BY EVIANA HARTMAN, PORTRAIT BY BLAINE DAVIS, TRANSLATED BY JUNKO KAWAKAMI
やがてヴィクトリア&アルバート美術館でキュレーターとなり、現代中国ファッションを扱い始めた。今も反逆精神が彼の身上であり、その情熱は2013年、メトロポリタン美術館の『Punk: Chaos to Couture』でいかんなく発揮された。
1987年、イースト・アングリア大学の学生時代。カメラは苦手です。
ヴィクトリア&アルバート博物館時代の入館証。今では僕のお守りになっています
(写真左)リー・バウリーが1994年にメトロポリタン美術館で開催されたルシアン・フロイドの展覧会で着ていた服。15歳の頃、雑誌で彼がドレスアップした姿を見て以来、彼は僕のヒーローになりました。
(写真右)この帽子はトムのショーのためにスティーブン・ジョーンズが作ってくれたもの。ドイツの現代美術家、ヨーゼフ・ボイスの作品を思い出させます。
(写真左)毎日デスクで愛用しているクラリッジ・ホテルのティーカップ。実は黙って失敬したものなので、泊まるときにはチップを多めに払って罪滅ぼしをしています。
(写真右)知り合いになる前から、トムのウィングチップを履いています。シルバーに光るこのシューズは、私にとってはほとんどフェティッシュの対象になっています。
シシングハースト城庭園は、野放図に見えますが計算しつくされています。まさに、僕自身が目指すスタイル―― 制御されたカオスですね。
陶器の赤いポピーでロンドン塔を埋め尽くしたポール・カミンズのインスタレーションは、陰鬱さの崇高な表現です。
ジョーダンはブリティッシュ・パンクの“顔”でした。彼女に比べれば、自分はずいぶんブルジョワっぽい雰囲気だと思ったものです。
「彼ら素晴らしきパンクの戦士たちは、ファッションを用いて挑発し対決したのです」と彼は言う。彼はまた、服装の文化的意味の絶え間ない変遷にも深い関心を抱いている。驚くべきことに、おそらくは同性愛的なあまのじゃく趣味ゆえだろうが、本人のスタイルは、パートナーであるデザイナーのトム・ブラウンと同じく、伝統を注意深く着崩した、見事にオタクっぽいものだ。ふたりとも、不格好なものを通じて美を追求するというパラドクスを大いに楽しんでいるのだ。ボルトンは言う。
「ファッションとは変容であり、新しいアイデンティティを創造することなのです」