BY MICHINO OGURA, PHOTOGRAPHS BY BUNGO TSUCHIYA AT TRON, STYLED BY FUSAE HAMADA, HAIR BY KOICHI NISHIMURA AT VOW-VOW, MAKEUP BY MASAYO TSUDA AT MOD’S HAIR, MODEL BY MIZUKI KAYASHIMA

裂き織りによくある藍色ではなく、ニュートラルホワイトで洗練された印象に仕上げた。フードのあしらいもモダンな印象。
「SAKIORI」ジャケット¥231,000・ロングベスト¥209,000・中に着たトップス¥57,200/HaaT
イッセイ ミヤケ TEL:03-5454-1705
10月に発表される「HaaT(ハート)」の「SAKIORI」。その名は江戸時代中期に普及した伝統技法「裂き織り」にちなむ。
「シーズンにひとつ、日本の伝統技術や手仕事を取り入れたシリーズを作っています」とディレクターを務める皆川魔鬼子は言う。皆川は1970年代初頭から「イッセイ ミヤケ」で故・三宅一生の右腕としてともに歩み、独自のテキスタイルの開発に尽力してきた。
「パリから帰国した三宅が、刺し子の技術を用いたジーンズを作りたいと言いました。日本の伝統的な技と素材で、世界に通用する日常着を発信したい、と。以来、国内のさまざまな土地に根ざした手仕事や技を追い求めてきました」。その中から今シーズンは、古い布を裂いて再び織り上げる、サステナブルな技術である裂き織りに光をあてている。
「子どもの頃、田舎に行くとおばあちゃんたちの手機(てばた)には余り生地を裂いて糸にしたもの、ヨコ糸に用いた小幅帯……、あらゆる糸と色の混色が素敵で、手仕事の温かさを感じたものです。その織物に触れてみたい、着てみたいと思った記憶があります」
「SAKIORI」シリーズは、古いションヘル織機も扱える尾州(びしゅう)の工場で作られる。「タテ糸とヨコ糸の番手差が大きいものを均一に織り上げるのは、現代の高速の最新機器では不可能なのです」。古い織機は手機のように繊細に織り上げることができる。

旬のシックなブラウンに染め上げた「SAKIORI」のジャケット。オーバーサイズで、ジェンダーに傾きのないシルエットも絶妙。身頃とアームで別の柄を組み合わせてアイキャッチな一着に。
ジャケット¥220,000・トップス¥55,000・パンツ¥60,500/HaaT
イッセイ ミヤケ TEL:03-5454-1705
タイツ・靴/スタイリスト私物
難しい織物を作る際、皆川は必ず工場に足を運び、自身の目で見る。「あたりに埃や糸くずが落ちていないか、織機が油まみれになっていないかも確認します。60年以上も前の機械で織るには、きちんとメンテナンスされている環境であることも重要ですから」
ゆっくりと織るため、一日にできる量は限られている。尾州では、稀少な機械を操り、高度な技をもつ職人は"匠" と称されリスペクトされているが、その数も少なくなり、皆川は技の継承と次世代の育成を緊喫の課題と考えている。
「SAKIORI」のジャケットはふっくらと織られ、着心地は軽やか。「手に取って触れたくなるような、手間ひまをかけた素材で作られた服。日本の伝統技法を広く紹介したい。かつ、現代のライフスタイルに寄り添うリアルクローズであることも大切に考えています」
皆川魔鬼子(みながわ・まきこ)
●京都府生まれ。染織工芸作家の家に生まれ、京都市立芸術大学在学中に自身のアトリエで創作を開始。1971年より三宅デザイン事務所にてISSEY MIYAKEのテキスタイルを担当、素材開発を手がける。2000年、「HaaT」の展開を開始。大学でテキスタイルデザインについて教鞭も執ってい
茅島みずき(かやしま・みずき)
●長崎県出身。俳優、歌手、モデル。ドラマ「【推しの子】」(2024年/Prime Video)ほか、話題作に多数出演。主演作に「エリカ」(2025年/FOD)、「霧尾ファンクラブ」(2025年/中京テレビ)など。3rd Digital Single「小さな足跡」配信中。
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