BY YUKIKO HIRANO

ごぼう料理に合わせるのは京都・丹後の赤い日本酒
おせちや豚汁など、冬の料理に欠かせないごぼう。実はさまざまな品種があるが、よく見かけるごぼうは東京・滝の川が原産の「滝の川ごぼう」だ。「ごぼう特有の土の香りを生かした料理には、私はいつもメルローやピノ・ノワールを合わせてきました。きんぴらをつくると、自動的に赤ワインを開けてしまうくらい(笑)。長いことそうしてきたので、今回は目先を変えて日本酒とのペアリングを。選んだお酒はワインを思わせるような色をしていますが、赤色の古代米からつくられた純米酒。甘酸っぱさと濃厚さを持ち合わせているので、その味が引き立つようなごぼう料理をお届けします」(平野さん)
レシピ1:ごぼうの酢醤油漬け
大ぶりに切ったごぼうの歯応えがいい酒のつまみ。さっぱりとした味は食べだすと止まらず、盃もすすむ。

酢醤油の味と相性抜群な甘酸っぱさのある酒。燗酒にして楽しむのもいい
<材料 作りやすい分量>
ごぼう150g、醤油大さじ4、酢大さじ3、みりん大さじ2、昆布5cm×2cm1枚、赤唐辛子1本
<作り方>
1 ごぼうは皮をたわしでこすって洗い、5cmの長さに切る。細いところは縦半分に、太いところは四つ割りにする。
2 保存容器に醤油、酢、みりん、昆布、赤唐辛子を入れておく。
3 鍋に湯を沸かし、ごぼうを入れて2〜3分ゆで、ざるにあけて湯をきり、熱いうちに2に加え、6時間以上漬け込む。

つくり置きも効く。おせちにもおすすめの一品だ
レシピ2:ごぼうと牛すじの赤ワイン煮
とろりと柔らかい牛すじ煮込み。たっぷりと入ったごぼうは、赤ワイン煮込みを味わい深く、風味豊かな料理にしてくれる。

レーズンとはちみつの入ったまろやかな煮込み。赤ワインを合わせるのももちろんいいが、酸味の効いた日本酒との組み合わせが新鮮
<材料 4人分>
ごぼう200g、牛すじ肉400g、玉ねぎ1個、舞茸1パック、レーズン30g、赤ワイン1カップ、はちみつ小さじ2、醤油大さじ1/2、ローリエ1枚、クローブ3粒、バター大さじ1、塩、こしょう各適宜、青ねぎ適宜
1 牛すじ肉は水洗いをする。鍋に水と牛すじ肉を入れて沸騰させる。1分ほどゆでた後、ざるにあけて水洗いし、食べやすい大きさに切る。
2 圧力鍋に、牛すじ肉、ローリエ1枚、クローブ3粒、かぶるくらいの水を入れて10〜15分加熱する。または、普通の鍋で弱火で1時間半ゆでる。
3 ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、乱切りにする。玉ねぎは繊維を断つようにして薄切りにする。舞茸は小房に分ける。
4 鍋にバターを熱し、玉ねぎに塩を加えてしんなりするまで炒め、ごぼうも加えて炒め煮する。よく炒め煮した後、牛すじ肉を加えて炒め合わせる。
5 赤ワインを加えてひと煮立ちさせる。牛すじ肉のゆで汁1カップ、はちみつ、醤油、塩を加えて1時間煮る。舞茸、レーズンも加えて30分煮て、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、青ねぎの小口切りを散らす。
【今月のお酒セレクト:向井酒造 伊根満開】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
ロゼワインのような鮮やかな色の新しいタイプの日本酒。京都・丹後の創業260年の造り酒屋で紫小町という古代米でつくられる。「果実のような甘酸っぱさで、肉料理、チーズ、スパイス料理などに合わせてもよさそうです。飲み方も燗、ロック、ソーダ割りもいい。楽しみ方が広がる日本酒です」(平野さん)。
ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!
平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる
撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!
撮影/ローラン麻奈

『ma cuisine おいしさの引き出し方』
著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら
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