9月にザ・リッツ・カールトン京都で行われた食のコラボレーション「ラグジュアリー ダイニングシリーズ」をフードライターの桂まりがルポ。ホテルならではの「身も心も満たされる」体験‥‥‥本記事ではその様子をお届けします!

TEXT & PHOTOGRAPHS BY MARI KATSURA

ザ・リッツ・カールトン京都で世界の洗練を味わう!

 マリオット・インターナショナルが展開する“Across the Table”をテーマとした2026年「ラグジュアリー ダイニングシリーズ」。単なるダイニング体験ではなく、ゲスト同士が料理を囲みながら交流し、シェフたちが料理に込めた思いを分かち合う時間がもてる、特別な機会だ。第3弾となる今年は、8月のベトナムのJWマリオット・フーコック・エメラルド・ベイ・リゾート&スパから始まり、10月18日までタイ、モルディブ、インドネシア、日本を巡り開催となっている。

画像: 「ヘリテージディナー」でのひとコマ。好きなものを伝えるとその場で揚げてくれる。メニューの表紙は料理長による手書き!

「ヘリテージディナー」でのひとコマ。好きなものを伝えるとその場で揚げてくれる。メニューの表紙は料理長による手書き!

 今回体感する幸運に恵まれたのは、9月の4日間にわたりザ・リッツ・カールトン京都で開催された、食いしん坊には忘れがたいコラボレーション。さまざまなテーマを軸に、開催地ならではの食材や、ゲスト同士のつながりを深めるために練り上げられた美食、そしてもてなしに浸る貴重な機会で、どれも興味深く、すこぶる楽しく、身も心も満たされた。

画像: プログラムのうちのひとつ、「トスカ・ディ・アンジェロ」のシェフを迎えたラ・ロカンダでのディナーメニューより。アイルランド産ロブスターとグリーンアスパラガス、カルーガキャビア添え

プログラムのうちのひとつ、「トスカ・ディ・アンジェロ」のシェフを迎えたラ・ロカンダでのディナーメニューより。アイルランド産ロブスターとグリーンアスパラガス、カルーガキャビア添え

「ヘリテージディナー」を水暉で

 京都・伏見の銘酒「月の桂」のひやおろしの乾杯から始まった宴。受け継がれてきた食材や技法のコラボレーションメニューを紹介する「ヘリテージディナー」の会場となったのは「水暉(みずき)」だ。通常は会席・鮨・天麩羅・鉄板の4つのセクションで構成されているが、この日はその垣根を越えた豪華な共演に。鮨は合田共宏料理長とW大阪「鮨 うき世」の藤澤啄史料理長、会席は岡本副料理長とJWマリオット・ホテル奈良の山下秀一料理長が、さらに天麩羅の小島太典料理長、鉄板の小出悟郎料理長とRestaurant Ryuzuのオーナーシェフ・飯塚隆太シェフがコラボレーションし、心躍るビュッフェに! 好きなものを好きなだけ選んで楽しむことができた。

画像: ビュッフェでまず直行したのは天ぷら盛り合わせ、藤澤料理長による中トロ漬け、穴子、アコウ鯛、山下秀一料理長の渡り蟹の柿釜、三輪素麺と大和真菜のジェノベーゼ

ビュッフェでまず直行したのは天ぷら盛り合わせ、藤澤料理長による中トロ漬け、穴子、アコウ鯛、山下秀一料理長の渡り蟹の柿釜、三輪素麺と大和真菜のジェノベーゼ

 小島料理長は東京・銀座の「てんぷら 近藤」で修業を積んだそうで、徳島県産熟成べにはるかや天然車海老の天ぷらがたまらなくおいしかった。鮨も何周もしたくなる選ばれし6種!近江牛サーロイン鉄板焼きと蓮根ガレットが美味すぎて2周してしまった。“キャビア 旨味ジュレをカリフラワーエスプーマと共に”というネタもあって夢のよう。テラスでは備長炭で松茸を焼いており、フェスティブな気分が盛り上がったのはもちろん、旬のその味も素晴らしかった。なにより、ロングテーブルを囲む老若男女のゲストたちが楽しそう! 
 さらにシャンパンやワインはもちろん、日本酒も「月の桂」で知られる酒蔵、増田德兵衛商店の方々が直接振る舞ってくださったのだが、5種の「月の桂」をはじめ貴重なビンテージものまで! にごり酒の元祖で、伏見最古の蔵元なのだそう。
 デザートはピエール・エルメ・パリで、ひと口サイズのミルフィーユとイスパハンのスコーンを発見してお皿にピックアップしてみた。

