ロスチャイルド家の”エレガンスの系譜”のワインのひとつがフランス・ラングドック地方の「ドメーヌ・ド・バロナーク」。当主のフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏がこの9月に来日。その深い魅力を語ってくれた

BY KIMIKO ANZAI

画像: ドメーヌはラングドック地方リムーに位置。とても古いドメーヌで、17世紀にはサン・ポリカルプ修道院が所有していた。1998年に購入してからは、最高のワインを造るために、5年をかけて畑や醸造設備の改修を行った。 COURTESY OF PIEROTH JAPAN

ドメーヌはラングドック地方リムーに位置。とても古いドメーヌで、17世紀にはサン・ポリカルプ修道院が所有していた。1998年に購入してからは、最高のワインを造るために、5年をかけて畑や醸造設備の改修を行った。
COURTESY OF PIEROTH JAPAN

 ダークチェリーやプラムなどの黒系果実や、スミレの香りがグラスからふわりと立ち上る。豊かな果実味と滑らかなタンニン、そして清らかな酸味がハーモニーを奏でる。「ドメーヌ・ド・バロナーク 2018」は南フランスワインの中でも突出してエレガント。飲む人の心に長い余韻を残す。
 造り手は、ボルドーの5大シャトー「シャトー・ムートン・ロートシルト」のオーナーでもある「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」。1998年、ラングドック地方リムー市近郊にある元修道院の館を買い取り、「ドメーヌ・ド・バロナーク」をスタートさせた。

画像: フィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏。「シャトー・ムートン・ロートシルト」を擁する「バロン・フィリップ・ロスチャイルド」の代表として、ワイン業界に貢献。大の親日家で「日本の文化に心惹かれます」と語る。 COURTESY OF MATHIEU ANGLADA

フィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏。「シャトー・ムートン・ロートシルト」を擁する「バロン・フィリップ・ロスチャイルド」の代表として、ワイン業界に貢献。大の親日家で「日本の文化に心惹かれます」と語る。
COURTESY OF MATHIEU ANGLADA

 驚くのは、ボトルの中に"ロスチャイルドスタイル"が生きていることだ。どこかしなやかで凜とした味わいがロスチャイルド家のワインであることを語っている。代表取締役のフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏は言う。
「近年、ようやくファミリーのスタイルのワインになったと感じます。『ドメーヌ・ド・バロナーク』が位置するのは、標高約450メートルの、南フランスにして高い場所。その分気候が涼しく、ブドウがゆっくりと熟します。これが、どこか爽やかさを感じさせる果実味を生み出すのです」。この地でのワイン造りを決心させたのは、何より自然の美しさだったと、ロスチャイルド氏は述懐する。
「原始的な、“ありのままの圧倒的な自然”がそこにありました。静寂と緑の中には古い教会がいくつも点在し、それもまた美しかった。土地の自然と歴史、文化との繋がりを感じ、『ここで南フランスのテロワールを反映したワインを造りたい』と強く思いました」。

画像: オーギュスタン・デシャン氏。「ドメーヌ・ド・バロナーク」マネージング・ディレクター。デシャン氏も大の親日家。以前、東京のすき焼きの老舗で「バロナーク」を開けた折、すき焼きとの相性に感動したという。「醤油味との相性は抜群だと感じました」。 COURTESY OF PIEROTH JAPAN

オーギュスタン・デシャン氏。「ドメーヌ・ド・バロナーク」マネージング・ディレクター。デシャン氏も大の親日家。以前、東京のすき焼きの老舗で「バロナーク」を開けた折、すき焼きとの相性に感動したという。「醤油味との相性は抜群だと感じました」。
COURTESY OF PIEROTH JAPAN

 その言葉通り、ワインの中にはラングドック地方特有の恵まれた陽光と、地中海からの海風の涼やかなニュアンスが感じられる。だが、この味わいは、ロスチャイルド家の自然に対する敬意があってこそのもの。マネージング・ディレクターのオーギュスタン・デシャン氏はこう語る。
「ワイナリーの敷地は約100ヘクタールありますが、そのうちの60ヘクタールはまだ森のままにしています。ここ数年来、農薬による除草も行っていません。500平方メートルのソーラーパネルの設置や雨水のリサイクルなど、サステナブルな取り組みに注力しています」。その企業姿勢が認められ、「ドメーヌ・ド・バロナーク」のワインは「HVE(環境価値重視)」の最高レベル「3」の認証を得ている。とはいえ、これは単なる結果であって、最終目標ではない。ロスチャイルド家の思いは、「美しいワインを生み出し、多くの人々と分かち合うこと」にある。
「機会があれば、一度ワイナリーを訪れてください。自然の美しさに感動するのはもちろん、森を歩くのも楽しい。時々。トリュフも見つかりますよ」とロスチャイルド氏は笑う。

画像: 「ドメーヌ・ド・バロナーク2018」 メルロを主体にカベルネ・フラン、シラー、マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。ブルーベリーやカシス、スミレ、黒コショウの香り。果実味の甘さの中にスパイシーさを感じる。すき焼きや黒酢の酢豚などの中華料理にも。750ml ¥8,360 COURTESY OF PIEROTH JAPAN

「ドメーヌ・ド・バロナーク2018」
メルロを主体にカベルネ・フラン、シラー、マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。ブルーベリーやカシス、スミレ、黒コショウの香り。果実味の甘さの中にスパイシーさを感じる。すき焼きや黒酢の酢豚などの中華料理にも。750ml ¥8,360
COURTESY OF PIEROTH JAPAN

「シャトー・ムートン・ロートシルト」が“ボルドーの貴婦人”なら、「ドメーヌ・ド・バロナーク」は南フランスでのびのびと育った “チャーミングなレディ”だろうか。親しい人が集まる日、「リラックスして楽しめる、極上ワインを開けたい」という気分に応えてくれるワインだ。

問い合わせ
ピーロート・ジャパン
TEL.03-3458-4455
公式サイトはこちら

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