BY LAURA RYSMAN, PHOTOGRAPHS BY FEDERICO CIAMEI, TRANSLATED BY AKANE MOCHIZUKI(RANDEZ-VOUS)
85歳にして働き盛りのロジータ・ミッソーニは、今日名だたるラグジュアリー・ファッション・ブランドのひとつとなったミッソーニの共同創設者であり、女主人でもある。彼女は野菜畑の湿った土の上に屈みこんで、夏の収穫物を披露してくれた。野菜の育ち具合をチェックしながら、「これはうちのキッチンで作る料理に、いくらかは貢献しているのよ」と言う。彼女の邸宅はミラノの北、スミラーゴにある森に覆われた丘にあり、私たちはその敷地を探検しているところだ。ミッソーニのファクトリーは、ハナミズキの茂みと松の木並木のすぐ向こうにある。
野菜を作る小さな区画を囲む木のゲートの内側に入ると、ミッソーニは並んだニンニクの芽や熟れる前のトマト、いくつも垂れ下がったキュウリ、背が伸びて花が咲いたキャベツなどを指し示した。強い匂いを放つ黄色いマリーゴールドが、虫除けのために一列に植えられている。彼女が続けて案内してくれた広大な翡翠色の草地は、樫の木とセイヨウトリネコの並木に囲まれ、あまり元気のなさそうな2匹の犬がだれたように横たわっている。「この2匹は私たちの守護者なのよ」と、彼女は愛情を込めて言う。その髪の毛はアヒルの尾のように編まれて片方の肩にかかっている。ミッソーニのリボンで結ばれた三つ編みは実用的なショートヘアに風変わりなアクセントを添えているが、ニットにジグザグや点描やストライプを自在に取り込み、めくるめく万華鏡に変える方法を見つけ出した女性がする髪型としては、驚くにはあたらない。