RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

マンゴー(手前)といちごのエクレア。ベリー類、ぶどう、桃など季節の味を楽しんで。フルーツの甘さが足りなければ、グラニュー糖を少しまぶすとよい
フランスで愛されているお菓子の代表格といえば、エクレア。「éclair」は、フランス語で「雷」や「稲妻」の意味で、 “細長い生地が割れた姿が稲妻をイメージしている”、“表面のコーティングが稲妻のように光って見える”、‟中のクリームが飛び出さないよう、表面のチョコレートのコーティングが溶けないうちに稲妻のように素早く食べる”等々、ネーミングの由来は諸説ある。
エクレアはまた、その起源も定かではないが、一説には16世紀、イタリアからアンリ2世に嫁いできたカトリーヌ・ド・メディシスのお抱え料理人が作ったシュー生地をもとに、19世紀のお菓子界の巨匠、アントナン・カレームが原型を作ったと伝えられている。
前回は定番のエクレア2種類をお伝えしたが、今回はクレーム・レジェール*にフルーツをのせたエクレアの作り方をご紹介。仕上げに粉糖を振るだけと手間は少ないのに、見た目華やか。「フルーツを切って詰めるだけ。季節のフルーツを使って作ってみてください」と長江さん。
*カスタードクリームに、クレーム・シャンティ(泡立てた生クリーム)を加えたクリーム。「クレーム・ディプロマット」とも呼ばれる。「レジェール」は「軽い」という意味。
材料(約6~8個分)

■エクレア生地
水 50g
牛乳 50g
無塩バター 45g
塩 2g
グラニュー糖 2g
薄力粉 60g
卵 100g(2個)
■クレーム・レジェール
カスタードクリーム 200g
生クリーム 50g
好みのフルーツ 適量
粉糖 適量
■下準備

・ベーキングシートに鉛筆で10㎝幅に2列、線を引く(写真上参照)。
・ベーキングシートを裏返し、天板にのせる。
■作り方
1〜7 シュークリームの作り方と同様に生地を作る(Vol.10参照)
8〜11 生地を絞り、オーブンで焼く(Vol.11参照)
12 クレーム・レジェールを作る(Vol.10後半参照)

13 11の焼き上がった生地を写真のように、上下1:2くらいの割合で横に切る。下の部分の生地を指先でやさしく潰しながら空間を作る。

14 丸口金をつけた絞り袋に12のクリーム・レジェールを入れ、13の生地の下部分に絞り入れる。このサイズには大きめの6番の口金を使用。小さいとクリームを押しつぶしてしまうので、大きめがよい。

15 いちごは縦半分に切る。マンゴーはエクレアの生地にのせられる大きさに切り、グラニュー糖少々(材料外)と、ライム(材料外)の皮をすりおろしてあえる。14の生地の下部分に並べ、上部分で蓋をする。器にのせ、粉糖を茶漉しなどで振る。
長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける
▼関連記事