BY KAORU SAITO, PHOTOGRAPHS BY KEVIN CHAN, STYLED BY MAYU YAUCHI
人生100年時代⋯⋯ すでに期待を不安が上回っているかもしれない。経済的な不安に加え、心身ともに100年も健康でいられるのかという不安。さらには100歳の自分を想像して、美しく生きる難しさにもモヤモヤした不安を感じているはずだ。でも世の中なかなかうまくできていて、医学の進歩が寿命を延ばしたように、心の医療も進化しているし、エイジングケアには今、変革が起きつつある。人工皮膚的なテクノロジーが進む一方、劇的な進化を見せているのが、じつは「飲む美容」、インナーケアなのだ。
もちろん美容サプリメントや美容ドリンクはすでに市場にあふれているが、飲む美容は、効果が曖昧で、何にどう効いているのかわからない。だから続かない、との声も少なくない。確かにある種無法地帯で、正直、怪しげな製品も存在する。塗る化粧品のような使用直後の変化が見えにくいこともあり、化粧品に取って代わることは、この先もないだろうと思われていた。
でも今、事情ははっきり変わった。実感するところ、目覚ましい即効性、目に見える結果が生まれている。明らかに、これまでとは次元の違う製品がここに来て次々デビューを果たしているのだ。いちばん象徴的なのは、「ポーラB.A」が開発したサプリ&ドリンクだろう。コラーゲンなどの美肌成分をただ届けるという単純なものではない。ある発見から生まれた未来系インナーケアなのだ。
脂肪細胞から分泌され、肌老化を促進していた悪玉物質を減少させることで、かつてない美肌実感がもたらされるという。大きな手応えにつながるのは、全身をぐるりと覆う脂肪でこそ、効果を発揮するから。驚くのは、飲み始めて数日で全身のあちこちがツルツルすることだ。そういう効果の現れ方自体がどこか未来的だ。またポーラの傘下にあるオルビスが飲むスキンケア「ディフェンセラ」を国内初の“トクホ=特定保健用食品”としてデビューさせたのも特筆すべきこと。セラミドを体の中からつくることから、やはり全身保湿の先進的な肌実感をもたらしてくれる。
異彩を放つのが、日清食品の「ヒアルモイスト発酵液」だろう。日清が誇る微生物ライブラリーから、ヒアルロン酸を体内でつくらせる効果のある乳酸菌を発見。その「ヒアルモイスト乳酸菌」を発酵させた培養液を美容ドリンクとして商品化したのだ。こちらも飲み始めて数日で、かさつく膝やかかとがツルツルしたり、ドライアイが改善したりという思いがけない変化が次々起こる。1本50mlのドリンクの約40%がヒアルモイスト乳酸菌液。しかもコラーゲンも5,000mg配合。見事に死角がない。ロート製薬の再生医療研究の成果といえる“脂肪幹細胞の培養液”をベースにした集中美容ドリンクもまた、ドリンクの常識を覆すほどの驚くべき即効性で注目を集めている。
かくして今まで、コラーゲンが絶対の主役であった世界に、成分的にも処方的にもまったく異なるアプローチが生まれているわけだが、じゃあコラーゲンはどうなのだろう。改めてそこを検証してみると、やはりコラーゲンにはコラーゲンの、圧倒的な優位性がある。なぜなら人間の体の最も重要な素材。肌はもちろん、髪に骨、関節、靭帯、血管に内臓などまで全身に広く分布し、腱に至っては8割以上がコラーゲンとされる。年齢とともに急激に減少し、全身のあちこちで不足状態にあるからこそ、手応えを得るためには確実に吸収される低分子コラーゲンを毎日5千〜1万mgは摂取することが必要になる。
折しも今、改めて脚光を浴びているのが、コラーゲンの専門メーカーでもある「ニッピ」。この老舗が最大級のコラーゲン効果をもたらすものとして、高純度の低分子コラーゲンペプチドパウダーを提案しているのだ。日々5千〜1万mg摂取することで、肌のハリツヤが増し、膝の痛みが軽減し、骨密度も改善し、減った髪も増えてくるなど、全身のトラブルに思いがけない効果を得たという報告が絶えないのだ。その結果、今、コラーゲンパウダーの評価が急上昇。コーヒーなどに溶かせば匂いも味も気にならず多量に摂取できるうえに、コスパがよいことも人気の要因だ。
もうひとつ、飲むエイジングケアとして知っておくべきは、毛細血管にフォーカスした「Tie2」のサプリ。どこからともなく若々しさが蘇ってくる。
飲む美容は言ってみれば、血液とともに全身を駆け巡る究極の全身エイジングケア。飲む形でなければ成立しない美容もあることの証しである。
ところでなぜ今にわかにインナーケアが進化を見せたか。これは十数年前、プチ整形の名のもと美容医療が一気に身近なものとなり、と同時に「塗る化粧品」にも限界が見え、それに代わる革命的エイジングケアの開発が急務となったから。美容医療と効果を競うほどの潜在能力をもつのは「飲む美容」以外にないという見方から執念の開発が始まり、十数年をかけて今ようやく花開いた。だから、今なのだ。考えてみてほしい。実際、血中ルート美容ほどの可能性を秘めたものはほかにない。ちなみに私は、塗るだけではもう持たない。すでに「飲む美容」に頼る毎日なのである。