BY JOHN WOGAN, ILLUSTRATIONS BY AURORE DE LA MORINERIE, TRANSLATED BY IZUMI SAITO
ジュエリーデザイナーのマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックと宝石との運命的な出会いは、母親から小さなルビーとサファイアを贈られた7歳のとき。「すぐさま虜になったわ」とタイヤックは振り返る。大粒のルビーを探し求めてミャンマーを旅したジョゼフ・ケッセルの放浪記“La Vallée des Rubis”(1955年)を読んだのは10代の頃。「この本が私の運命を変えたの」と語るタイヤックは、1996年に自身の名を冠したジュエリーブランドを立ち上げた。
鮮やかなラベンダー色のタンザナイトのリング、宝石を虹色に配置したネックレスーーシンプルかつ女性的なデザインに用いられる石の数々は、彼女が信頼するディーラーによって世界中から届けられる。「石というのは、とてもスピリチュアルな存在よ。直感へと導いてくれるの」。今年の9月に出版された『Gold and Gems: The Jewels of Marie-Hélène de Taillac』(リッゾーリ社)では、ここで紹介したお気に入りの石の魅力についても語っている。
「この美しいオーデニール(エジプトのナイル川の水の色)は、子どもの頃からお気に入りの色。ジャイプールのディーラーから原石を見せられた瞬間、これは私のものだ!ってわかったの」

グリーントルマリン/アフガニスタン産
「これは友人から譲られたもの。とても繊細な薄紫色の色彩と素晴らしい光沢を放ち、でこぼこと不規則な形をしている。生命に満ちあふれているのを感じるわ」

ピンクスピネル/ミャンマー産