極端なフォルムや過度なまでの色使い。ファッションの想像力で閉塞感漂う時代の空気を突き破る

BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY TARO MIZUTANI, STYLED BY TOMOKO IIJIMA, HAIR BY KENSHIN(EPO LABO), MAKEUP BY TOMOHIRO MURAMATSU(SEKIKAWA OFFICE), MODEL BY HIROMI ANDO(MILLE MANAGEMENT), SPECIAL THANKS TO KAIT PLAZA AND KAIT WORKSHOP

 無彩色の空間に光と影が生み出すモノクロームの色彩。ファッションストーリー「THE ROAD OF EXCESS」の撮影場所となったのは、建築家・石上純也さんが設計した神奈川工科大学の〈KAIT広場〉だ。

画像: 〈KAIT広場〉は学生たちの展示や催し、運動部の練習場としても使える多目的スペース。春には建物の周りにある桜並木の姿が天井の穴から窺える COURTESY OF KANAGAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY

〈KAIT広場〉は学生たちの展示や催し、運動部の練習場としても使える多目的スペース。春には建物の周りにある桜並木の姿が天井の穴から窺える
COURTESY OF KANAGAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY

2020年12月に竣工した〈KAIT広場〉は石上さんの最新作となる建築物で、柱が一本もない約4,000㎡の巨大な空間。厚さ12㎜の鋼板で造られた大屋根が設置され、屋根にはさまざまな大きさの四角形の穴が開けられている。ガラスがはめられていない穴からは、光はもちろん、風や雨、時には雪が入り込み、一見無機質に見えながらも時間や季節の気配が感じられる不思議な空間となっている。透水性アスファルトで造られた床面(そのため水が浸透し、床面が濡れることがない)は緩やかな窪地状となっていて、天井の穴から差し込む光とともにランドスケープに変化をつけ、空間がどこまでも続いてゆくかのように思える。広大な施設だが、天高が約1.8m〜3mというヒューマンスケールに抑えられているからなのか、いつまでも滞在できると思えるほど心地よいのも魅力。

画像: 〈KAIT工房〉。真っ白い空間に細い柱が立ち並ぶ空間 COURTESY OF KANAGAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY

〈KAIT工房〉。真っ白い空間に細い柱が立ち並ぶ空間
COURTESY OF KANAGAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY

外に出ると、その対面に建つのは石上さんの建築の処女作となる〈KAIT工房〉(2008年竣工)。こちらは約2,000㎡のガラス張りの建物で、建物内に設置された305本の細い柱が構造体となり建物を支えている。ワークショップの場でもある工房には人力飛行機から陶芸まで学生たちが作ったさまざまなものが置かれ、ところどころ配置された植物とともに創造のユートピアのような空間となっている。ちなみに今回の撮影でも、1カットだけ工房を用いて撮影した。さて、そのカットはどこか? ヒントはガラスだ。

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