BY REIKO KUBO
2019年の女優デビュー以来、映画を中心に出演を重ね、新人賞など多数の賞に輝いてきた河合優実。『あんのこと』は、TVドラマ「不適切にもほどがある!」の大ヒットで全国区の顔となった彼女の最新主演映画だ。コロナ禍で大切な人を亡くし、その思いを静かな熱量の中に刻みつけたのは、『SRサイタマノラッパー』シリーズで人気の監督、入江悠。
河合が演じる21歳の杏は、母と足の不自由な祖母との3人暮らし。小学4年生から不登校になり、母親から虐待され、麻薬の常習者となってしまう。そんな彼女にひとりの刑事と更生プログラムを取材する記者が手を差し伸べるが……。絶望の世界に差し込んだ一筋の光によって変化してゆく杏の表情を繊細に演じ、見る者の心をゆさぶる河合。熱血漢の刑事の顔に得体のしれなさをにじませる佐藤二朗。記者の思惑を抱えながらも、ある種ニュートラルな視線を物語に呼び込む稲垣吾郎。彼が表現する戸惑いと悔恨が観賞後の胸にじわじわと広がってゆく。
『あんのこと』
6月7日(金)公開
公式サイトはこちら
▼合わせて読みたいおすすめ記事