美味なるものと出合える大分県、由布院温泉へ。“おしゃれ食いしん坊ライター”の桂まりが堪能した、目にも舌にもうれしい美味3選をお届け

TEXT & PHOTOGRAPHS BY MARI KATSURA

ジビエも楽しめる季節の会席料理

 久しぶりに由布院温泉へ。棚田を囲む星野リゾートの温泉旅館「界 由布院」で、非日常の景色と美味しい和食を味わい尽くした!

画像: 棚田を囲むようにメイン棟、客室棟や離れがある

棚田を囲むようにメイン棟、客室棟や離れがある

 縁側のような棚田テラスに座れば目には緑の棚田が広がり、風が語りかけるように音を奏でる風鈴がいくつも軒を飾る。今回滞在したのは5つある湯小屋つきの離れ客室のひとつ、ご当地部屋「蛍かごの間(くぬぎ離れ)」だ。大分県はマダケ竹材の生産量が日本一だそうで、伝統工芸でも知られ、内装や外装にも竹がふんだんに使われていて落ち着く。客室に用意された摘み草せんべいも、季節の山野草を押し花のように焼き込んであり美しい。天気が良ければ薔薇色の夕焼けがとても綺麗で、6月ごろなら蛍に会えることもあるそうだ。

 棚田を見下ろすカウンター席での夕食、「山のももんじ鍋会席」は、先付け「猪と椎茸の最中パテ」からスタート。鮑真薯の煮物椀に癒され、かぐや姫のように華やかに竹に盛られたお造りなどの「宝楽盛り」が続き、棚田の向こうの山の景色にも溶け込む演出に感激だった。合鴨ロースのオレンジ酢味噌かけ、苦瓜とえんどう豆の和え物など、どれも美味しい! イタリアンレストランなどでもメニューに鹿を見つけたら必ず選ぶ派なので、鍋のベースとなる生姜と黒胡椒入りの鹿のコンソメもしっかりと味わい尽くした。鍋は最後に締めの蕎麦を入れるととろみが加わりさらに美味。デザートのやっこめ(焼いた米)のミルク煮・麦茶のゼリーも食感が楽しく香ばしい。

画像: 先付けの猪と椎茸の最中パテ。大分のブランド甘薯・甘太くんを使った香りの良い芋焼酎熊八伝説と

先付けの猪と椎茸の最中パテ。大分のブランド甘薯・甘太くんを使った香りの良い芋焼酎熊八伝説と

画像: 山のももんじ鍋の猪、豚、鶏。ももんじとは百獣のことなのだそう

山のももんじ鍋の猪、豚、鶏。ももんじとは百獣のことなのだそう

画像: 宝楽盛り。酢の物の河豚皮と鶏皮のぽん酢ジュレもマイタイプ

宝楽盛り。酢の物の河豚皮と鶏皮のぽん酢ジュレもマイタイプ

画像: 揚げ物の鱧の薄衣揚げなど、目の前であげたかのように熱々で感激。レモン塩で

揚げ物の鱧の薄衣揚げなど、目の前であげたかのように熱々で感激。レモン塩で

 部屋に戻ると、竹籠に蛍が光を放つような「蛍かご照明」の光と影が一層美しく、見惚れてしまった。シンプルで無駄のない建築・デザインは、「界 別府」と同じく隈研吾氏が担当した。

画像: 離れのリビング。竹材が豊富に使われていてリラックスできる

離れのリビング。竹材が豊富に使われていてリラックスできる

画像: 蛍かご照明にひと目惚れした寝室

蛍かご照明にひと目惚れした寝室

画像: 湯小屋つきの離れでは、野鳥の声を聴きながらくつろげる

湯小屋つきの離れでは、野鳥の声を聴きながらくつろげる

朝食で堪能する大分の美味

画像: 郷土料理のだんご汁がうれしい朝食

郷土料理のだんご汁がうれしい朝食

 展望台のようなテラスで、界ならではの「現代湯治体操」で体をほぐし、深呼吸。由布岳を望む大浴場に寄ってからいただく朝食は、温泉保養士歴15年の私にとってまさに夢のようなコースだ。大浴場にぬる湯があるのも嬉しい。ちなみに由布院温泉は別府に次ぐ国内第二の湯量と源泉数を誇り、泉質は主に単純温泉またはアルカリ性単純温泉。まるで温泉成分の幕の内弁当のように様々な成分を含む、肌に優しい保湿効果のある湯で知られる。奈良時代から親しまれてきたその湯に身を任せ、湯上がり処のはだか麦茶ペパーミントブレンドでひと息ついてから食事処へ。

 朝食は大分ならではの椎茸や郷土料理をちりばめた見目麗しい和朝食!大分の長湯温泉でも食したことのあるだんご汁で温まる。水が豊かだからかご飯も美味しい。しつらいの美しさもご馳走で、ご当地ジュースから始まる洋食も選ぶことができる。

画像: 炭火焼きの具材は7月末以降変更予定

炭火焼きの具材は7月末以降変更予定

画像: 由布岳を臨む大浴場の露天風呂

由布岳を臨む大浴場の露天風呂

九州ならではの焼酎三昧

画像: 焼酎飲み比べもできる

焼酎飲み比べもできる

 ここは九州。焼酎好きなら、15時から17時に振舞っている焼酎カクテルと甘酒を。かぼすの香りが爽やか!焼酎好きにはたまらない飲み比べも体験できる。また、全国の「界」で楽しめる「ご当地楽」も。こちらでは「わら綯(な)い体験」が経験でき、小さなお守りを作ることができて旅の思い出となった。訪れたのは緑滴る季節だったので、全方位緑に囲まれたせいか、眼の疲れも取れ、視界がクリアに。楽しく養生するにはうってつけの場所だ。

 今回は久しぶりに福岡を起点に温泉旅を満喫した。食いしん坊にとって注目せずにはいられない九州・山口エリア。星野リゾートは、12月には、1日に500隻の船が行き来する関門海峡を眼下に臨む、リゾナーレ下関の開業も予定。たっぷりの海の幸が期待でき、こちらも楽しみ!

画像: 甘酒もかぼすの皮の香りがアクセント

甘酒もかぼすの皮の香りがアクセント

画像: 当日先着制のわら綯い体験

当日先着制のわら綯い体験

画像: わら綯いで完成したお守り

わら綯いで完成したお守り

界 由布院
住所:大分県由布市湯布院町川上398番
料金:一泊¥38,000~(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込、夕朝食付き)
TEL. 050-3134-8092(界予約センター)
公式サイト

桂まり
雑誌「SPUR」「eclat」などで、フード&トラベル、インタビュー記事を担当するライター。趣味は世界各国で料理教室に行くこと。温泉保養士。Instagramはこちら

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