画像: 合田料理長によるのどぐろ、雲丹といくら、鯖の松前寿司。永遠にループしたかった

合田料理長によるのどぐろ、雲丹といくら、鯖の松前寿司。永遠にループしたかった

画像: 焼松茸を藻塩と酢橘酢で。近くを通るだけでもいい香り

焼松茸を藻塩と酢橘酢で。近くを通るだけでもいい香り

画像: ため息が出るほど美しい苔のプレート!

ため息が出るほど美しい苔のプレート!

 滞在中ゲストルームには毎日、その日に体験した食のテーマに合わせたアメニティプレートがお部屋で待っていて、それはそれは美しく、驚くばかりだった。

画像: 滞在中毎日部屋で待っていたのは、ディナーのテーマに合わせたスイーツ!

滞在中毎日部屋で待っていたのは、ディナーのテーマに合わせたスイーツ!

「物語を味わう一皿」をラ・ロカンダで

画像: メッツィ・パッケリ 北海道産ボタン海老とバジルペストソース添え&赤ハタのマタロッタスープ オリーブ、トマト、サリナ産ケッパー入り

メッツィ・パッケリ 北海道産ボタン海老とバジルペストソース添え&赤ハタのマタロッタスープ オリーブ、トマト、サリナ産ケッパー入り

 4日間のプログラムのひとつ、ザ・リッツ・カールトン香港のミシュラン星付きイタリアン「トスカ・ディ・アンジェロ」のアンジェロ・アリアノシェフを迎えたラ・ロカンダでのディナーも素晴らしかった。シェフはシチリア島のシラクーサ出身で、軽やかな海の幸の料理に舌鼓!日本にもファンが多いというのにも納得だ。ワインペアリングは、1878年から続き、10代目当主のワインが世界で評価されているマストロベラルディーノのカンパニア州のものが選ばれていた。

画像: シストロン産子羊の背肉 ナスのザアルークと黒胡椒添え

シストロン産子羊の背肉 ナスのザアルークと黒胡椒添え

画像: ラ・ロカンダの個室としても使われる藤田伝三郎男爵の京都の別邸夷川邸。移築され、室内にある

ラ・ロカンダの個室としても使われる藤田伝三郎男爵の京都の別邸夷川邸。移築され、室内にある

 また、ピエール・エルメ・パリの、通常とは異なるスペシャルなビュッフェスタイルの秋のアフタヌーンティーも「物語を味わう一皿」として開催され、大盛況。今回が初お披露目となる新作ケーキや、12月にショーケースに並ぶ予定の新作マカロン2種も特別に登場。目の前で仕上げてくれるショコラのデザートもあり、テ イスパハンなどオリジナルのお茶などもフリーフロー。秋らしいモンブラン、カボチャのサブレ、しば漬け入りのパニプリなどセイヴォリーも楽しく、おいしかった。

画像: 目の前で仕上げるショコラのデザート「サンサシオン プレニチュード」。チョコレートの球体の中にサブレキューブ、フルールドセル入りカラメルなど2種のアイスクリームを閉じ込め、仕上げに温かいベネズエラ産カカオ72%のソースをかけて。 左の写真は、エリック・カラボケ シェフ パティシエ(手前)と、東京から駆けつけたクリストフ・ドラピエ エグゼクティブ シェフ パティシエ(中央)

目の前で仕上げるショコラのデザート「サンサシオン プレニチュード」。チョコレートの球体の中にサブレキューブ、フルールドセル入りカラメルなど2種のアイスクリームを閉じ込め、仕上げに温かいベネズエラ産カカオ72%のソースをかけて。
左の写真は、エリック・カラボケ シェフ パティシエ(手前)と、東京から駆けつけたクリストフ・ドラピエ エグゼクティブ シェフ パティシエ(中央)

