古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。今回は夏本番を迎える夏至にぴったりの花束を、東京・祐天寺の「The Little Shop of Flowers」に束ねてもらった

TEXT & PHOTOGRAPHS BY YURI TAKAHASHI

夏至 6月21日〜7月5日

 1年で1番昼が長い夏至。太陽が高くなり、影は短くなっていく。全国的に梅雨模様だが、夏至が明ければいよいよ本格的な夏の到来。

 1年の折り返しに当たる6月30日は夏越の祓(なごしのはらえ)。半年間の穢れを落とし、残り半年を無事に過ごせるように願う神事だ。神社には大きな茅の輪が掲げられ、和菓子屋には厄除け意味が込められている瑞々しい水無月が並ぶ。厳しい夏に備え、体調を整える期間にしたい。

画像: 花や植物の組み合わせはその日によって変わる。お店を覗く楽しみのひとつになりそう(各)¥2,200

花や植物の組み合わせはその日によって変わる。お店を覗く楽しみのひとつになりそう(各)¥2,200

 室町時代、武家礼法では進物を包む際に和紙を用いた“折形”という文化が浸透し、江戸時代には町人文化として広まり、現在の祝儀袋や熨斗の源流となっている。この折形は包むものによって、包み方が変わる。The Little Shop of Flowersでは 折形の中の“草花包”に着想を得た小さな花束を常時用意。友人や仕事相手、家族やパートナーへの気取りのないささやかなギフトにぴったりだ。

画像: 店先に並ぶ草花包。ギフトだけでなく、自分用に買っていく人も後を絶たない

店先に並ぶ草花包。ギフトだけでなく、自分用に買っていく人も後を絶たない

 神宮前6丁目の緑に囲まれた一軒家の花屋「The Little Shop of Flowers」が2023年に惜しまれつつ閉店。2024年初夏、祐天寺に「babajiji house」内に移転し、現在はプレオープン中。7月7日、「eatrip」の飲食とグローサリーと共にグランドオープンする。

「神宮前6丁目で 11 年という間に経験できた都市のど真ん中にいる花屋のあり方を経て、今までとこれからが混在している祐天寺という場所への移転は大きな転期。お客さまの生活にこんなに距離が近いお店だからできる、街との関係づくりが楽しみです」と壱岐さん。

画像: グローサリースペースでドリンクを傾けながら、花を選ぶことも可能

グローサリースペースでドリンクを傾けながら、花を選ぶことも可能

 新しい本店では、意識的に山採りの和花を置くようにしている。以前は緑に囲まれた店舗だったが、これからは暦や日本の旬を感じさせる花を届ける店づくりを目指しているんだそう。「草花包もですが、記憶に残るもの、知っていると嬉しくなるようなストーリーを届けることを意識的にやっていきたいと思います」

 思わず共有したくなる話の種と共に、気持ちをこめた花束を持ち帰ることができる。心が豊かになりそうな花屋だ。

画像: 瑞々しい花を選びに出かけたい

瑞々しい花を選びに出かけたい

The Little Shop of Flowers at babajiji house
ザ リトル ショップ オブ フラワーズ at ババジジハウス
住所:東京都目黒区祐天寺1丁目22-7
電話番号:03-6452-3723
定休日:水・木曜日
プレオープン中のため、営業時間、定休日はインスタグラムの最新の投稿から
公式インスタグラムはこちら

参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA
『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社
山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版
伊勢安斎 編著ほか『包結図説 : 伊勢流図解・紙包みと紐結び』国書刊行会
折形デザイン研究所『折形デザイン研究所の新・包結図説 : つつむむすぶおくる』折形デザイン研究所
山口信博『つつみのことわり : 伊勢貞丈『包之記』の研究』折形デザイン研究所
飯田猷子『日本の折形歳時記 : 礼の心』日貿出版社

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