緑したたる庭に
ロジータ・ミッソーニを訪ねて

At Home (and in the Garden) With Rosita Missoni
世界的ニットウエア・ブランドの共同創設者は、85歳のいまも現役だ。ファクトリーに隣接する住まいと庭を、ミッソーニ本人が案内してくれた

BY LAURA RYSMAN, PHOTOGRAPHS BY FEDERICO CIAMEI, TRANSLATED BY AKANE MOCHIZUKI(RANDEZ-VOUS)

 専任のコックがリゾットを作り始められるようにと、ミッソーニが収穫してきた野菜やハーブ、花をキッチンに置くと、正午を告げる教会の鐘が鳴った。その後も彼女は、花をアレンジメントしたり、部屋から部屋へ椅子を移動したり、本を引っ張り出して過去のデザインを見せてくれたりと、とにかく忙しく動き回っている。そんな自分の活力について、ミッソーニはこう考察する。「間違いなく、これは幸運なことね。私は自分のキャリアのために情熱的にすべてを捧げてきたから、仕事で消耗させられるということは決してないの。『週末はこういう場所で過ごしたいわね』と夫と二人で語りあったような家に住んでいるし、子供たちも近所にいる。日曜日になれば友達も訪ねてきてくれる」

 これこそが、幸せな生活を送るためのシンプにして不変の秘訣だ。「だから私は、つらい時期も乗り越えてくることができたの」と彼女は言う。その悲劇の1年について語る彼女の声は穏やかだ。2013年に、ミッソーニはベネズエラで長男と嫁を飛行機事故で失った。さらにその事故から数ヶ月後には、夫のオッタヴィオも亡くなったのだ。「それでも、このテーブルでひとりになることは滅多にないのよ」と、彼女は息を吹き返したように明るく言う。

画像: 「私は、情熱的に仕事にすべてを捧げてきたから、決して仕事で疲れることはないのよ」とミッソーニは言う。彼女の活力の源泉についても語ってくれた。「私は『週末はこんなところで過ごしたい』と夫と思っていたような素敵なところに暮してる。子供たちも近くにいて、日曜日になれば友達も訪ねてきてくれるの」。それは幸せに暮らすためのシンプルな秘訣だ

「私は、情熱的に仕事にすべてを捧げてきたから、決して仕事で疲れることはないのよ」とミッソーニは言う。彼女の活力の源泉についても語ってくれた。「私は『週末はこんなところで過ごしたい』と夫と思っていたような素敵なところに暮してる。子供たちも近くにいて、日曜日になれば友達も訪ねてきてくれるの」。それは幸せに暮らすためのシンプルな秘訣だ

 昼食になると、ミッソーニはいくつかのグラスに白ワインを注ぎ、女家長らしくテーブルの先頭に座を占めた。チコリ・サラダ、ポーチド・エッグ、ローズマリーがトッピングされたピザ、そしてズッキーニのリゾットが続く。昼食を食べ終わると、ぜひともと言わんばかりに、隣接するファクトリーに案内してくれた。60年以上ものあいだそうしてきたように、食事の後はここで仕事をしながら一日の残りの時間を過ごすのだ。私の肩に手を置きながら玄関まで見送ってくれながら、「今日は素敵な朝を庭で過ごせたわね」とミッソーニは言った。「だけど、私の本当の居場所はこのオフィスなのよ」

画像: 庭で採れたズッキーニは、この日のランチのリゾットに。「テクニックはちょっぴり落ちたけれど、料理は上手なほうだと思うの」とミッソーニは言う。あらゆる料理のレシピを知っているものの、デザインの仕事があるため実際の調理はほかの人に任せることにしている

庭で採れたズッキーニは、この日のランチのリゾットに。「テクニックはちょっぴり落ちたけれど、料理は上手なほうだと思うの」とミッソーニは言う。あらゆる料理のレシピを知っているものの、デザインの仕事があるため実際の調理はほかの人に任せることにしている

ロジータの夏のズッキーニ・リゾット

 このリゾットは、野菜そのものの香りを残すために伝統的なレシピとは違って白ワインを使わない。最もおいしく食べるには作りたてを食べることだが、もしも残ったらリゾット・サルタートにするとまた格別だ。コゲつかない加工のされたフライパンにオリーブオイルをしき、残ったリゾットを薄くパンケーキのように広げて蓋をして焼く。表面がカリッとしてきたら裏返して焼く。「リゾット・サルタートは、子どもたちの好物なの」とミッソーニはほほ笑む。

・バター 大さじ4〜5杯
・小さめの玉ねぎ 1個(みじん切り)
・カルナローリ米 1ポンド(約450g)
・肉または野菜のブイヨン
・小さめのズッキーニ 6本
・新鮮なバジルとパセリ ひとつまみ
・おろしたてのパルメザンチーズ 大さじ5杯
・エクストラバージンオリーブオイル
・塩、こしょう お好みで

1.両手鍋にブイヨンを入れ、沸騰したらほかのバーナーに移してとろ火で温めておく。
2.お米を炒めるのにじゅうぶんな深い両手鍋に、約大さじ2、3杯のバターを入れて中火で溶かす。
3.そこに刻んだ玉ねぎを入れて、軽く炒める。お米を加えて2、3分、焦げ目がつくまでそのまま加熱する。
4.お米におたま4杯分のブイヨンを加え、刻んだズッキーニを入れる。
5.お米が中まで柔らかくなる直前まで、おたまでブイヨンを継ぎ足しながらかき混ぜる(だいたい20~25分間ゆっくり煮込む)。
6.火を消してから、ハーブ類を加える。
7.パルメザンチーズを入れ、残りのバターを入れたら最後にオリーブオイルをひと振りする。
8.最後に加えたものがよく混ざるようにかき混ぜ、数分おいてから盛りつける。

画像: ミッソーニ家では、ふだんから昼食に複数の料理が用意される。この日のメニューは、薄切りの玉ねぎが入ったチコリ・サラダ、ローズマリーをトッピングしたピザ、リゾット、ロジータがお気に入りのポーチド・エッグ用の小鍋(「絶対みんなにプレゼントしてあげるのよ」とミッソーニ)で作った卵料理

ミッソーニ家では、ふだんから昼食に複数の料理が用意される。この日のメニューは、薄切りの玉ねぎが入ったチコリ・サラダ、ローズマリーをトッピングしたピザ、リゾット、ロジータがお気に入りのポーチド・エッグ用の小鍋(「絶対みんなにプレゼントしてあげるのよ」とミッソーニ)で作った卵料理

画像: 「私はこのテーブルでは滅多に一人にならないのよ」とミッソーニは微笑みながら話した

「私はこのテーブルでは滅多に一人にならないのよ」とミッソーニは微笑みながら話した

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