京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!と、長きにわたり業界の人々がブ厚い信頼を寄せる、アマジュンこと天野準子さん。今昔とりまぜ、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを教えてもらいます。第42回は、「グリル生研会館」をご案内します

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

 今月は、老いも若きも、旅行者も、地元人も、みんな大好きな洋食を紹介。第1弾は正統派洋食店「グリル生研会館」へ。

下鴨「グリル生研会館」

画像: ハンバーグ200g目玉焼き付き、サラダ・ライス付き¥1,500(目玉焼き付きは夜のみ)

ハンバーグ200g目玉焼き付き、サラダ・ライス付き¥1,500(目玉焼き付きは夜のみ)

 洋食店のハンバーグが大好きなのに、幼い頃から親に連れられ通っていたお気に入りの店がことごとく閉店し、自分のなかのスタンダードハンバーグを失っていた頃(と言っても今から20年前)に出会ったのが「グリル生研会館」のハンバーグだ。色が濃いめのデミグラスソースがたっぷりかけられ、仕上げにはとろ~り半熟の目玉焼きがのった食欲をそそるビジュアル!デミグラスソースは、牛スネ肉やバラ肉、香味野菜を炒めてじっくり煮ること1週間。マデラ酒とポルト酒で深みと甘みも加わり、これぞデミグラスソースのお手本というべき味わいだ。ハンバーグ自体も牛8、豚2の合い挽き肉で、牛肉100%よりふんわりと。それでいて、肉感もしっかり味わえる。

画像: 目玉焼きがのったハンバーグはディナーのみ注文可(目玉焼きなしバージョンはランチでも注文可)

目玉焼きがのったハンバーグはディナーのみ注文可(目玉焼きなしバージョンはランチでも注文可)

 初代は満州のヤマトホテルで支配人を務め、帰国後、昭和33年に「生研会館」を創業。

画像: 店内の壁には、初代が満州のヤマトホテルの支配人を務めていた時の写真が飾られている

店内の壁には、初代が満州のヤマトホテルの支配人を務めていた時の写真が飾られている

「生研会館」という洋食店っぽくない店名も気になるところだが、“生研”は店のある生産開発研究所の略称。昭和33年、生産開発研究所が誕生した際は、全国の研究者や外国人が訪れることが多く、3階に宿泊施設も備え、「グリル生研会館」はホテルのレストラン的位置づけに。当時は、フランス料理色が強めで、上階の宴会場ではパーティ料理も提供していたそう。

画像: 3代目・西崎裕紀さん

3代目・西崎裕紀さん

「以前よりメニュー数は少なくなりましたが、材料や作り方は全然変わってないです」と、家業に入って30年の3代目・西崎裕紀さん。マヨネーズやタルタルソース、フレンチドレッシング、パン粉まで今なお自家製で、付け合わせのサラダまでおいしい。

画像: スペシャルランチ¥1,900。“ランチ”ながら、昼夜共に注文できる

スペシャルランチ¥1,900。“ランチ”ながら、昼夜共に注文できる

 ハンバーグのほか、海老フライ2本、カニクリームコロッケがついたスペシャルランチも人気が高く、カニクリームコロッケは箸を入れるとサクッとした衣の中からベシャメルソースがとろりと現れ、やけどしそうなほど熱々。隠し味にカニミソが使われていて、カニの風味も濃厚だ。

画像: 昭和33年の創業時から変わらない店内

昭和33年の創業時から変わらない店内

 昔から京都屈指の住宅街として知られる下鴨に位置し、下鴨神社からもほど近く、昼は旅行者も多いが、夜は地元人率高めに。親子3代で通う常連さんがいたり、地元で愛される洋食店感もほのぼのと居心地がいい。

画像: 店名の由来になった生産開発研究所の1階

店名の由来になった生産開発研究所の1階

画像: 下鴨神社から徒歩2分ほど。最寄りの京阪出町柳駅からは徒歩約13分

下鴨神社から徒歩2分ほど。最寄りの京阪出町柳駅からは徒歩約13分

「グリル生研会館」
住所:京都市左京区下鴨森本町15 生産開発化学研究所ビル1F
営業時間:12:00~13:30LO、17:00~18:30LO(夜は完全予約制)
定休日:木曜、水曜夜
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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