TEXT & PHOTOGRAPHS BY MARI KATSURA
辻 和美さんの著書『わたしの中国茶』

『わたしの中国茶』 辻和美 著/BON BOOK ¥2,800
全国の無印良品 MUJI BOOKSなどで販売中
金沢のガラス作家辻和美さんに久しぶりにソウルで会った。その時にもうすぐ中国茶の新刊を出すと話してくれて、ちょうど1950年代の台湾の茶葉貿易商の一人娘が主人公のドラマ『茶金 ゴールドリーフ』を観たばかりだったのでお勧めしてみた。そしてその辻さんの新刊が『わたしの中国茶』だ。
これまで辻さんから教えてもらったことはたくさんあり、韓国の白磁、台湾のお茶など美しいものと美味しいものの経験で満ちている。そんな彼女が中国茶の沼にハマり、茶具を作る。この本は、個性豊かな茶具や雲南省の茶畑に出向いた茶の里体験記、金沢に2024年にオープンしたショップ&ギャラリー「factory zoomer/life」での茶話会の様子などが、幾度も愛でたくなる写真と文で綴られている。茶具は非日常へのスイッチであり、愛がないものは作らないという。自由で懐の深い中国茶の世界と、辻さんの審美眼に適った国内外の工芸の世界に誘ってくれる。ふとした美味しい癒しの時間を習慣にしたくなる、中国茶入門にもうってつけだ。
FRAGILE BOOKS
公式サイト
2025大阪・関西万博のジャシードとミートパイ
話題の万博のメディアツアーに弾丸日帰りで参加してきた。新大阪駅から地下鉄で30分弱で夢洲に到着。駆け足で5つのパビリオンを巡ったが、各国の文化、歴史、技術や目標などに触れ、百聞は一見にしかず、期待を超える充実した体験だった。
UAEパビリオンでは、万博での経験からいろいろなインスピレーションを吸収して欲しいとの想いを担った、5,000人から選ばれたUAEのユース・アンバサダーのひとりが館内を案内してくれた。

UAEパビリオンは「大地から天空へ」がテーマ。最長16メートルある天井を支える90本の棗椰子の葉軸(ラキス)の柱は圧巻。棗椰子の木の甘い香りが漂いヒーリング効果がある
白い空間を白い民族衣装のカンドゥーラでスタッフが歩く姿も美しいレストランでは、客人をもてなす伝統料理がメニューに並ぶ。

エミラティ料理を体感できるレストランも。写真は小さなサメ肉をスパイスで茹でてほぐし、炒めたジャシード。金曜日の夜のファミリーデイに家庭で食べる伝統食。万博期間中にレストランのメニューに登場するかも

(左)UAE万博事務局統括責任者のマリアム・アルメマリ。UAE中央銀行のユースカウンシル議長を務め、シニア・スペシャリストとしても活躍していた。「人と革新をつなげ、全人類が直面する課題に取り組む」という使命のもとに邁進中だ (右)「UAEの味覚をめぐる一週間の旅」という若手シェフによる美食体験イベントも。1週目の料理を担当したマイサ・アル・シャムシシェフ
次回2027年のベルグラード万博を控えたセルビアのパビリオンは、「浮かぶ森」がコンセプト。外観に3000種の植物を使っているのはここだけだ。1階にあるレストランだけでの利用も可能なのだが、こちらのミートパイが美味しいと話題なのだ。初めての美味に出合えるのも万博の楽しさのひとつだ。すでに30万人が訪れているという。

(左)セルビアのミートパイ。ワインにも合う!¥780 (右)セルビアのクッキー。ヴァニリツェ 3個¥300

セルビアの次回の万博のテーマは「プレイ フォー ヒューマニティ」で、スポーツやカルチャーに特化するのだそう
マレーシアパビリオンでも屋台メニューなどがたくさん展示されていて、マラッカなど行ってみたいところを再確認。こちらはレストランだけの利用もでき、バナナリーフで三角に包んだおにぎりのようなナシレマなどが人気メニューだそうだ。

マレーシアの展示のタイルにも心高鳴る
自然と資源豊かなコロンビアパビリオンも美しく、氷をイメージした外観も印象的。コロンビアは標高2600メートルの場所は寒く、地域によって異なる魅力があるという。世界のためにも大切にしたいアマゾンや海の生物たち、4270種のランや1900種の鳥類などで知られる国のカラフルな映像も魅力的だ。カーネーションの70%はコロンビアからの輸入ということも知る。

コロンビアパビリオン
「一粒の塩に宇宙を観る」がテーマのパキスタンパビリオンでは、ピンクロットソルトというピンクソルトの柱が並ぶ。床にも敷き詰められ、塩のミストも漂い、岩塩療法を体感できる癒しの空間になっていて興味深い。岩塩は国の宝だという。

(左)パキスタンは世界第2位の塩の生産国で、年間約300万トン採掘されているという。美容プロダクツにも活かしていきたいそう (右)パキスタンの美しいムルタン焼きやアジュラックという染め物といった伝統工芸品も展示されている
今回の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。各国のナショナルデーや特別なイベントもあるのも万博ならでは。通いたくなると興奮気味に語っていた友人の気持ちがわかった。世界の食べ歩きをしに再訪したい!

さまざまな建築を見て歩くのも楽しい

(左)足元にもミャクミャク (右)人気のフランス館付近で。噴水のショーなども、万博のシンボル、一周2キロの大屋根リングから見渡せる
大阪・関西万博
会期:4月13日(日)〜10月13日(月)
公式サイトはこちら
野毛テポチの韓国料理
食いしん坊友達に導かれて行った店は、ずっと気になっていた野毛にあった。ハシゴ飲みが楽しそうなエリアでの韓国料理も楽しい。チャーミングな店構えが、京都の食いしん坊番長天野準子さんが連れて行ってくれた「ピニョ食堂」や、釜山の大好きなマッコリまで飲めて感動した「ははは」、「ミリネヤンコプチャン」にどこか似ているなと思ったら、やはり姉妹店と聞いて納得。

韓国版ハンバーグのようなトッカルビ¥1,925。サンチュに包んで

鶏モモ、砂ずり、トッポッキなどを揚げたノゲット¥1,012

手が止まらなくなる韓国のりフライドポテト ¥429

ナムル盛り合わせ¥682
「テポチ」とは、韓国の一杯飲み屋のことだそうだ。“小さな韓国”がここにもある! シグネチャーメニューのトッカルビのほかにも魅惑のメニューがたくさん。生マッコリと一緒に楽しみに、またすぐに寄りたい!

(左)桜木町駅から徒歩3分で行ける“韓国” (右)オープンは昨年の4月
野毛テポチ
住所:神奈川県横浜市野毛3-125-1
営業時間:11:00~23:00
不定休
TEL: 045-315-5111
公式インスタグラム
桂まり
雑誌「SPUR」「eclat」などで、フード&トラベル、インタビュー記事を担当するライター。趣味は世界各国で料理教室に行くこと。温泉保養士。Instagramはこちら
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