BY HIROYA ISHIKAWA

ゆったりとして見やすい展示スペース
COURTESY OF ARTEMIDE
ミケーレ・デ・ルッキとジャンカルロ・ファッシーナによる「トロメオ」や、リチャード・サッパーが手がけた「ティチオ」など、名作と誉れ高い照明を数多く世に送り出しているブランドが、イタリアのアルテミデだ。
アルテミデは1959年の創業以来、光のデザインとイノベーションにおいて高い技術力を誇り、「The Human Light」の理念のもと、環境にも配慮しながら数々の革新的なプロダクトを生み出してきた。

リチャード・サッパーが手がけたティチオ
COURTESY OF ARTEMIDE
日常的に使うものでありながら、ティチオがMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選出されているように、そのどれもが高いデザイン性を誇り、コレクションピースのような輝きを放っている。

ショールームは3つのスペースに区切られている
COURTESY OF ARTEMIDE
そんなアルテミデの照明のフルコレクションがそろう、アルテミデ東京ショールームが東麻布にオープンした。3つに区切られた展示スペースに現行モデルがズラリと並ぶ様は、さながらデザインミュージアムの常設展のよう。ひとつひとつが見応えたっぷりで、そこに居るだけで気分が高まる場所だ。

アルテミデ代表のカルロッタ・デ・べヴィラックァ氏
PHOTOGRAPH BY HIROYA ISHIKAWA
「価値のあるものがみんなに行き渡るようにすること。そして、より良い生活を送るため、この世界を持続可能なものにしていく。そんな考え方をベースに、アートのような美しいデザインにもこだわっているのがアルテミデの照明です」そう話すのは、今回来日したアルテミデ代表のカルロッタ・デ・べヴィラックァ氏だ。

ミュージアムのような空間デザイン
COURTESY OF ARTEMIDE
ショールームに展示されている数ある素晴らしい照明の中から、自分に合うものを選ぶ秘訣について、カルロッタ氏はこう話す。「デザインや機能性はもちろんですが、その照明が照らし出す光にも注目してみてください。自分にとって好きな光を見つけることが、アルテミデとの良い出会いになると思います」
では、今、注目すべき照明を紹介したい。

BIGによるステラ ネブラ
COURTESY OF ARTEMIDE
建築家ビャルケ・インゲルスが率いる建築事務所BIGが手がけた、しゃぼん玉のような照明が「ステラ ネブラ」だ。ユニークかつ幻想的なペンダントライトで、ガラス玉の部分は、ヴェネチアの工房でハンドブローによって作られているため、ひとつひとつの形は微妙に異なる。にもかかわらず、光源のついたアルミ製のパーツにピタッとハマっているのは、アルテミデの特許技術の賜物だ。

アーネスト・ジモンディが手がけたディスカバリー
PHOTOGRAPH BY HIROYA ISHIKAWA
アルテミデグループの創設者であり、デザイナーのアーネスト・ジモンディが手がけた照明が「ディスカバリー」だ。薄くて平らなまるで鏡のような形状で、スマホを使って色や彩度などを簡単に調整できる優れもの。時間帯や気分、シチュエーションなどに合わせて、自分好みに調整した光が周辺を照らしてくれる。これまでの照明とは違う使い方もできそうだ。

リアリティ・ラボによるIN- EI
PHOTOGRAPH BY HIROYA ISHIKAWA
実はアルテミデの照明には日本のデザイナーやブランドも起用されている。例えば、ISSEY MIYAKEのリアリティ・ラボが手がけたのが「IN-EI」シリーズだ。和紙のように見えるシェード部分はペットボトル再生繊維を使った不織布で、この照明のために開発されたもの。シワ加工が施されているため、やさしく表情のある光を放ち、文字通り室内に”陰影”をもたらしてくれる。

深澤直人がデザインしたデメトラ
PHOTOGRAPH BY HIROYA ISHIKAWA
プロダクトデザイナーの深澤直人がデザインしたのがタスクライトの「デメトラ」。ムダを削ぎ落としたミニマルなデザインが美しい。機能もシンプルで、だからこそ使いやすさが際立っている。ワイヤーで制御されたアーム部分の動きは滑らかで、止めたいところでピタッと止まるため、ストレスがない。さらにLED光源のついた薄い円盤形のシェードは可動域が広く、クイっとひねれば角度が変わり、照らしたいところを照らしてくれる。タッチ調光付きで目にもやさしい。

アルテミデのバラエティ豊かな照明を一挙に見られるのが嬉しい
COURTESY OF ARTEMIDE
ほかにもショールームには、魅力あふれる照明が数多く展示されている。その数はおよそ120点。部屋に合う照明を選びに来たつもりが、照明に合うように部屋の模様替えを検討したくなるほど存在感のある製品ばかり。気に入ったものがあれば、販売店を紹介してもらえるし(2023年4月現在)、いずれはここでも購入できるようになる予定だ。
「ショールームは光を体験する場所だと思ってほしい」と話すカルロッタ氏。日々の暮らしの中での、光の大切さにも気づかされる場所なのである。

エレベーターを降りると正面にブランドのロゴマークが現れる
COURTESY OF ARTEMIDE
アルテミデ東京ショールーム
住所:東京都港区東麻布1-23-5 PMCビル8F
電話:03-6230-9912
時間:11時〜17時(アポイント制)
定休日:土・日・祝
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