BY MALINA JOSEPH GILCHRIST, ANGELA KOH AND ISABEL WILKINSON, TRANSLATED BY TOMOHI HATA
1. 政治情勢に切り込むデザイナーたち
ファッションとは単に服のこと、なんて誰が言ったのだろう? 先日、ニューヨークでコレクションを発表したデザイナーのうちの何名かは、自らのショーでトランプ政権と政治状況全体に対してメッセージを発信した(比喩的なものもあれば、よりあからさまなものもあった)。パブリックスクールでは、“Make America New York(アメリカをニューヨークにしよう)”と書かれた赤のベースボールキャップが登場し、アダム・リップスは抗議看板を作りそれを自宅近くのワシントン・スクエア・パークで公開した(その日の午後、ワシントン・スクエア・パークではプランド・ペアレントフッド[全米家族計画連盟]のデモ行進が行われた)。プラバル・グルンのフィナーレでは、モデルは “I Am an Immigrant(私は移民だ)”、“Revolution Has No Borders.(革命に国境は必要ない)”とメッセージが入ったTシャツを着用。ショーを締めくくった。
2. ラフ・シモンズのパワフルなニューヨークデビュー
ニューヨーク・ファッション・ウィークでもっとも注目を集めていたのが、ラフ・シモンズのカルバン・クラインでのデビューだ。ラフのミニマリズムを私たちは見たかったのだ。そして、彼のクリエイションは私たちの期待を裏切らなかった。ショー会場(ラフの友人でありコラボの相手、スターリング・ルビーがデザインを手がけた)から、パワースーツにバーシティジャケットやキルトなどを多用したアメリカンスタイル、そして新たにキャンペーンがローンチされたデニムとアンダーウェアにいたるまで、ラフ・シモンズはカルバン・クラインの再出発にふさわしいパワフルなメッセージを発信した。さらにガーメント・ディストリクトのヘッドクォーターで開催されたアフターパーティは、夜中まで続いた。これぞデビューを飾るにふさわしいと言えよう。