料理やお酒を家で楽しむことが、より一層求められている昨今。季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第5回は、フルーティな味わいで夏の暑さを忘れさせてくれそうな水茄子が登場

BY YUKIKO HIRANO

【今月の野菜とお酒:水茄子とプロセッコ】
 世界中で1,000種類以上あると言われる茄子だが、たっぷりとした水分をたたえ、果物を思わせる甘味のある水茄子は、世界に誇れる茄子の王様だ。「水茄子と言えば、まず思い浮かぶのは糠漬け。水茄子を手で引き割きながらお酒を飲むのは、夏ならではの愉しみです。そしてぜひ試してもらいたいのが揚げ物。揚げ茄子の美味しさは日本人なら誰もが知るところですが、水茄子で作ってみれば別次元の料理に。カリカリの衣に包まれたとろとろの身からは、茄子の汁が滴り落ちる。熱々をほおばり、火傷しそうになりながら、冷たいプロセッコで口の中を冷やす──これぞ、夏の至福のひとときです」(平野さん)

画像: イタリア産スパークリングワインの一種であるプロセッコが、みずみずしいフルーツのような水茄子の美味しさを一層際立たせてくれる

イタリア産スパークリングワインの一種であるプロセッコが、みずみずしいフルーツのような水茄子の美味しさを一層際立たせてくれる

レシピ1:水茄子のフリット

 ひとくち噛んだときにジュワッと汁があふれるように、大ぶりに4等分に切るのがコツ。揚げたてのところに生ハムをのせて、脂が溶けてきたところをがぶりとやる。むいた皮は素揚げにし、セージも一緒にフリットに。水茄子1個でプロセッコが1本空いてしまいそう。

画像: 「オリーブオイルを加えた衣は、失敗なくカリッと揚げられます」(平野さん)

「オリーブオイルを加えた衣は、失敗なくカリッと揚げられます」(平野さん)

<材料 2人分>
水茄子1個、薄力粉大さじ2、オリーブオイル大さじ1、水30〜40ml、セージ2枝、生ハム適量、揚げ油適量

<作り方>
 水茄子はへたを切り落とし、4等分にし、皮をむく。
 ボウルに薄力粉とオリーブオイルを加え混ぜてから、水を加えてさらに混ぜる。
 油を140〜150度に熱し、茄子の皮を入れて素揚げする。3〜4分かけてカリッとするまで揚げる。揚げ油を170度にあげ、水茄子、セージを衣にくぐらせて揚げる。衣が少し色づくくらいを目安に3〜5分かけて揚げる。
 生ハムと共に盛り合わせ、茄子に生ハムをのせていただく。

レシピ2:水茄子のマスタード和え

 生の水茄子は、梨のような清涼感のあるほんのりとした甘さが味わえる。手で割いたら、やさしく塩揉みしてディジョンマスタードで和えれば、酸味の効いた辛子和えに。たっぷりのみょうがと青じそで、夏らしい香りとシャキッとした歯ごたえも加えよう。

画像: 「ディジョンマスタードは辛さを加えるのではなく、酸味を加える調味料。これで野菜を和えるだけで、ワインのための簡単浅漬けになります」(平野さん)

「ディジョンマスタードは辛さを加えるのではなく、酸味を加える調味料。これで野菜を和えるだけで、ワインのための簡単浅漬けになります」(平野さん)

<材料 2人分>
水茄子1個、塩少々、ディジョンマスタード大さじ1、オリーブオイル大さじ1、醤油小さじ1、みょうが1個、青じそ5枚

<作り方>
 水茄子のヘタを切り落とし、包丁で切り目を入れて、食べやすい大きさに手で割く。みょうがは小口切り、青じそは千切りにする。
 水茄子を塩でもやさしく揉む。少し置いてしんなりとさせる。絞りすぎないように軽く水気を絞る。
 ディジョンマスタード、オリーブオイル、醤油で水茄子を和え、みょうが、青じそを加え混ぜ、器に盛る。

【今月のお酒セレクト:ZAGO procecco on the less(ザーゴ プロセッコ オン ザ レス)】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 プロシュートのお供としてもおなじみのプロセッコ。価格が手頃なのはいいが、品質はピンキリだ。「シャンパーニュ好きの私にとっては正直、触手の動かない泡なのですが、ZAGOは信頼を置いているプロセッコです。800年代の伝統的製法で自然酵母を使い、瓶内二次発酵。“オン ザ レス”とは澱引きをしていないという意味。発酵を継続させることにより、リンゴや梨のような豊かな風味が漂います。果物のような水茄子に合わせるのが、今年の夏のお気に入り」(平野さん)

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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