BY NORIO TAKAGI, PHOTOGRAPHS BY SATOSHI YAMAGUCHI, STYLED BY YUKARI KOMAKI
「0.125秒」の世界を統べる精緻なクロノグラフ機構
アニメーションの1コマの時間設定、ポップスに多用されるテンポ120での16分音符のリズム、WEB通信のタイムラグの許容時間……これらに共通する時間は、“0.125秒”である。人の聴覚や視覚を操り、スムーズだと感じさせる0.125秒を、このクロノグラフはコントロール下に置く。ムーブメントのテンプが、1秒間に8回振動して時をカウントしているからだ。結果、クロノグラフ秒針は1秒間に8回のステップを踏む。すなわち1/8秒=0.125秒を刻んでいるのである。瞬時の計測を可能とする精緻なクロノグラフ機構を含む、ムーブメントを構成するすべてのパーツには、完璧な手仕上げや装飾が行きわたる。裏蓋側にのぞかせるその姿は、息をのむほどに美しい。

クロノグラフ 5172G〈41㎜/WG、手巻きムーブメント、アリゲーターストラップ〉¥15,810,000/パテック フィリップ
ローズゴールドメッキにオパーリン(微粒子)仕上げを施した文字盤のカラーは、他社が多用するサーモンピンクとはひと味違った上質感を醸し出す。シリンジ(注射器)型の時分針や2カウンターといったクラシカルな要素の中に、3ステップ構造のラグが、エレガントな雰囲気を加味する。
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
TEL.03-3255-8109
マドモアゼルが繰り広げる「約20秒」のアニメーション
1950年のフランス映画『オルフェ』は、ジャン・コクトーが脚本・監督を務めた彼の代表作のひとつである。その95分の作品の中に、コクトーは鏡、不死、永遠という三つのテーマを盛り込んだ。その原案はギリシャ神話にあり、1925年に彼は同名の戯曲を書き上げ、翌年に初演を迎えた。その舞台衣装を手がけたのが、ガブリエル・シャネルだった。コクトーは、そのほか四つの戯曲と一つのバレエ作品の衣装をガブリエル・シャネルに依頼している。それらがつくられたであろうパリのアトリエの様子を、このモデルは文字盤にとどめた。それは単なる絵柄としてではない。8時位置のボタン操作で動き出し、マドモアゼルが“約20秒間”仕事をするのだ。精巧なオートマタ(自動人形)を自社でかなえたシャネルは、時計製作でも真の実力者だ。

J12 クチュール ワークショップオートマタ キャリバー6〈38㎜/高耐性セラミック、SS、ダイヤモンド、手巻きムーブメント、高耐性セラミック、SS、ブレスレット〉¥42,570,000(参考価格)/シャネル
約20秒間のアニメーションを繰り広げる、裁ちバサミを手にしたマドモアゼルとトルソー。そのなめらかな動きが、優れた設計の証しだ。ケースとブレスレットは繊細なマット仕上げに、エッジにはポリッシュ仕上げを施し、ベゼルのダイヤモンドの煌めきを引き立てた。世界100本限定。
シャネル カスタマー ケア センター
TEL.0120-525-519
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