TEXT & PHOTOGRAPHS BY HIROYA ISHIKAWA

バング & オルフセンの歴代の名作がズラリと並ぶ展示風景
極上のサウンドを奏でるだけでなく、デザイン性にも優れたオーディオブランドとして人気のバング & オルフセンが、この春、待望の新製品「ベオサウンド A5」をリリース。それを記念したアーカイブ展 “The B&O Design - From the Present to the Past -” が、西麻布のカリモク コモンズ トウキョウにて開催中だ。
1925年にデンマークのストルーアで誕生したバング & オルフセン。今回の展示では1960年代以降の製品を時代ごとに紹介。それらを一気に鑑賞することで、同ブランドが製品価値として大切に守ってきた、美しいサウンド、タイムレスなデザイン、比類なきクラフツマンシップを実感できる内容になっている。

ベオリット 608 AM,1962
展示は1960年代に発売されたベオリットシリーズのラジオからはじまる。この時代のバング & オルフセンがスローガンに掲げていたのは、商品の価格以上にデザインとクオリティを優先すること。例えば、会場に展示されているベオリットシリーズはやわらかな形状や角のない持ち手が特徴で、細部にわたって妥協のない作り込みが見てとれる。そして、これらは最新のベオサウンド A5にも継承されているのだ。

ベオサウンド 3200, 2003
1980年代はレコードプレイヤーからCDプレイヤーに移行した時期で、バング & オルフセンはスピーカー技術の開発に注力。会場には最高の音質を追求するだけでなく、空間を彩るオブジェのようなデザインのスピーカーが並ぶ。
そして、2000年代以降はプレイヤーとスピーカーだけのシンプルな構成が主流に。そこからアンプとスピーカーの技術を詰め込んだオールインワン、さらには現在のWiFiスピーカーへと変遷する流れを、実際の製品を通して感じ取ることができるようになっている。

ほかのブランドとコラボレートした製品や、オーディオ機器以外の製品も展示されている
実はオーディオ以外の製品も作ってきたバング & オルフセン。会場に展示されている時計や電話を見ると、どんなプロダクトであろうが、タイムレスなデザインという哲学が一貫していることがよくわかる。

ベオプレイ H9i×リモワ, 2019
また、リモワやオニツカタイガー、ベルルッティなどほかのブランドとのコラボ製品も多数展示。いずれもバング & オルフセンらしさを損ねることなく、新たな魅力を生み出す製品作りには舌を巻くほかない。

最新モデルのベオサウンド A5。ダークオーク(左)¥159,990、ノルディックウィーブ(右)¥149,990 の2色展開/バング & オルフセン
こうした歩みの延長線上にあるのが、今回のベオサウンド A5だ。デンマーク人とイタリア人のデザインユニット、ガムフラテージとのコラボレーションによってデザインされ、本体と持ち手にダークオークを使ったスカンジナビアらしい雰囲気の「ダークオーク」と、ラフィアに見立てた漉き紙を使った繊維素材をまとった「ノルディックウィーブ」の2タイプが登場。最新の技術を詰め込んだオーディオ機器でありながら、自然の温もりを感じるデザインに仕上がっているところがバング & オルフセンらしい。

ショールームで音楽を奏でるベオサウンド 2(写真右端)。¥399,900/バング & オルフセン
実は今回の展示会場となったカリモク コモンズ トウキョウの2Fと3Fは、木製家具メーカー、カリモク家具のショールームになっている。だからこそ実現したのが”マルチルーム”体験だ。

B5版ブックシェルフ型WiFiスピーカー、ベオサウンド エマージ(写真右端)。¥93,990/バング & オルフセン
製品の特徴を活かし、ショールームの部屋にさりげなく置かれた複数のネットワーク対応スピーカーをシームレスにつなげることで、空間全体をひとつの音楽で包み込んでいる。
そこに流れているのは、作曲家の阿部海太郎氏がバング & オルフセンのために特別に制作したオリジナル曲と同氏のプレイリスト。スピーカーからの音が空間全体に広がるため、音の出どころ、つまりスピーカーの設置されている場所がすぐにはわからない。空間に合わせて音量が最適化されていることもあり、耳触りの良い自然な音の響きを感じることができるだろう。

ベオサウンド バランス(写真右手前)。¥369,900〜/バング & オルフセン
洗練さと温もりを宿すカリモク家具の木製家具との相性の良さも見逃せない。それはつまり、バング & オルフセンの製品が日本らしい和の空間にも合うということだ。
1Fでブランドの歴史を知り、2F、3Fでその実力を存分に体感したら最後、新旧の名作オーディオたちに時代を超えて恋してしまうこと必至の展覧会となっている。
“The B&O Design - From the Present to the Past -”
会場:カリモク コモンズ トウキョウ
会期:2023年6月16日(金)まで
住所:東京都港区西麻布2-22-5
時間:12時〜18時
休館日:日曜
期間限定マルチルーム再生は、2F、3Fにて6月25日(日)まで開催。
※6月25日(日)は臨時営業
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バング & オルフセン
TEL.0800-0600-0206
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