ホテルジャーナリスト、せきねきょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第66回目は、生まれ変わった新しい渋谷を象徴する「sequence MIYASHITA PARK」

BY KYOKO SEKINE

 ホテル開業の続く三井不動産グループでは、新たに2020年8月1日、“次世代型”ライフスタイルホテルとして「sequence MIYASHITA PARK」をオープンした。東京の繁華街のひとつ、渋谷の大規模再開発に伴い、宮下公園エリアが公園・商業施設・ホテルが一体となったミクストユース施設「MIYASHITA PARK」として美しく蘇っている。それにしても、昭和の香りを残していた、線路際の何気ない公園の変貌ぶりには驚くばかり! 今では元の姿を思い出すのも難しいくらいのイメージチェンジである。

 堂々と姿を現したホテルは、多様化するニーズに応えようと発表された新ブランド、「sequence(シークエンス)」。一号店となった渋谷の「sequence MIYASHITA PARK」がフラッグシップとなり、続く同年8月7日に「sequence KYOTO GOJO」(京都五条)が、11月25日には東京・水道橋に「sequence SUIDOBASHI」が開業している。いずれもコンセプトは、「自分のスタイルで、人や街との "やさしいつながり" を楽しむ次世代型ライフスタイルホテル」と掲げられている。

画像: 「MIYASHITA PARK」の4階に位置するエントランスは、屋上の渋谷区立宮下公園に面し気持ちのいい空間が広がる

「MIYASHITA PARK」の4階に位置するエントランスは、屋上の渋谷区立宮下公園に面し気持ちのいい空間が広がる

 長期スパンで大規模再開発中の渋谷駅界隈。目的のホテルは、工事でより複雑になった現在の渋谷駅から、至近の出口を間違えなければ徒歩で3~4分。公園・商業・ホテルが一体となった "ミクストユース型プロジェクト" のひとつとして造られている。ホテル入口は4階に位置し、開放的な渋谷区立宮下公園の芝生ひろばに面している。そして若者たちの集う渋谷という環境から、今、求められるのは "やさしいつながり" であることを基本に据え、「SMART」「OPEN」「CULTURE」を軸に、自由な時間を過ごせるホテルをテーマに掲げた。

画像: ホテルのエントランスを入ると、「sequence」と「渋谷区立宮下公園」を結ぶカフェエリア「VALLEY PARK STAND(ヴァリー・パーク・スタンド)」があり、公園と一体型で自由な雰囲気で集えるコミュニケーションの場に

ホテルのエントランスを入ると、「sequence」と「渋谷区立宮下公園」を結ぶカフェエリア「VALLEY PARK STAND(ヴァリー・パーク・スタンド)」があり、公園と一体型で自由な雰囲気で集えるコミュニケーションの場に

 まずは芝生ひろばを抜けて、4階のエントランスから館内に入ってみると、そこにはスペースたっぷりのロビーラウンジカフェが現れる。広いカフェエリアを抜け、奥のホテルレセプションまで行くと、チェックインカウンターの代わりに変形ラウンド型の大きなデスクが置かれている。ここには幾つものタブレットが設置され、ゲストは、このタブレットで "顔認証" によってセルフチェックインをする。不慣れで戸惑ってしまっても大丈夫。近くに待機するスタッフが手助けしてくれるので問題はないのだ。

 あらかじめ予約登録した条件でチェックイン。宿泊料金についても、すべてクレジットカードや、スマートフォン決済でチェックイン時に前払いをするキャッシュレス形式を採っている。支払いを終え、カードキーを作ったら、いざ自分の客室へ。エレベーター内ではこのカードキーを使い各階へのボタンをプッシュ。これら最新のICT(情報通信技術)を活用した、セルフチェックイン、ルームチェックアウト&キャッシュレス対応システムは、セキュリティ対策も兼ねているのだ。そして極端に言えば、ITに長けている人ならスタッフの誰とも話さずチェックインし、帰りは用意されたボックスにカードキーを返却すれば、スタッフに挨拶せずにホテルを去る…… ということになるのだろうか。

画像: 17階に一室だけあるスイートルーム<94.7㎡>の寝室。窓からは緑の代々木公園を通して新宿高層ビル街を見渡せる

17階に一室だけあるスイートルーム<94.7㎡>の寝室。窓からは緑の代々木公園を通して新宿高層ビル街を見渡せる

画像: スイートルームのリビングルーム。ソファの下に見える丸い部分から、真空管アンプの独特な柔らかい音が聞こえてくる

スイートルームのリビングルーム。ソファの下に見える丸い部分から、真空管アンプの独特な柔らかい音が聞こえてくる

 それでは、ホテルサービスの要でもあるコンシエルジュの存在意義は、もはや必要ないのだろうか? 未来のホテルには、細やかなもてなしや、温もりという "人を介するサービス" はいらないということだろうか? いいえ、安心してほしい―― 前述の通り、このホテルのコンセプトは "やさしいつながり" であり、ホテルのサービス形態にもさまざまな選択肢がある時代になったということである。つまり、これも "ホテルの進化" のひとつと捉えてほしい。

 客室はいずれのタイプもガラス窓が大きく、近くの代々木公園、明治神宮、国立競技場、遠くはスカイツリーなど、都心の景色を手に取るように一望できる。また、ビューバスの客室から眺める渋谷の夜景は、バスタイムを贅沢な気分にしてくれる。一室のみ用意された17階のスイートルームでは、室内に特製の真空管アンプが配され、温かく懐かしいノスタルジーな音色に包まれる。

画像: 「KING」<37.3㎡> 使い勝手のいい客室

「KING」<37.3㎡>
使い勝手のいい客室

画像: 5階にあるオールデイダイニング「Dōngxī(ドンシー)Restaurant & Sakaba」 かつて文化繁栄の源となったシルクロードをイメージし、東と西のあいだをコンセプトに掲げる。古今東西の伝統料理や郷土料理を洗練された手法で昇華させた、オリジナル料理を提供 PHOTOGRAPHS:COURTESY OF sequence MIYASHITA PARK

5階にあるオールデイダイニング「Dōngxī(ドンシー)Restaurant & Sakaba」
かつて文化繁栄の源となったシルクロードをイメージし、東と西のあいだをコンセプトに掲げる。古今東西の伝統料理や郷土料理を洗練された手法で昇華させた、オリジナル料理を提供
PHOTOGRAPHS:COURTESY OF sequence MIYASHITA PARK

 さらに「sequence MIYASHITA PARK」では、ゲストがフレキシブルに過ごせるよう、チェックインタイムが17時、チェックアウトは翌日14時に設定され、朝食は12時まで取ることができるというのも斬新な発想だ。客室内には最小限のアメニティを揃え、再利用素材、脱プラスチック備品の利用など、地球環境への取り組みも怠らない。それに館内エントランスやレセプション周りに置かれた木製製品は、かつて渋谷区立宮下公園に育った欅をアップサイクルしたものだと聞き、なんだか心にホッと灯がともった。さらにレセプション階に植栽された多種多様な木々は、「ボーダレス、ジェンダーレスな人々が集まる渋谷の "多様性" を表現」と知り、次世代型ライフスタイルホテルならではの新鮮で細やかな配慮に、好感度が高まったのである。

sequence MIYASHITA PARK
住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK North
電話:03(5468)6131
客室数:全240室
料金:¥7,000~(1泊1室の室料。消費税・サービス料別、各種プラン、会員価格あり)
※ 上記は参考価格。料金は宿泊日により変動するため、要問い合わせ
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

 

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