深い味わいながら、甘みはスッキリ。家庭で小豆を上手に煮上げるための特別講座をお届けしよう。絶品煮小豆にファン多数の、成城「櫻子」店主に教えてもらいました

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY NASANORI AKAO

 東京・成城にある甘味・和食処「櫻子」。40年もの間、大勢の人たちに愛され続けているのは、店主の森田享子さんの作る安心安全でやさしい味と、彼女の人柄によるもの。つやつやの絶品「煮小豆」は、筆者が今まで食べたなかで、もっとも好ましく、小豆の風味が生きた味わいだ。「櫻子」の魅力は森田さんへのインタビュー記事に譲るとして、今回、家庭で作る“煮小豆おうちバージョンレシピ”を森田さん指南のもと特別にお届けする。コトコト煮る時間も楽しみながら、自宅でとびきりおいしい煮小豆を味わってみて! 

「櫻子」流・煮小豆の作り方

1. 小豆300gを洗って、たっぷりの水にひと晩浸ける。左側が浸けてひと晩たった小豆。1.5倍ほどに膨らんでいる。

画像1: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

2. 1を、直径20~22cm位の深みのある鍋に入れ、豆の10cm上まで水を張り、煮始める。

画像2: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

3. 初めは強火にかける。沸いて、むくむくと泡のようなアクが出てきたら中火に。泡は取り除かず、そのままで。吹きこぼれそうになったら火を弱め、見守りながら、ゆでる。泡が盛り上がり、山のようになってきたら火をとめる。

画像3: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

4. 鍋をシンクへ移し、上から水を流し入れて、アクをこぼす。更に、水を注ぎ続けながら、手を入れて豆を底からザッと上下に返し、よくゆすぐ。

画像4: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

5. 手を入れてダイナミックに豆を上下に返すことで、「どの子(豆)も、これで同じ顔つきになるのよ」と森田さん。「皆さん、丁寧に、恐る恐るなさり過ぎるの。料理って、思い切りよく行う部分と、細心の注意を払う部分があります。緩急つけて良いのです」

画像5: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

6. 4の豆の上10cm位まで水を入れて、中火にかける。沸いてきたら、豆が踊らないように、キッチンペーパーを水面に乗せて、弱火にする。豆が膨らんでくるので、鍋底に当たる火が均等になるように鍋の位置を調整しながら、ゆっくり煮る。キッチンペーパーの端をめくって覗いてみて、キッチンペーパーと豆の間に水が無くなってもまだ豆が固いようなら、水を適宜加えて、更に煮る。豆が壊れるので、煮ている途中は鍋の中をかき回さないこと。豆をひと粒つまんでみて、好みのやわらかさになったら火を止める。キッチンペーパーはそのまま取らずに、豆を休ませておく。豆は、味が付いていない状態で風に当てると「豆が風邪をひく(※皮が破けてしまう)」と森田さん。蜜と合わせるギリギリまで、キッチンペーパーを外さないこと。

画像6: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

7. 別の鍋を用意し、水2カップに上白糖350gを入れて溶かし、中火にかけて糖蜜を作る。休ませておいた小豆を、この蜜の中に静かにあける。このとき、両方の温度が同じくらいになっていると良い。豆が踊らないくらいの火力で、水分が豆の上1cm位になるまで煮る。「豆にご機嫌うるわしく、静かにしていただきます」と森田さん。店では、最後に煮る時間を5時間ほどかける。「5時間も、と驚かれますが、1回に煮る量も違いますし、何より、この行程で豆が味をゆっくり含んでいきます。ご家庭では、1時間くらいでも大丈夫だと思います」

画像7: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

8. 火を止めて、水滴が落ちないようにキッチンペーパーをかませて蓋をし、そのままひと晩置く。塩は加えない。「そのほうがあっさりして後口がよいように思いますので」

画像8: 成城「櫻子」指南。
小豆を自宅でおいしく煮るコツ

 つややかに煮あがった豆は、スッキリした甘み。そのままいただいて小豆のおいしさを存分に味わうもよし。保存は冷蔵庫で1週間を目安に(冷凍保存も可能だが、豆がつぶれないように注意)。季節の果物やアイスクリーム、白玉などを添えてもいいし、朝食のトーストやパンケーキに添えても。自由自在に楽しんで。

画像: 森田享子(KYOKO MORITA) 成城にある甘味・和食処「櫻子」店主。5時間もかけて煮あげる小豆、注文を受けてから捏ねてつくる白玉などの甘味、野菜の味を生かした定食「おきまり」etc、食事も甘味もメニュー豊富に楽しめるお店は、成城学園前駅から徒歩1分

森田享子(KYOKO MORITA)
成城にある甘味・和食処「櫻子」店主。5時間もかけて煮あげる小豆、注文を受けてから捏ねてつくる白玉などの甘味、野菜の味を生かした定食「おきまり」etc、食事も甘味もメニュー豊富に楽しめるお店は、成城学園前駅から徒歩1分

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