画像: アフタヌーンティーはザ・ロビーラウンジで。この日はビュッフェスタイル

アフタヌーンティーはザ・ロビーラウンジで。この日はビュッフェスタイル

画像: スイーツはもちろん、京都日吉ベーコンと秋茸のキッシュグリエールチーズ、真鯛と京都柴漬けのパニプリなどセイヴォリーにも頬が落ちる

スイーツはもちろん、京都日吉ベーコンと秋茸のキッシュグリエールチーズ、真鯛と京都柴漬けのパニプリなどセイヴォリーにも頬が落ちる

「極上の味わいへの旅」というプログラムでは、シェフやホテルのアクティビティチームの案内により妙覚寺や平安神宮、下鴨神社、ロビーを照らすランプシェードの京和傘日吉屋の工房を巡ったり、シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoueでも使われている嘉祥窯で陶芸体験も組まれていた。

画像: 清々しい京都の朝を自転車で巡る。晴れた空の下、平安神宮神苑も散策

清々しい京都の朝を自転車で巡る。晴れた空の下、平安神宮神苑も散策

画像: 寺で太鼓体験などののち和朝食。WABISUKE卵の卵焼き、銀鱈、丹後新米の3種のおにぎり。佐賀嬉野の甘みのある葉隠味噌を使った味噌汁と

寺で太鼓体験などののち和朝食。WABISUKE卵の卵焼き、銀鱈、丹後新米の3種のおにぎり。佐賀嬉野の甘みのある葉隠味噌を使った味噌汁と

画像: 京和傘の老舗日吉屋と河合神社にて

京和傘の老舗日吉屋と河合神社にて

画像: 和歌山熊野古道の赤土で信楽焼き体験。でき上がりのものは後日届くので楽しみ。ランチはミネストローネと、鉄板焼きにも登場する近江牛のカツサンド!!

和歌山熊野古道の赤土で信楽焼き体験。でき上がりのものは後日届くので楽しみ。ランチはミネストローネと、鉄板焼きにも登場する近江牛のカツサンド!!

「シェフと囲む美食のテーブル」をシェフズ・テーブル by Katsuhito Inoueで

画像: ワクワクするシェフズテーブルにて

ワクワクするシェフズテーブルにて

 もうひとつのプログラム、ヘッドシェフ井上勝人とザ・リッツ・カールトンバンコクのフレンチ「Duet by David Toutain」のヴァレンティン・フアシュシェフによるコラボレーションコースも堪能。ルイナールの最高峰に位置づけられるヴィンテージ・シャンパーニュ「ドン・ルイナール 2013」で幕を開けたディナーは、8席だけのシェフズテーブルで、料理のアートとワインペアリングにじっくり向き合うことができた。

 井上シェフはサンセバスチャンの、映画の舞台にもなった名店「ムガリッツ」などで研鑽を積み、京都ならではの繊細な七十二候に寄り添う料理で知られている。メニューは2週間ごとに変わるとのこと。ジャンボンペルシェ、うなぎ、サドルバック豚、出汁、ハーブや、京都ならではの“始末のパン”など、食材を使い切る工夫にも驚きのある料理が心身に染みわたった。

画像: 井上シェフによる明石の鯛、吉祥院の柚子。嘉祥窯の赤貝のショープレートで

井上シェフによる明石の鯛、吉祥院の柚子。嘉祥窯の赤貝のショープレートで

画像: ヴァレンティンシェフの一皿には太陽をイメージしたバンコクの香りも漂う。淡路天然ワタリガニにはココナツウォーターと、新鮮なため色がグレーなキャビア。フレンチならではのジャンボンペルシエ、鰻、サドルバック、出汁、ハーブ

ヴァレンティンシェフの一皿には太陽をイメージしたバンコクの香りも漂う。淡路天然ワタリガニにはココナツウォーターと、新鮮なため色がグレーなキャビア。フレンチならではのジャンボンペルシエ、鰻、サドルバック、出汁、ハーブ

画像: 井上シェフの大トロ、燻製ビネガー、焼き野菜。蛇腹と言われる部位に、ビーツパウダーと塩麹でマリネしてある。6種のビネガーのジェリーと万願寺のピュレと。アワビ 熟成昆布。焼いたものと天ぷらで。こちらも井上シェフによるプレート

井上シェフの大トロ、燻製ビネガー、焼き野菜。蛇腹と言われる部位に、ビーツパウダーと塩麹でマリネしてある。6種のビネガーのジェリーと万願寺のピュレと。アワビ 熟成昆布。焼いたものと天ぷらで。こちらも井上シェフによるプレート

