分量>
牛のブリスケ 800g〜1kg
昆布 25cm角1枚
干し椎茸(どんこ) 7〜8枚
生姜 大1個
酒 1カップ
醤油 1/2カップ〜1カップ
<作り方>
![画像: 1 肉を深鍋に入れ、水をひたひたに入れる。強火にかけ、煮立ったらアクをすくい、火を弱める](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/e9248660404b6944a84851f8a8d430aeb59c7df1_large.jpg#lz:xlarge)
1 肉を深鍋に入れ、水をひたひたに入れる。強火にかけ、煮立ったらアクをすくい、火を弱める
![画像: 2 干し椎茸は石突きを取り、笠と軸に切り分ける。生姜は皮付きのまま2〜3等分する。1の鍋に昆布、干し椎茸、椎茸の戻し汁、生姜、酒を加え、1時間ほど煮る。常に肉が水分に浸っている状態をキープできるよう、水を適宜足しながら煮る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/dff5ad514161a86f27cc0481c6467ef8fa3f123b_large.jpg#lz:xlarge)
2 干し椎茸は石突きを取り、笠と軸に切り分ける。生姜は皮付きのまま2〜3等分する。1の鍋に昆布、干し椎茸、椎茸の戻し汁、生姜、酒を加え、1時間ほど煮る。常に肉が水分に浸っている状態をキープできるよう、水を適宜足しながら煮る
![画像: 3 2に醤油1/4カップほど加える。煮汁の水位が肉よりも下がってきたら、クッキングシート、落とし蓋の順にのせ、さらに30分ほど煮る。出汁だけ少し飲んでみて、おいしいと感じるくらいの味加減にする。足りなければ醤油を足す。この状態のまま、次の日までおく(暖かい季節なら粗熱をとって冷蔵庫へ。真冬ならそのまま)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/65bc2801131d888b50a9ad8f82237ea8d981a981_large.jpg#lz:xlarge)
3 2に醤油1/4カップほど加える。煮汁の水位が肉よりも下がってきたら、クッキングシート、落とし蓋の順にのせ、さらに30分ほど煮る。出汁だけ少し飲んでみて、おいしいと感じるくらいの味加減にする。足りなければ醤油を足す。この状態のまま、次の日までおく(暖かい季節なら粗熱をとって冷蔵庫へ。真冬ならそのまま)
![画像: 4 次の日、落とし蓋と脂がついているクッキングシートを取り、出汁に残っている白い脂の塊も丁寧に取り除く。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/5aaa8f498801eb6850084303c414831952d6c442_large.jpg#lz:xlarge)
4 次の日、落とし蓋と脂がついているクッキングシートを取り、出汁に残っている白い脂の塊も丁寧に取り除く。
![画像: 5 やや強火に4をかけ、沸いてきたら弱火にし、味見をしながら醤油を適宜足して1時間ほど煮る。火を止め、そのまま冷ます。食べる直前に温め直し、肉、椎茸、昆布を食べやすく切り、汁と共に器に盛る](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2024/03/04/3da8f6fe3136c9d0de0370b5288cb02d38cd748b_large.jpg#lz:xlarge)
5 やや強火に4をかけ、沸いてきたら弱火にし、味見をしながら醤油を適宜足して1時間ほど煮る。火を止め、そのまま冷ます。食べる直前に温め直し、肉、椎茸、昆布を食べやすく切り、汁と共に器に盛る
![画像: 有元葉子(ありもとようこ) 料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。 公式サイトはこちら](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/06/19/096ccdcbd0cebcace881d7eb8f17090b0ff97784_large.jpg#lz:xlarge)
有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら