京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければこの人に聞けばハズレなし! そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス、今月は、老いも若きも、旅行者も、地元人も、みんな大好きな洋食を紹介。第3弾は100年以上の歴史を持つ老舗洋食店「グリル 富久屋」をご案内します

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

宮川町「グリル 富久屋」

画像: 70年ほど前、芸妓さんのリクエストで誕生した名物「フクヤライス」¥980

70年ほど前、芸妓さんのリクエストで誕生した名物「フクヤライス」¥980

「グリル 富久屋」は京都五花街の一つ、宮川町に明治40年創業。現在も、座敷に出る前の芸舞妓の食事として置屋さんにお弁当を配達したり、座敷での宴会用にオードブルを特注で作ったりと、花街に親しまれている。ランチとディナーの間に休憩時間を取らず、通し営業なのも、置屋やお茶屋の女将さんが忙しくなる夕方前に訪れたり、稽古終わりのお師匠さんが遅めの昼食を食べに来たり、花街時間に合わせているそう。

画像: 壁には、芸舞妓さんが夏の挨拶にお世話になった方に配る名入りのうちわが飾られている

壁には、芸舞妓さんが夏の挨拶にお世話になった方に配る名入りのうちわが飾られている

 片面だけ焼いた具だくさんの卵をケチャップライスにのせた名物の「フクヤライス」は、金鶴という芸妓さんの「やわらかいオムライスが食べたいねん」というリクエストで生まれたそう。金鶴さんが食べているのを見たほかのお客さんから「私もアレ食べたい」という声が増え、レギュラーメニューに昇格。昔はハイカラな洋食店として、旦那衆が芸舞妓さんを連れて食事に行く”ごはんたべ”にもよく利用されていて、金鶴さんに最初に出した「フクヤライス」も、卵に松茸や蟹身など豪華な食材を使っていたが、メニュー入りするにあたり、グリーンピース、ハム、トマト、マッシュルームに変更されたそう。

 ハムと玉ねぎ入りのケチャップライスの上に具だくさんのトロトロ半熟の卵がのっていて、見た目や名前は違えど、食べると、「優しい味わいのオムライス」といった風。
 卵の上にのったフレッシュなトマトもみずみずしくさわやかさを添えている。

画像: 「洋食弁当(並)」¥1,800

「洋食弁当(並)」¥1,800

 大正時代、京都で生まれ、京都の老舗洋食店ではよく見かける「洋食弁当」も、昔も今も変わらない人気メニューだそう。
「洋食弁当」は、ナイフ・フォークに馴染みがない日本人が、お箸で食べられるよう作られたもので、種類豊富なおかずはすべて小ぶりサイズに。1週間以上かけて作るデミグラスソースがかかったミニハンバーグ2個、自家製タルタルを添えた海老フライ2本、ヒレカツ2個、甘鯛のフリッターがつき、食べ応え満点。洋食店のメニューながら、スープではなく、赤だしが付いているのも特徴的だ。
 そのほか、メニューには、ビーフシチューやカツサンドウィッチ、ハヤシライスなど、王道洋食が並び、初めて訪れた人も昔懐かしい気分になれる店。桜並木が美しい鴨川からすぐの場所にあり、ほとんどのメニューが持ち帰りもできるので、これらかの季節はお花見弁当にもオススメだ。

画像: 店前には昔ながらな食品サンプルが並ぶガラスケースも

店前には昔ながらな食品サンプルが並ぶガラスケースも

画像: 食後は、お茶屋や料理屋の伝統建築や石畳など、風情溢れる町並みが続く宮川町を歩いて楽しむことも

食後は、お茶屋や料理屋の伝統建築や石畳など、風情溢れる町並みが続く宮川町を歩いて楽しむことも

画像: 京阪電車「祇園四条」駅から徒歩5分

京阪電車「祇園四条」駅から徒歩5分

宮川町「グリル 富久屋」
住所:京都市東山区宮川筋5-341
営業時間:12:00~21:00(20:30LO)
定休日:木曜、第3水曜休
TEL. 075-561-2980

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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