原田知世は”歌う”という表現を通して、何を感じ、何を得てきたのか。音楽の原体験から、新しいアルバム作りへの思いまで、その心境に迫る

BY SHION YAMASHITA, PHOTOGRAPHS BY KIKUKO USUYAMA, HAIR AND MAKE UP AND STYLED BY TOMOMI FUJIKAWA AT FIGUE

画像: 俳優・歌手として活躍し続ける原田知世。今秋、『恋愛小説4~音楽飛行』をリリース。世代を超えて愛されてきた1960~70年代の洋楽より、自身もお気に入りのナンバーが満載

俳優・歌手として活躍し続ける原田知世。今秋、『恋愛小説4~音楽飛行』をリリース。世代を超えて愛されてきた1960~70年代の洋楽より、自身もお気に入りのナンバーが満載

「音楽は自分にとって“日記”のようでもあります。これまで発表してきたアルバムを聴くと、その時の自分が見えてくるんです」と語る原田知世。デビュー作となった映画『時をかける少女』に出演した当時から、“演じる”ことだけでなく、“歌う”という表現にも取り組んできた。そんな彼女の音楽に触れた原体験とは、どのようなものだったのだろうか。
「私は幼稚園の頃からずっとバレエを習っていて、発表会が年に一度あったんですが、そこで披露するために1年にわたって同じ曲で練習をしていました。クラシックとモダンの2つの演目があって、クラシック音楽だけでなく、洋楽から選曲することもありました。バレエを通して、ザ・ビートルズとも出合いました。自分が踊る時の曲だけでなく、ほかの生徒が踊っている時もずっと聴いているので、当時の曲はよく覚えています」

 最新アルバム『恋愛小説4〜音楽飛行』にも選ばれたナンバーは、彼女を幼少時の思い出へと誘う。
「子どもの頃、家でよく2歳上の姉と一緒に歌を歌っていました。当時は歌番組が盛んな時代で、それを見て曲を覚えていましたね。そしてピンクレディーさんとか、流行っていた曲の振付をみんなが普通に真似をして踊ったり、歌ったりしていました。誰かに聴かせるということではなく、歌うことで、自分がうれしくて楽しかったんです。最近になって、子どもの頃に歌っていた時の気持ちを思い出すと、自分のために歌うということって、大事だなと気づきました」

 歌手として活動し続けてきた彼女にとって、ターニングポイントとなったひとつに、鈴木慶一との出会いがある。
「10代の頃は映画の主題歌を歌わせていただくこともあって、映画のキャラクターに合わせたような曲をたくさん作っていただきました。役とは少し離れて、音楽を自分のものとして表現したいと思ったときに出会ったのが、鈴木慶一さんでした。私の声にはどういう歌がいいのかを模索しながら、レコーディングを一緒に過ごさせていただきました。非常に丁寧に音選びをしたり、私が好きな言葉やそうでない言葉を聞いてくださりながら、ひとつひとつ言葉を紡ぎ、私自身を映し出すような歌詞を織り上げてくださったり。とても刺激的な経験だったと思います。当時のアルバムを改めて聴いてみると、それまでになかったトライをしていて、すごくのびのびと歌っていたんです。慶一さんからエモーショナルなものを引き出していただいていたんだなと思いました」

画像: ラブ・ソング・カヴァーアルバム第4弾「恋愛小説4~音楽飛行」は、ジョージ・ハリソンの「ヒア・カムズ・ザ・サン」で始まり、ザ・モンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」、カーペンターズ「遥かなる影」など、往年の名曲がちりばめられている。「中でも、ニール・ヤングの曲はいつか歌ってみたいと思っていました」

ラブ・ソング・カヴァーアルバム第4弾「恋愛小説4~音楽飛行」は、ジョージ・ハリソンの「ヒア・カムズ・ザ・サン」で始まり、ザ・モンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」、カーペンターズ「遥かなる影」など、往年の名曲がちりばめられている。「中でも、ニール・ヤングの曲はいつか歌ってみたいと思っていました」

 数々の名曲を原田の色に染めた『恋愛小説4〜音楽飛行』には、どんな感情が記されているのだろうか。
「音楽には、曲を聴いた瞬間に当時の風景へ移動できる不思議な力があります。今回のアルバムでは私が生まれた年に近い1960年代と70年代の、誰もが知っているバラードやポップスから選曲しています。中でもニール・ヤングの曲は、私が“自分の心の旅をする曲”なんです。10歳上の兄がいるんですが、私がまだ7歳くらいの頃、兄の部屋からギターで弾き語りの練習をしているこの曲が聞こえてきました。それを姉と一緒に耳を澄ませて聴いていたんです。ニール・ヤングの曲を聴くと、長崎ののどかな田舎でのんびりと過ごしていた少女時代の光景が甦ってきます。この曲に関しては伊藤ゴローさんがアレンジに一苦労なさっていたようでしたが、いいところに落ち着きました。『恋愛小説4〜音楽飛行』を聴いていただくことで、皆さんにもご自身の思い出へと旅をしていただきたいです」

 音楽で甦る記憶の旅。そして、歌うことは、“今”の原田自身を音楽という日記で綴るということでもある。歌うという行為を通して、どんなことを感じているのだろう。
「お風呂で歌っているときが一番楽しいですね。お風呂で練習すると、いいエコーがかかって、すごく上手くなった気になるというか、すごく調子がいいぞって思えるんです(笑)。そうすると、もっとオーバーに声を出せるのが、不思議ですよね。レコーディングに入った時に、その時の感覚を思い出そうって、いつも思います」と笑顔で語る原田。
「おそらく歌うことで私自身も癒やされているのではないでしょうか。曲にも依りますが、自分が心地いいゾーンに入って歌えることって、奇跡のようなことなんです。ライブ中にそういう瞬間が持てたら、すごくいいなと思います」

画像: 『恋愛小説4〜音楽飛行』初回限定盤ボーナスCD¥4,070(2020年10月16日東京国際フォーラム ホールAにてライブ録音した5曲を含む)。通常盤¥3,300/ユニバーサル ミュージック  COURTESY OF UNIVERSAL MUSIC

『恋愛小説4〜音楽飛行』初回限定盤ボーナスCD¥4,070(2020年10月16日東京国際フォーラム ホールAにてライブ録音した5曲を含む)。通常盤¥3,300/ユニバーサル ミュージック

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問い合わせ先
ユニバーサル クラシックス&ジャズ 
TEL. 03-4586-2389

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