“サムライ・ギタリスト”として、国内のみならず世界各地を沸かせてきた。国連機関の親善大使として、ギターとボールを抱えて難民キャンプを訪ねてきた。さまざまなボーダーを超え、地球市民(グローバル・シチズン)としてインパクトを与え続けるMIYAVIに肉薄する

BY MAKIKO HARAGA, PHOTOGRAPHS BY AKINORI ITO, STYLED BY FUSAE HAMADA, HAIR BY ASASHI(OTA OFFICE ),MAKEUP BY NOBUKO MAEKAWA(PERLE)

 今、MIYAVIは東京にいる。娘たちに日本文化を学ばせるため、今年の初めにロサンゼルスから一時帰国していた。「世界難民の日」(6月20日)には、難民五輪選手団を招く大規模なイベントが予定されていたが、オンラインでの開催になった。それでも自分が今、日本にいることは必然だと感じると言う。「日本にも難民と呼ばれる人たちはいます。その状況を伝え、もっと難民問題が議論されるようにしたい。そこの風穴を開けるのは、たぶん僕たちみたいなアーティストなんだと思う。空気を読まずに突っ込んでいけるから」

 音楽家としてのMIYAVIは、リアルとバーチャルをどう共存させていくか、その答えを見つけようとしている。VR(仮想現実)のデバイスが普及したら、ライブも“リアルの代わりになるバーチャル”で体験できるだろうと考えている。
「ただし、人の心に響く“音楽にしかできないもの”は変わらない。それをどう違うフォーマットに変換していくか。その作業は僕たちの責任になると思う。今、産業革命と同じくらいのレベルで時代が変革しようとしている。自分のスキルを使って、存在価値をもったまま、どうバーチャルへシフトしていくか。その延長線上で、どうこの地球に貢献していくか。それに対する考えをもっていないといけない時代になると感じます」“地球にどう寄り添うか”を念頭に置いて、いかに自らを変容させられるか。彼はそれを考え続ける。

画像: 緊急事態宣言下のステイホーム期間中、「この状況下でできることを」と、自宅で娘たちと演奏する“ファミリーライブ”を配信 COURTESY OF MIYAVI

緊急事態宣言下のステイホーム期間中、「この状況下でできることを」と、自宅で娘たちと演奏する“ファミリーライブ”を配信
COURTESY OF MIYAVI

「日本も世界の一員だということを、この国に住んでいて感じられるようにしたい。そのためには、語学が大事です。ちゃんと世界と対峙していくという意識。対話力。どちらも言葉からくるものだか
ら」。25歳まで英語が喋れず、努力して習得した。だからこそ、この国の英語教育を変える推進力になりたいと言う。「言葉は相互理解の姿勢だと思う。言葉を知ることで、人の心を知る。人を知ることで、世界を知る」。現在は中国人の先生をできるだけ帯同し、寸暇を惜しんで中国語を勉強中だ。

 未来世代を育むための教育にも、MIYAVIの関心は深い。「道徳こそ学校で教えるべきなのに、日本の教育には足りていないと感じます。共存社会で人としてどうあるべきか。その倫理観を教えることが、欠落していると思う。『カッコいい』の概念が変わらないとね。僕もそうでしたけど、誰しもダメなことに心が惹かれてしまうから」。人、モノ、社会に対する思いやりを大切にするのはカッコいいことなのだと、彼は熱く語る。「教える人も、カッコよくなければ。教育者は気高い職業として、もっと優遇されるべき」

 ロックと道徳は真逆のベクトルと思えるが、違うのだろうか?「それは前の時代の人たちがつくってきたイメージであって、僕の中ではロックというのは、今までの“あり方”を壊す、新しいやり方でやる、そしてそれが有益である、ということなんです」

「教えられるのと学ぶのは違う」と彼は強調する。
「“そうしたい”と思わせることが、教えることなのかなと思う。僕はリミッターをはずして『こんなに思うままに生きていいんだ』というのを見せたい。そういう意味で、カッコよくUNHCRの水色の帽子を被ってきたという自負があります。親善大使をすること自体がロックであるというスタンスを貫きたい」

画像: 「消費優先ではもう立ちゆかないと人々が気づき始め、コロナ禍でそれが加速した。ラグジュアリー ブランドのグッチがひたすらまっすぐ“地球に対する責任をもつこと”に突き進もうとしていることに驚きとリスペクトを覚えた」と言う。同社は難民を採用するなど人道支援活動にも以前から取り組んでいる。CEOのマルコ、ビッザーリと言葉を交わすうちに、同社の理念とMIYAVIの思いが鳴することを知り、意気投合。MIYAVIは「グッチ オフ ザ グリッド」のグローバルキャンペーンに登場することに トップス¥75,000、パンツ¥130,000、アンダーウェア¥20,000、右側のシングルピアス¥37,000、左側のシングルピアス¥176,000、ネックレス¥54,000/グッチ グッチ ジャパン クライアントサービス フリーダイヤル:0120-99-2177

「消費優先ではもう立ちゆかないと人々が気づき始め、コロナ禍でそれが加速した。ラグジュアリー ブランドのグッチがひたすらまっすぐ“地球に対する責任をもつこと”に突き進もうとしていることに驚きとリスペクトを覚えた」と言う。同社は難民を採用するなど人道支援活動にも以前から取り組んでいる。CEOのマルコ、ビッザーリと言葉を交わすうちに、同社の理念とMIYAVIの思いが鳴することを知り、意気投合。MIYAVIは「グッチ オフ ザ グリッド」のグローバルキャンペーンに登場することに

トップス¥75,000、パンツ¥130,000、アンダーウェア¥20,000、右側のシングルピアス¥37,000、左側のシングルピアス¥176,000、ネックレス¥54,000/グッチ
グッチ ジャパン クライアントサービス
フリーダイヤル:0120-99-2177

 この熱量を、どうやって保っているのだろう? 自分に妥協を許さず高みを目指し続ける秘訣を聞くと、傍らの先生を見て中国語で答えた。「学び続けること」と言ったようだ。「時間がない」「もう若くないから」などの言い訳は、彼の前では口にできそうもない。
「そこがある種、僕の欠点かもしれない。まっすぐでないものに対して、曲がり切れないというか……。自分が燃えているがゆえに、目の前の人が曲がっているときに、僕は許容できない。というか、曲がらなくてもいい方法があるのに、それに対して目をつぶることは、愛じゃないと僕は思う」

 切れ味の鋭い言葉に、厳しい一面を見た。でも身近なたとえ話を聞いて、すとんと腑に落ちる。「だって、チャックが開いてたら、『開いてるよ』って教えてあげたいですもん(笑)。『だらしないな、でも個性だからいいか』じゃなくて、僕は『開けとくのか閉めるのかは任せるけど、俺は閉めたほうがいいと思うよ』というスタンス。でも、その人にとって必ずしもそれが楽な“あり方”ではなかったりする。だから、愛だとわかってもらえないこともあると思う」

 予定時間を大きく超えてしまったので、インタビューの終了を告げた。するとこちらを気遣い、質問表を律儀に読み返した。「ちゃんと答えになっていたかな、と思って」。MIYAVIの背すじは、最初から最後まで、まっすぐに伸びていた。

 

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