季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第22回は、本格的な冬が訪れる食卓にぴったりの、ごぼうと日本酒のペアリングをご紹介

BY YUKIKO HIRANO

画像: ごぼう料理に合わせるのは京都・丹後の赤い日本酒

ごぼう料理に合わせるのは京都・丹後の赤い日本酒

 おせちや豚汁など、冬の料理に欠かせないごぼう。実はさまざまな品種があるが、よく見かけるごぼうは東京・滝の川が原産の「滝の川ごぼう」だ。「ごぼう特有の土の香りを生かした料理には、私はいつもメルローやピノ・ノワールを合わせてきました。きんぴらをつくると、自動的に赤ワインを開けてしまうくらい(笑)。長いことそうしてきたので、今回は目先を変えて日本酒とのペアリングを。選んだお酒はワインを思わせるような色をしていますが、赤色の古代米からつくられた純米酒。甘酸っぱさと濃厚さを持ち合わせているので、その味が引き立つようなごぼう料理をお届けします」(平野さん)

レシピ1:ごぼうの酢醤油漬け

 大ぶりに切ったごぼうの歯応えがいい酒のつまみ。さっぱりとした味は食べだすと止まらず、盃もすすむ。

画像: 酢醤油の味と相性抜群な甘酸っぱさのある酒。燗酒にして楽しむのもいい

酢醤油の味と相性抜群な甘酸っぱさのある酒。燗酒にして楽しむのもいい

<材料 作りやすい分量>
ごぼう150g、醤油大さじ4、酢大さじ3、みりん大さじ2、昆布5cm×2cm1枚、赤唐辛子1本

<作り方>
ごぼうは皮をたわしでこすって洗い、5cmの長さに切る。細いところは縦半分に、太いところは四つ割りにする。
保存容器に醤油、酢、みりん、昆布、赤唐辛子を入れておく。
鍋に湯を沸かし、ごぼうを入れて2〜3分ゆで、ざるにあけて湯をきり、熱いうちにに加え、6時間以上漬け込む。

画像: つくり置きも効く。おせちにもおすすめの一品だ

つくり置きも効く。おせちにもおすすめの一品だ

レシピ2:ごぼうと牛すじの赤ワイン煮

 とろりと柔らかい牛すじ煮込み。たっぷりと入ったごぼうは、赤ワイン煮込みを味わい深く、風味豊かな料理にしてくれる。

画像: レーズンとはちみつの入ったまろやかな煮込み。赤ワインを合わせるのももちろんいいが、酸味の効いた日本酒との組み合わせが新鮮

レーズンとはちみつの入ったまろやかな煮込み。赤ワインを合わせるのももちろんいいが、酸味の効いた日本酒との組み合わせが新鮮

<材料 4人分>
ごぼう200g、牛すじ肉400g、玉ねぎ1個、舞茸1パック、レーズン30g、赤ワイン1カップ、はちみつ小さじ2、醤油大さじ1/2、ローリエ1枚、クローブ3粒、バター大さじ1、塩、こしょう各適宜、青ねぎ適宜

牛すじ肉は水洗いをする。鍋に水と牛すじ肉を入れて沸騰させる。1分ほどゆでた後、ざるにあけて水洗いし、食べやすい大きさに切る。
圧力鍋に、牛すじ肉、ローリエ1枚、クローブ3粒、かぶるくらいの水を入れて10〜15分加熱する。または、普通の鍋で弱火で1時間半ゆでる。
ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、乱切りにする。玉ねぎは繊維を断つようにして薄切りにする。舞茸は小房に分ける。
鍋にバターを熱し、玉ねぎに塩を加えてしんなりするまで炒め、ごぼうも加えて炒め煮する。よく炒め煮した後、牛すじ肉を加えて炒め合わせる。
赤ワインを加えてひと煮立ちさせる。牛すじ肉のゆで汁1カップ、はちみつ、醤油、塩を加えて1時間煮る。舞茸、レーズンも加えて30分煮て、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、青ねぎの小口切りを散らす。

【今月のお酒セレクト:向井酒造 伊根満開】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 ロゼワインのような鮮やかな色の新しいタイプの日本酒。京都・丹後の創業260年の造り酒屋で紫小町という古代米でつくられる。「果実のような甘酸っぱさで、肉料理、チーズ、スパイス料理などに合わせてもよさそうです。飲み方も燗、ロック、ソーダ割りもいい。楽しみ方が広がる日本酒です」(平野さん)。

ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!

 平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

画像: 「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる 撮影/ローラン麻奈

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる

撮影/ローラン麻奈

画像: 驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に! 撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!

撮影/ローラン麻奈

画像: 『ma cuisine おいしさの引き出し方』 著者:平野由希子 判型:B5変形判・240ページ 価格:¥4,180 発行:誠文堂新光社

『ma cuisine おいしさの引き出し方』

著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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