古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。今回は爽やかな初夏のムードをたたえた花束を東京・経堂の「uto」に束ねてもらった

TEXT & PHOTOGRAPHS BY YURI TAKAHASHI

小満 5月20日〜6月4日

  麦が実り、バラや紅花が満ちる小満。木々の若葉も青葉へと変化していく。日もすっかり長くなり、陽射しが眩しくなる季節。太陽に向かって飛んでいくように見えることから名がついたと言われる “天道虫” (てんとうむし)が飛びはじめるのもこの頃だ。小満が過ぎれば、いよいよ梅雨のはじまり。衣替えをしながら、近づく夏の準備をはじめたい。

画像: 小さな包装紙を重ねながら、見た目にも楽しいブーケにしてくれる。¥5,500

小さな包装紙を重ねながら、見た目にも楽しいブーケにしてくれる。¥5,500

 母の日が終わると、花屋は一気に初夏の様相に。バラやシャクヤク、クレマチスなど旬の花をメインに、ベアグラスやヒゲナガスズメノチャヒキを加えることで、まるで野原で野草を束ねたかのようなラフさと、遊び心を加えている。大人の女性を笑顔にする、花瓶に飾るのが楽しみになる花束だ。

画像: ブーケそのままを飾っても、一輪ずつ好きなところに飾っても、様になる花で束ねられている

ブーケそのままを飾っても、一輪ずつ好きなところに飾っても、様になる花で束ねられている

 経堂駅と千歳船橋駅のちょうど真ん中あたりにある「uto」。
「駅から少し離れているこの物件に決めたのは、単に花を売るだけでなく、花の魅力を知ってもらう為に、お客様とゆっくり話す時間を設けたいから。」
 顔なじみのお客さんにおすすめを聞かれると、ついつい熱っぽく話をしてしまうという店主の松永佳純さん。家に飾るなら場所や花瓶、ギフトなら用途や相手のパーソナリティまでを聞き出し、その人に寄り添う花を提案している。

画像: 旬の花を中心に、松永さんの琴線に触れた花が美しく並ぶ

旬の花を中心に、松永さんの琴線に触れた花が美しく並ぶ

 天井の高い空間に、大きな展示台、ディスプレイ用の棚、小さな机と椅子だけ。ギャラリーと勘違いして入店してしまう人が多いというのも頷けるほど、潔い空間。澄んだ空気を感じる店にしたかったという松永さんの意志を反映させた店内には、大きな窓から優しい光が差し込む。インスタを見て遠くからutoを目掛けてくる人にも、毎週来てくれる近所の人にも、花を好きになってもらいたいという気持ちが満ち満ちている。ブーケを抱えた帰り道が楽しくなる花屋だ。

画像: まるでアートスペースのような店舗。しかし不思議と居心地の良い空間だ

まるでアートスペースのような店舗。しかし不思議と居心地の良い空間だ

uto
ウト
住所:東京都世田谷区経堂4-33-21 1F
電話番号:03-6413-7410
営業時間:12:00〜18:00頃
定休日:月・火曜日
営業時間、定休日はインスタグラムの最新の投稿から
公式インスタグラムはこちら

参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA
『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社
山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版

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