画像: 始末のパン。自家製味噌と野草。焼く前の生地も見せてくれたので、焼き上がりがいっそう楽しみだった。野菜パウダーと京都の小麦で

始末のパン。自家製味噌と野草。焼く前の生地も見せてくれたので、焼き上がりがいっそう楽しみだった。野菜パウダーと京都の小麦で

画像: ノドグロ、人参、かぼちゃをジュヌヴォワーズソースと雲丹でしあげた一皿。ノドグロは、ヴァレンティンシェフが食感を気に入って選んだのだそう

ノドグロ、人参、かぼちゃをジュヌヴォワーズソースと雲丹でしあげた一皿。ノドグロは、ヴァレンティンシェフが食感を気に入って選んだのだそう

画像: 井上シェフによるほうじ茶のキャンディ。ほうじ茶の味が濃厚で、甘酒クレマとのバランスもいい

井上シェフによるほうじ茶のキャンディ。ほうじ茶の味が濃厚で、甘酒クレマとのバランスもいい

 このほかにも、ザ・バーでの、「記憶を巡る美食体験」では京都のヘッドバーテンダー浅野陽亮とザ・リッツ・カールトン福岡Bayのバーテンダー山中秀仁によるカクテル、「美酒と語らいのひととき」では、東京エディション銀座にあるPunch Room Tokyoのバーディレクター川久保安寛、東京エディション虎ノ門のGold Bar at EDITIONのバーテンダー大島創ら、気鋭のバーテンダーたちのマスタークラスのカクテルでも盛り上がった。

画像: メニューには、ワサビマティーニやマリオットグループ内で最高賞を受賞したカクテルなども!

メニューには、ワサビマティーニやマリオットグループ内で最高賞を受賞したカクテルなども!

 世界中の旅好きなフーディーたちをもてなしてきたマリオットインターナショナルだからこそ実現する、数日限りの圧巻の食のコラボレーション「ラグジュアリーダイニングシリーズ」。毎年開催されているため、次回も心待ちにしているリピーターも多そうだ。

画像: 館内のアートツアーもあり、かつてここにあった老舗ホテルフジタ京都から受け継いだ400年ほど前の灯篭には、マリア像が彫られている。10日おきに整えているという石庭も美しい

館内のアートツアーもあり、かつてここにあった老舗ホテルフジタ京都から受け継いだ400年ほど前の灯篭には、マリア像が彫られている。10日おきに整えているという石庭も美しい

画像: 以前滞在した時も感動した、ラ・ロカンダでの朝食ビュッフェ。ここならではのピエール・エルメ・パリの小さめのサイズのイスパハンのクロワッサン

以前滞在した時も感動した、ラ・ロカンダでの朝食ビュッフェ。ここならではのピエール・エルメ・パリの小さめのサイズのイスパハンのクロワッサン

画像: フレンチトーストの最上級と言っても過言ではない麗しいピエール・エルメ・パリのそれは、マストだ

フレンチトーストの最上級と言っても過言ではない麗しいピエール・エルメ・パリのそれは、マストだ

画像: 鴨川の景色にうっとり時間を忘れる客室。目の前に大文字山が望め、夏の風物詩、五山の送り火の特等席でもある

鴨川の景色にうっとり時間を忘れる客室。目の前に大文字山が望め、夏の風物詩、五山の送り火の特等席でもある

画像: 麻の浴衣からほのかにお香の香りがして、京都に来たんだなと気分が上がる。大きなバスタブで使える柚子や檜の入浴剤もオリジナルなのだそう。景色がいいので、和朝食をルームサービスでいただくのもおすすめ

麻の浴衣からほのかにお香の香りがして、京都に来たんだなと気分が上がる。大きなバスタブで使える柚子や檜の入浴剤もオリジナルなのだそう。景色がいいので、和朝食をルームサービスでいただくのもおすすめ

画像: 秋はここから紅葉が色づき始めるというエントランス。お土産の干菓子もオリジナル!

秋はここから紅葉が色づき始めるというエントランス。お土産の干菓子もオリジナル!

ラグジュアリーダイニングシリーズ
公式サイトはこちら

ザ・リッツ・カールトン京都
住所:京都市中京区鴨川二条大橋畔
電話番号:075-746-5555
公式サイトはこちら

桂まり
雑誌「SPUR」「eclat」などで、フード&トラベル、インタビュー記事を担当するライター。趣味は世界各国で料理教室に行くこと。温泉保養士。Instagramはこちら

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