BY KIMIKO ANZAI
クリスマスが近づくと、気になるのが今シーズンのクリスマスケーキのトレンド。ここ数年は、素材を究めた「ショートケーキ」や「ビュッシュ・ド・ノエル」などを軸に、もみの木やキャンドルなどクリスマス・オーナメントを象った可憐なデザインのものが主流だった。一方で、日本のクリスマスにはあまりなじみがなかったシュトーレンが、ここ10年ほどの間に“市民権”を得ているのも特徴。近年では、長期熟成させたものなども登場している。
ザ・キャピトルホテル 東急
そんななか、近年目を引くのが“レアチーズケーキ”だ。特に「ザ・キャピトルホテル東急」の「レアチーズ for Christmas」は、柑橘系のフルーツと爽やかなチーズのマリアージュが秀逸。濃厚なクリームチーズと爽やかなヨーグルトムースのコンビネーションは、深みのある味でありながらも濃厚さが舌の上でふわりと消えて、柑橘の風味が余韻に残るのだ。シャンパーニュとも上質の紅茶とも合う味わいで、どこか新しい感覚が不思議だ。
パレスホテル東京
また、今年のトレンドといえば、“おひとりさま仕様”が目を引くことだろうか。ひとり、あるいは少人数でクリスマスを迎える人のニーズにも“華やかケーキ”で応えてくれる。「パレスホテル東京」の「クロンヌ ノワール」、「クロンヌ ルージュ」は艶やかな深紅と漆黒の色合いが美しいケーキ。クロンヌ ノワールは、ショコラのスフレとムースにグリオットチェリージュレの酸味が効いた濃厚な味で、クロンヌ ルージュは、ベリーのムースにレモンヴァーベナの香りがふわりと漂う。デコレーションもシンプルでモダンな美しさがひと際、目を引く。
ジャン=ポール・エヴァン
もちろん、“チョコレートケーキ”も見逃せない。チョコレートの魔術師「ジャン=ポール・エヴァン」の「ビュッシュ エルビエ」は、まるで植物の標本を思わせるアカデミックなデザインが魅力。“遠い地から持ち帰った草花の植物標本”が「ビュッシュ ヴォワイヤージュ(旅するビュッシュ)」のインスピレーションとなっている。カカオの繊細な苦みが生きた芳醇な味わいのビスキュイショコラと、香り豊かなオレンジマーマレードのコンピネーションは、やみつきになるおいしさだ。
マンダリン オリエンタル 東京
対照的なのが「マンダリン オリエンタル 東京」の「スノーマンフォレスト」。こちらは、甘めのチョコレートと軽い食感のキャラメルムースが際立つおいしさ。隠し味の塩が、甘さを優しく引き立てている。森の中で遊ぶ雪だるまのキュートなプレゼンテーションが、ノスタルジックな可愛らしさとハッピーなムードを感じさせる。
グランド ハイアット 東京
クリスマスに皆で囲むケーキとしてここ数年、根強い人気があるのがスペシャルなモンブラン。グランド ハイアット 東京の「プレミアム モンテビアンコ ジャポネーゼ」は国産の栗をじっくり煮るところから始めるこだわりのケーキで、ヘーゼルナッツのメレンゲの上にムースとフレッシュマロンのペーストがたっぷりとあしらわれ、優しい甘さが堪能できる。ムースには刻んだ栗も入っており、メレンゲのサクサク感と相まって、食感も楽しい。
それぞれの個性が際立つクリスマスケーキは、この季節になくてはならない“イベントの華”。スペシャルなケーキを予約すれば、クリスマスまでの時間もわくわくしながら過ごせそう。自分好みの一品を用意して、特別な時間を慈しみたい。