季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第30回は、枝豆をエスニックに味つけしたレシピが登場。ビールを合わせがちだけれど、話題のお酒・メスカルで粋な夏のひとときを!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 酷暑の夏には、枝豆とスモーキーな味わいのメスカルでキメてみる

酷暑の夏には、枝豆とスモーキーな味わいのメスカルでキメてみる

 夏のおつまみといえば枝豆。ついビールを選びがちだが、今回は近年、注目をあびるメスカルと合わせてみたい。メスカルはリュウゼツラン(アガベ)から作られるメキシコの蒸留酒。おなじみのテキーラは、実はメスカルの1種。テキーラはブルーアガベから作られるが、メスカルはさまざまな種類のアガベの使用が認められ、果物やチリ、虫や肉を入れて蒸留することもあり、味わいの幅広さは想像以上。材料のアガベを燻してつくることも多く、スモーキーな風味もその魅力だ。
「ショットで飲むのではなく、ハイボールにすると、素晴らしい食中酒になります。ゆっくり味わって飲みましょう(笑)。特有の風味、スモーキーさは料理を引き立ててくれます。枝豆にスパイスを効かせたら、抜群の相性に私も驚きました」(平野さん)

レシピ1:枝豆のスパイス風味

 クミンと黒こしょうを効かせた枝豆。少なめの水に塩とスパイスを加えて蒸しゆですることによって、枝豆にピシッと味が染みこむ。

画像: クミンの香りが後を引き、食べ出したら止まらない美味しさ!

クミンの香りが後を引き、食べ出したら止まらない美味しさ!

<材料 2~3人分>
枝豆1袋(250g)、クミンシード小さじ1、塩・粗挽き黒こしょう各適量

<作り方>
 枝豆は粗塩をまぶし、ざるにこすりつけるようにしてうぶ毛をとるように洗う。
 鍋に、水1/2カップ、塩小さじ2、クミンシード(粒)小さじ1を入れ、ふたをして火にかけ、沸騰したら弱火にして5分蒸しゆでにする。
 ゆであがったら、ざるにあけて水切りをし、仕上げの塩(フルール・ド・セルなど)、粗挽き黒こしょう適量をふる。

レシピ2:枝豆のキーマカレー

 枝豆の歯応え、スパイス、香菜の香り。短時間で作れるカレーなのに、この奥深さは、やみつき必至。 

画像: 暑い日に食べるキーマカレーは格別。仕上げには粉山椒や好きなスパイスを加えて好みの味わいに

暑い日に食べるキーマカレーは格別。仕上げには粉山椒や好きなスパイスを加えて好みの味わいに

<材料 4人分>
合い挽き肉250g、枝豆1袋(250g)、香菜1束(3茎)、玉ねぎ(中)1個、にんにく・しょうが各1かけ、カレー粉大さじ1と1/2、トマトペースト大さじ2、水1/3カップ、サラダオイル大さじ1、塩小さじ1、こしょう・好みのスパイス(ガラムマサラなど)各適量

<作り方>
 枝豆は塩ゆでして、さやから出しておく。香菜の根っこはみじん切り、茎と葉は1センチ程度の長さに切る。玉ねぎ、にんにく、しょうがはみじん切りにする。
 鍋にサラダ油、香菜の根っこ、にんにく、しょうがを入れて熱し、香りが出てきたら玉ねぎを入れて、塩をふって玉ねぎがしんなりするまで炒める。
 ひき肉、カレー粉を入れて炒め合わせる。色が変わったら、トマトペースト、塩、水を加えて5分煮る。香菜、枝豆を加えてさらに5分煮、塩、こしょう、仕上げにスパイスを加えてで味をととのえる。ごはんとともに器に盛る。

【今月のお酒セレクト:アガベ・デ・コルテス レポサド 】

画像: 今回は平野さんの愛猫・クミンがゲスト出演! PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

今回は平野さんの愛猫・クミンがゲスト出演!

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 伝統のあるプレミアムメスカルの作り手。フルーツのような香りやスパイシーさもあり、樽で熟成させたまろやかな風味だ。「メスカルやテキーラはメキシコ料理だけではなく、和食やエスニック料理にもよく合います。餃子との相性も最高です。テキーラバーを経営している友人は、お鮨と合わせて楽しんでいるそうですよ」(平野さん)

ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!

 平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

画像: 「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる 撮影/ローラン麻奈

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる

撮影/ローラン麻奈

画像: 驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に! 撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!

撮影/ローラン麻奈

画像: 『ma cuisine おいしさの引き出し方』 著者:平野由希子 判型:B5変形判・240ページ 価格:¥4,180 発行:誠文堂新光社

『ma cuisine おいしさの引き出し方』

著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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