BY MASANOBU MATSUMOTO
「ファッションは時代を映す鏡」。国立新美術館で開かれる『ファッション イン ジャパン』は、その言葉の真意をありありと実感させる展覧会だ。主題は、日常服が着物から洋服へとシフトした第二次世界大戦以降の日本のファッション。森英恵や三宅一生、川久保玲ら60以上のデザイナーやブランドの衣装を集め、装いの変容、それに影響を与えた社会現象を紹介する。

(写真左)米版『VOGUE』で紹介され、森英恵の名を世界に広めた代表作。ジャンプスーツとカフタン「菊のパジャマ・ドレス」1966年 島根県立石見美術館
COURTESY OF IWAMI ART MUSEUM
(写真右)中野裕通 ドレス 第36回NHK紅白歌合戦 小泉今日子衣装 なんてったってアイドル 1985年
COURTESY OF ARTIST

軽くシワになりにくい、現代人のための服として三宅一生が提案した「プリーツプリーズ」。PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(ISSEY MIYAKE 1994年春夏コレクション映像より) 1993年
PHOTOGRAPH BY PHILIPPE BRAZIL
生活史の視点に基づいた展示物もユニークだ。戦後の物資不足を背景に花開いた洋裁ブームや、上皇后美智子さまの装いに国民が熱狂したミッチーブーム。80年代のアイドルのステージ衣装やストリート、ギャルファッションも本展の重要な題材である。流行の起爆剤となった映画や雑誌などの資料も展示。戦後から現在までの日本の服飾史を立体的に総覧できる。