ホテルジャーナリスト、せきねきょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第69回目は、高いデザイン性で新しい時代の幕開けを予感させる「toggle hotel suidobashi」

BY KYOKO SEKINE

 コロナ禍で当初の予定よりも少し遅れ、「toggle hotel suidobashi」(トグルホテル水道橋)が2021年4月1日にオープンした。JR水道橋駅の西口から徒歩で約3分の至近距離にある。水道橋と言えば、東京ドームシティや有名大学病院が点在するなど、人流の多いことで知られる界隈である。

 ホテルは、JR中央線・総武線、首都高速5号線、そして神田川が交差する特異な立地に建つため、注目度の高いアイコニックな建築となるようにデザインされた。特に総武線の車両と同様の、黄色とグレー(車両はメタリック)の配色で構成されるホテルの外観には目が留まる。

画像: ホテルの全景。黄色とグレーの目立つ色彩は、下を走るJR総武線とコーディネートしているようにも見える配色

ホテルの全景。黄色とグレーの目立つ色彩は、下を走るJR総武線とコーディネートしているようにも見える配色

 ホテル名について聞いてみると、建物全体に共通する配色であるバイカラー(二色使い)にちなんでいるとのこと。英語の“toggle”には、「二つの状態を交互に切り替えるトグルスイッチ」の意味を含み、このホテルのコンセプトはそのバイカラーにあるというのだ。つまり、仕事からプライベートタイムへと切り替える“ON/OFF”を色で表現。「ホテルだからこそ、訪れるたびに新鮮な驚きのある空間で、非日常的なひとときを楽しんでもらいたい」(ホテル広報)との想いが込められている。

 ゲストのターゲット層は、観光や東京ドームシティでのスポーツ観戦、アトラクションなどを目的とする20代~30代を中心とした若い世代を想定し、顧客ニーズを主にハード面に反映した。実際にも圧倒的に3~4名の女性グループが多く、他にも若いファミリー層やカップルが多く訪れている。

画像: レセプションのある最上階の9階にはカフェを併設。宿泊客以外も利用可能

レセプションのある最上階の9階にはカフェを併設。宿泊客以外も利用可能

 レセプションはビルの最上9階にあり、同階には清々しく植栽の整った「café」を併設。朝食はコンチネンタルタイプ(サンドイッチ、スープ、飲み物)が提供される。他にデザートやスナック類をメニューに載せており、ティータイムに訪れる若者もいる。カフェの内装は優しいグリーンと白のバイカラーで、外から来たゲストの心を爽やかな気分で満たしてくれる。色彩効果とは不思議なもので、本当にセラピーにもなることを実感する瞬間だ。パブリックスペースとしては、カフェの他に館内にランドリールームが設置されている。

画像: カフェはオープン直後やコロナ禍のこともあり、宿泊者の朝食にサンドイッチとスープ、飲み物というコンチネンタルタイプを提供。お茶タイムにはおつまみや焼き菓子なども

カフェはオープン直後やコロナ禍のこともあり、宿泊者の朝食にサンドイッチとスープ、飲み物というコンチネンタルタイプを提供。お茶タイムにはおつまみや焼き菓子なども

 客室は2階から8階に全84室、20㎡から40㎡までと様々だ。そのなかには、ユニバーサルルームが1部屋、コネクティングルームが12部屋用意され、グループや家族連れにも対応可能。フロアごとに色使いの変わるワクワク感や、タイプの異なる部屋を選ぶ楽しさがあろう。また、客室内の配色は、廊下のバイカラーとは異なる色使いのため、部屋のドアを開けた時の驚きもある。

画像: Connecting Room A<20㎡+20㎡>定員5名 ピンク系の部屋は常に女性人気が高い

Connecting Room A<20㎡+20㎡>定員5名
ピンク系の部屋は常に女性人気が高い

画像: Loft Room B<20㎡>定員3名 部屋のカラーリングは、写真のほかにも2タイプある

Loft Room B<20㎡>定員3名
部屋のカラーリングは、写真のほかにも2タイプある

 私自身の驚きは「コーナールーム」にあった。最初に綴ったように、フロアによっては客室の窓から本当に手が届きそうなところに高速道路が通っているため、この部屋の窓からの眺めは、ドライバーと視線が合い会話ができそうな気さえするほど。途切れることなく車が走り抜ける高速道路のすぐ下を、JR線が交差するように通り、ホテルの真下には神田川が流れる―― 東京ならではの光景に、あらためて躍動感を覚えた。ただし騒音の心配はないこともお伝えしておこう。幸いにも室内は窓を閉めれば別世界で、窓や壁の防音対策は万全に施されている。

画像: 2階にあるランドリーサービスルームは黄色とグレーの配色。滞在者が自由に使える洗濯機、乾燥機、アイロン台のほか、自動販売機も設置

2階にあるランドリーサービスルームは黄色とグレーの配色。滞在者が自由に使える洗濯機、乾燥機、アイロン台のほか、自動販売機も設置

 少しの間、最上階のカフェで寛いでいた時のことだ。二人組の若い女性がサンドイッチを食べながら携帯で“映える”写真を撮ったり、笑ったり、楽しそうにしている光景を目にした。20代、30代はすでに子供のころからPCやスマホを使いこなし、日常生活においてネットやSNSの利用が欠かせない世代。だから客室に一枚のメモ用紙がなくても、彼らが何ら困ることはない。チェックイン、アウトの作業もすべて端末だ。

画像: 季節が良ければ、都会の景色を眺めながらテラスでのひとときが快適 PHOTOGRAPHS:COURTESY OF TOGGLE HOTEL SUIDOBASHI

季節が良ければ、都会の景色を眺めながらテラスでのひとときが快適
PHOTOGRAPHS:COURTESY OF TOGGLE HOTEL SUIDOBASHI

 こうなると、「ホテルサービスとは人の手を介するもの」という概念も変化してきているのかと思う。しかし、“それもあり、これもある”という選択肢の多い時代として、メイド・イン・ジャパンのホテルの進化や成熟を喜びたい。この独創的なホテルは、クライン ダイサム アーキテクツがデザインを監修、入江三宅設計事務所が建築設計を手掛け、アトリウム(本社:千代田区)が開発・運営も担う初の自社ブランドホテルで、次なる開発が楽しみである。

toggle hotel suidobashi(トグルホテル水道橋)
住所:東京都千代田区飯田橋3-11-4
電話:03(3239)1096
客室数:全84室
料金:¥9,200~(オープニングプラン、1泊1室の室料。消費税込)
※ 上記は参考価格。料金は宿泊日により変動するため、要問い合わせ
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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