20世紀の芸術運動「シュルレアリスム」とモードの創造的な関係を総覧する企画展、100年後の未来を問うエキシビション、世界的に注目を集めるデザイン集団「ドヴァランス」の展覧会。開催中のアート展から絶対に見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』|東京都庭園美術館

画像: (写真左)エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ケープ》1938年、京都服飾文化研究財団蔵、広川泰士撮影 PHOTOGRAPH BY TAISHI HIROKAWA (写真右)マルタン・マルジェラ《ネックレス》2006年、京都服飾文化研究財団蔵、京都服飾文化研究財団撮影 COURTESY OF THE KYOTO COSTUME INSTITUTE

(写真左)エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ケープ》1938年、京都服飾文化研究財団蔵、広川泰士撮影
PHOTOGRAPH BY TAISHI HIROKAWA
(写真右)マルタン・マルジェラ《ネックレス》2006年、京都服飾文化研究財団蔵、京都服飾文化研究財団撮影
COURTESY OF THE KYOTO COSTUME INSTITUTE

 20世紀もっともセンセーショナルな芸術運動のひとつであった「シュルレアリスム」。当時、夢や狂気、欲望、無意識といった人の内なるものに芸術的な根源を見出したシュルレアリストたちの表現は、文学や美術にとどまらずファッションへも大きな影響を与え、また現代のクリエイターたちが生み出す意匠や表現にも、その理念に通底するものが発見できる。

 本展は、この芸術運動がモードに与えた影響をひとつの視座に、シュルレアリスムあるいはその感性に通じる「奇想」なものを古今東西から集めて紹介。出展は、ダリやマグリット、マン・レイといったシュルレアリスムの作家から、当時の芸術家たちと親交のあったエルザ・スキャパレッリ、現代のマルタン・マルジェラ、舘鼻則孝、串野真也まで。歌川国貞などの錦絵も会場に並ぶ。シュルレアリスム的な視点で見る和の表現とは? これも本展ならではのユニークなみどころだろう。

『奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』
会期:1月15日(土)~4月10日(日)
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(3月21日は開館)、3月22日(火)
料金:一般 ¥1,400、大学・専門学生 ¥1,120、高校・中学生・65歳以上 ¥700、小学生以下無料
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイトはこちら

『2121年 Futures In-Sight』展|21_21 DESIGN SIGHT

画像: PARTY《バック(キャスト)します 》 PHOTOGRAPH BY MASAYA YOSHIMURA

PARTY《バック(キャスト)します 》
PHOTOGRAPH BY MASAYA YOSHIMURA

 近年、ビジネスシーンでも耳にするようになった「SF プロトタイピング」という言葉。SF的な発想で「あるべき未来」を想像し、それに到達するためにいま何が必要かを逆算して考えるという方法論だ。未来を考えることが、現在の価値観の形成につながり、じつは未来というものがいま現在に大きな影響を及ぼしているのかもしれないーー21_21 DESIGN SIGHTで開かれている『2121年 Futures In-Sight』展も、こうした発想がベースにある。

 会場ではデザイナー、研究者、エンジニアといった多様な出展者が「What/When/Where/How…」の疑問符、「Futues/Present/Past…」「Change? /Create? /End?…」など21のキーワードから、それぞれ2121年、100年後未来を見据えた現在形の問いを組み立て、作品やテキストと合わせて紹介。たとえば、クリエイティブ集団PARTYは「How Present End?(どのように現在は終わるか?)」と問い、タイムマシン的な体験型の作品を見せる。参加作家は72組。未来に対してどういう視座で臨めばよいのか。多様なヒントが本展で得られる。

『2121年 Futures In-Sight』展
会期:〜5月8日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
住所:東京都港区赤坂9-7-6
開館時間:10:00〜19:00(入場は18:30まで)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、1月21日(金)より当面の間、開館時間を11:00〜18:00(入場は17:30まで)に変更。
休館日:火曜日(5月3日は開館)
料金:一般 ¥1,200、大学生 ¥800、高校生 ¥500、中学生以下無料
電話:03-3475-2121
公式サイトはこちら

『ドヴァランス_デザインのコモンセンス』| GYRE GALLERY

画像: (写真左)「Un été au Frac Bretagne」ポスター(Frac Bretagne)2021年 © DEVALENCE (写真右)「Acteurs !」 ポスター(La Commune)2020年 © DEVALENCE

(写真左)「Un été au Frac Bretagne」ポスター(Frac Bretagne)2021年
© DEVALENCE
(写真右)「Acteurs !」 ポスター(La Commune)2020年
© DEVALENCE

 ドヴァランスは、パリを拠点にするクリエイティブスタジオ。カルティエ現代美術財団やポンピドュー・センター、ラ・コミューン劇場といった芸術文化関連のグラフィックデザインを担当し、近年、世界的に注目を集めているデザインチームだ。2008年には、メンバーのひとりが出版レーベル「B42」を立ち上げ、視覚文化および社会におけるデザイナーの役割について考察するプロジェクトも積極的に行ってきた。

 本展は、主にドヴァランスが手がけたポスターや書籍を紹介し、彼ら独自のデザイン思考をつまびらかにする。とりわけドヴァランスの仕事はタイポグラフィックに定評があり、見る者がどのように能動的にデザインを読み込めるのか、念密に設計されたあしらいも見どころのひとつだ。会場では、彼らのインタビュー記事を収録したリーフレットも配布。合わせて読むことで、ドヴァランスのデザインに対する理念をより深く知ることができる。

『ドヴァランス_デザインのコモンセンス』
会期:〜2月13日(日)
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
開館時間:11:00〜20:00
休館日:不定休
料金:無料
公式サイトはこちら

※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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