BY YUKIKO HIRANO

えのきたけ&ジュラのシャルドネで初秋のごちそう
日本でいちばん生産量が多いきのこと言われている、えのきたけ。枯れた榎の根元に発生することから名づけられたという。「えのきだけ」と濁って発音されることが多いが、正しくは「えのきたけ」。栽培ものが年間を通して安定供給されるため、価格変動の少ない安価なきのこだ。「えのきたけは旨味が強いきのこでもあります。出汁を使わなくてもおいしいスープができますし、捨てられがちな根元部分は食感が魅力。身近なきのこですが、フランス・ジュラ地方のシャルドネを合わせて、ごちそう感のある料理にしてみましょう」(平野さん)
レシピ1:えのきたけのステーキ
えのきたけの形を生かしてこんがり焼く。こっくりとしたソースを合わせれば、ステーキという名とシャルドネがふさわしい主役級のひと皿に。

にんにくの風味、しっかり目の焼き色で淡白なえのきの風味がアップする
<材料 2人分>
えのきたけ1袋(200g)、オリーブオイル大さじ1、にんにく1かけ、白ワイン 大さじ2、醤油大さじ1、無塩バター20g、イタリアンパセリ(みじん切り)適量
<作り方>
1 えのきたけは根元の黒いところのみ(1センチ強)を切り、半分にスライスする。にんにくは3〜4ミリ厚さに切り、芽をとる。
2 フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかける。色づいたら取り出し、えのきたけを入れて中火にし、こんがりとした焼き色がつくまで焼く。
3 焼き色がついたら裏返し、両面こんがりと焼き、器に盛る。
4 フライパンに白ワインを加え、煮立ったら醤油を加え、火を止めてバターを加え混ぜる。
5 えのきたけにソースをかけ、にんにく、イタリアンパセリを散らす。

石づきは、黒くなっている部分のみを切り落とすだけでよい
レシピ2:えのきたけのポタージュ
グルタミン酸とグアニル酸を含むえのきたけは、旨みたっぷり。バターのこくで、生クリームを使用しなくてもリッチな味わいに仕上がる。

牛乳を豆乳に変えたり、塩麹、白味噌を加えるなどの和風アレンジもおすすめ
<材料 4人分>
えのきたけ2袋400(400g)、玉ねぎ1個、バター大さじ1、牛乳1カップ、水2カップ、ローリエ1枚 塩、こしょう、ナツメグ適量、オリーブオイル、くるみ適量
<作り方>
1 えのきたけは黒い部分のみを切り、ざく切りにする。玉ねぎは薄切りにする。
2 鍋にバターを熱し、1を加えて塩をふり、弱火でしんなりとするまで炒める。ふたをして時々かき混ぜながら、5〜6分かけてじっくりと火を通す。
3 水、ローリエを加えてふたをして、中火にかけ、沸騰したら弱火にして15分加熱する。
4 ローリエを取り除き、ミキサーにかけて滑らかにしてから鍋に戻し、牛乳を加えてひと煮する。塩、こしょうで調味する。
5 器に盛り、オリーブオイルをまわしかけ、ナツメグをふり、粗く刻んだくるみを散らす。

火を通す目安は、えのきと玉ねぎがしんなり、クタッとするくらいに
【今月のお酒セレクト:ル・クロ・デ・グリーヴ シャルドネ ミュージシエンヌ2018】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
フランス・ジュラのシャルドネ。有機農法認証であるEcocert(エコセール)をジュラ地域で初めて取得したドメーヌ。黄金色の輝きを持つ美しい色合いで、ジュラ地方らしい、やや酸化熟成をした風味、ローストしたアーモンドの風味がこのワインの魅力。「きのこやクリームを使った料理とジュラ地方の白ワインは鉄板の組み合わせなのですが、えのきたけの魅力をさらに引き出し、一段上の料理に感じさせくれました。このワインは熟成させて飲むのもいいですね」(平野さん)
平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。
猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中
「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー
平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』
著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら
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