BY YUKIKO HIRANO

熱々のキャベツ料理を爽やかな香りの白ワイン、リースリングで
短い秋を惜しむ間もなく、たちまち訪れた今年の冬。季節の急激な変化に戸惑うばかりだが、気温が下がってくるとおいしくなるのが寒玉キャベツ。鮮やかな緑の葉の下には、きゅっと巻きの強いキャベツが包まれている。「冬のキャベツは煮込んだり、じっくり加熱すると甘みが増します。寒さを感じる日にアルザスの白、リースリングと合わせてみてはどうでしょう。材料をぐっと絞り込んだシンプルなレシピですが、リースリングがキャベツ料理の表情を変えてくれますよ」(平野さん)
レシピ1:キャベツと塩豚のヴィネガー煮
シュークルートより作りやすく、親しみやすい味。肉の旨味とまろやかなヴィネガーの風味が染み込んだキャベツが極上のおいしさ。

ソーセージやベーコン、じゃがいもを加えて煮てもいい。粒マスタードを添えて
<材料 2〜3人分>
キャベツ1/2玉、豚ばら肉(ブロック400g)、塩小さじ2、砂糖小さじ1、玉ねぎ1/2個、ワインヴィネガー大さじ2、白ワイン1/3カップ、ローリエ1枚、オイル(米油など)、塩、こしょう
<作り方>
1 豚肉は半分に切り、塩、砂糖をまぶしてひと晩おく。
2 キャベツはざく切りにする。玉ねぎは繊維に沿って薄切りにする。
3 鍋にオイル少々を熱し、豚肉を焼き、焼き色がついたら取り出す。
4 玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。キャベツ、豚肉を加え、ワインヴィネガーを加えて、煮立ったら、白ワインを加えてキャベツが少ししんなりするまで煮る。
5 水2カップ、ローリエを入れ、ふたをして弱火で20〜30分煮る。塩、こしょうで調味する。

キャベツの芯は薄切りに、軸の部分は包丁の背などで叩いて潰して加えることで、スープにキャベツの深い甘みが加わる
レシピ2:キャベツのガレット
クミンを効かせたシンプルなお好み焼き。チーズと少量の片栗粉だけで卵は不使用。スパイスとチーズの風味にリースリングの酸味が調和する。

クミンはたっぷり入れるのがおすすめ。好みでベーコンなど加えても

粒マスタードを添えると、キャベツの美味しさがいっそう際立つ
<材料 1人分>
キャベツ150g、チーズ(ナチュラルチーズ)40g、クミンシード(ホール)小さじ1と1/2、片栗粉大さじ1、塩小さじ1/4、こしょう少々、オリーブオイル
<作り方>
1 キャベツは太めの千切りにする。
2 ボウルにキャベツを入れて塩をふり、軽く揉んでしんなりさせる。そこに片栗粉をふり入れて混ぜ、チーズ、こしょう少々を加え混ぜる。
3 フライパンにオリーブオイル少々を入れ、クミンシードの半量を全体にふる。2の生地を平らに広げ、残りのクミンシードをふり、ふたをして中弱火でこんがりするまで焼く。
4 こんがりとした焼き色がついたら裏返し、反対側も焼く。粒マスタードを添えて。

滑らせるようにして、皿の上に乗せる。その上にフライパンをかぶせ、裏返すと失敗なし
【今月のお酒セレクト:アンドレ・ロレール アルザス・リースリング・グランクリュ・ゾッツェンヴェルグ22】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
今回のワインは8代目、アンドレの息子ルードヴィックが手がけた酸化防止剤無添加のリースリング。アルザスの自然派ワインでも人気の高い生産者だ。「リースリングは力強いシャープな酸が特徴なのですが、時に飲み疲れしてしまうことも。このワインはミネラル感にほんのりバターを感じるような余韻。キャベツ料理をやさしく包み込んでくれるようです。寒い日に熱々の料理とぜひ」(平野さん)
平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。
猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中
「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー
平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』
著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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