BY AYANO ISHIHARA
コレクションアイテムにレザーやファーを一切使用しないなど、いち早くサステナブルな精神を提唱し始めた「ステラ マッカートニー」。ファッションを通じて、環境問題をはじめ、社会へ問題提起してきた同ブランドが今、新たな注目を集めている。2019年の秋冬コレクションで発表した、「ザ・ビートルズ」とのコラボレーションだ。待望の“親子共演”とも呼べる、世紀のクリエーションの実現にブランドのファンのみならず、ビートルズファンの間でも一大ニュースとして話題になっている。
伝説のロックバンド「ザ・ビートルズ」のメンバーとしてジョン・レノンと人気を二分し、『イエスタデー』や『レット・イット・ビー』など代表曲の数々を作詞・作曲したのが、ステラ・マッカートニーの実父であるポール・マッカートニーだ。二人の関係は周知のことだが、なぜこのタイミングでコラボレーションを果たしたのか?
そのきっかけは、作品発表50周年を記念しデジタルリマスター版として蘇った映画『イエロー・サブマリン』にあったという。「家族や友人たちと一緒に『イエロー・サブマリン』のデジタル版の上映に行き、正直圧倒された」と、ステラ。「人々を結びつけてひとつにする'together'というアイディアーー。これは、今の世界情勢においても重要なメッセージ。何かしなければならない、とはっきり確信した」とコメント。そうして生まれたのが、映画のシーンやフレーズがモチーフとして用いられた今回のコレクション「オール トゥゲザー ナウ」なのだ。
ニットウェアやジャージには”All Together Now”のスローガンが多言語で刺繍され、アウターやシャツにあしらわれた“all you need is love”や“love, love, love”の歌詞が、“トゥギャザネス”のメッセージをダイレクトに訴えかける。
ウィメンズラインでは、『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』の場面で登場する色彩豊かなダンサーが描かれたドレスや、『イエロー・サブマリン』の限定版モノグラムがあしらわれたアイコンバッグ「ファラベラ」など、遊び心を感じさせるアイテムが多数ラインナップ。
メンズラインでは、ビートルズのメンバーのポップアートポートレートにグラフィカルな加工を施したTシャツのほか、映画のマーチングバンドの制服にインスピレーションを得たジャケットとパンツなど、サヴィルロウのテーラリングとビートルズの世界がクロスオーバーしたラインナップが揃う。もちろん、このコレクションにもサステナビリティの精神が反映され、オーガニックコットンや再生カシミア、リサイクルナイロン、さらには100%リサイクルコットンのアイテムも新たに登場している。
映画『イエロー・サブマリン』のレガシーとステラ・マッカートニーの家族としての思いから生まれた特別なコレクション。この親子の奇跡的なユニティー(結束)は、若い世代を含む現代のオーディエンスに“トゥギャザネス”のメッセージを訴えかけ、世界の人々を音楽とファッション、そして愛で結びつけるきっかけになるかもしれない。
問い合わせ先
ステラ マッカートニー ジャパン
TEL. 03(6427)3507
公式サイト