残暑の中にも秋の気配が漂いはじめた九月初旬、京都御所に隣接する京都迎賓館で、初めての体験型参観イベント「菊花彩る重陽のおもてなし」が開催された。能やお茶など、海外からの賓客が訪れた際に受ける日本最高峰の伝統文化の“おもてなし”を、一般の人にも体験してもらおうと実現したプレミアムな企画だ。





 池にかかる橋の上で談笑するイギリスのメイ首相と安倍総理。今年8月にニュースで見たこんなシーンの舞台になったのは、ここ京都迎賓館。平成17年、国賓など海外からの特別なゲストを日本文化の粋を集めてもてなし、日本への理解と友好を深めてもらう目的で開館した。



庭園と池を取り巻くように建物が配され、

池にかかる廊橋の上からは色とりどりの鯉が眺められる。

来賓が鯉の餌やりをすることも



 東京の迎賓館赤坂離宮がヨーロッパの宮殿を思わせる西洋建築であるのに対して、こちらは現代和風。数寄屋造りの外観、木のぬくもりに障子ごしの柔らかな光、華麗な綴織りの装飾など、建築にも調度品にも多くの伝統技能を活用。一方で、たとえばケヤキ材の床はハイヒールで歩いても傷がつかない加工を施すなど、隠れたところに現代の技術が生かされている。ひとたびゲストを迎えれば、能や雅楽など最高水準の伝統芸能や料理が供され、日本が誇る“おもてなし”の最前線となる。しかし、京都迎賓館がその役割を果たす機会は年に十数回ほど。



和舟での舟遊びを初めて体験したゲストは、

新婚旅行で来日したブータン国王夫妻だそう



 そこで、この貴重な施設をもっと有効利用する道はないか、内閣府が中心となって検討が行われた。その結果、昨年7月から、接遇に支障のない範囲で一般の人向けに公開されている。今回、さらなる魅力ある公開の仕方として、京都が誇る伝統文化、そして京都迎賓館での“おもてなし”の内容を、一般に広く知ってもらうイベントを開催する運びとなった。京都文化交流コンベンションビューローが共催、京都南ロータリークラブが協力し、京都で何代も続く伝統文化の継承者や、各界の家元の力を結集した、普通ではあり得ないような豪華な催しに結実した。



 京都南ロータリークラブの窓口としてこのイベントに協力した、高橋拓児さんにお話しをうかがった。京料理の老舗「木乃婦」の三代目主人であり、京都迎賓館の厨房で賓客のために腕を揮った経験も持つ。


「九月の重陽の節句(菊の節句)に合わせて、菊にちなんだ企画にしようと、皆でさまざまなプログラムを検討しました。能や、呈茶でお出しするお菓子、生け花も菊づくしの仕立てで、日常の中で忘れがちな日本ならではの歳時記を感じてもらえるイベントにしたかった。それでこそ、国の施設である京都迎賓館が開催する意味があると考えました」