酒蔵を持たずに日本酒造りと販売を行う「日本酒応援団」。全国6蔵とともに、地域の名を冠した日本酒を造っている。彼らがパートナーを組む3つの蔵を取材。確固たる信念のもとに独自のスタイルを貫くそれぞれの酒蔵の、個性豊かな流儀を紹介する

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA

 梅の咲き乱れるころ、大分は国東半島へ向かった。この地域には独特の山岳宗教が栄え、一帯の寺院群を「六郷満山」と総称する。今年、2018年はその開山1300年。全国4万社余りの八幡様の総本宮「宇佐神宮」の八幡信仰が、仏教文化と神道を習合したと伝えられる。

画像: 中世のころから変わらない風景が色濃く残る。このあたりは、平成22年に国の重要文化的景観に選定され、平成23年にはユネスコ未来遺産に登録された。さらに、平成25年には国東半島を含む一体が世界農業遺産に認定

中世のころから変わらない風景が色濃く残る。このあたりは、平成22年に国の重要文化的景観に選定され、平成23年にはユネスコ未来遺産に登録された。さらに、平成25年には国東半島を含む一体が世界農業遺産に認定

 神と仏が息づく土地で「萱島酒造」は1873(明治6)年に創業した。代表銘柄は「西の関」。西日本を代表する酒=横綱でありたいと名付けられた。いまはほとんどが地元で消費されているが、ベトナムを中心に海外へも展開。日本で初めて大吟醸酒を販売したことでも知られている。

 なだらかな丘が連なり、田畑が広がる国東半島東端の国東町。杉玉の下がる立派な門構えが歴史を物語る。1914(大正3)年に造られた蔵の中は、こざっぱりとして清々しい空気が流れていた。訪ねたときはちょうど、釜場で酒米を蒸し上げる作業が行われていた。

画像: 釜場で甑の様子をチェックする「萱島酒造」当主・萱島進(左)と日本酒応援団の代表取締役、古原忠直

釜場で甑の様子をチェックする「萱島酒造」当主・萱島進(左)と日本酒応援団の代表取締役、古原忠直

画像: 100℃近い米を蒸し器から取り出し、広げて冷やす。蒸し時間や蒸し上がり具合が、酒の香りや味わいを大きく左右する

100℃近い米を蒸し器から取り出し、広げて冷やす。蒸し時間や蒸し上がり具合が、酒の香りや味わいを大きく左右する

 洗った米を水に浸け、秒単位で吸水時間を調整。甑(こしき=蒸し器)で、ピーク時には1釜750〜800kg、1日3〜4トンもの米を蒸し上げる。蒸した米は麹室に運ばれる。黄麹菌を植えれば麹に、酵母と水、麹を加えれば酒母になる。もうもうと湯気の立つ甑の回りで、様子を見る杜氏や蔵人たちの緊張感が伝わってくる。

画像: 作業が終われば、そのつど道具をたんねんに洗い、熱湯をかけて消毒。掃除が仕事の8割を占めるという

作業が終われば、そのつど道具をたんねんに洗い、熱湯をかけて消毒。掃除が仕事の8割を占めるという

「酒造りで大切にしていることが、二つあります。まずは教科書どおりにやること。もうひとつは掃除。毎日、蔵人たちは米粒ひとつ残さないように酒蔵を掃除します」と言うのは5代目当主・萱島進。酒造りにおいては、よけいな情報に惑わされず、ひねくりまわさないこと。いままで培ってきた酒造りを愚直に続けること。これが蔵の味を守るということだと言う。

 

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