都会の喧騒を逃れ、自然に囲まれて心身ともに健康を取り戻すバケーションを堪能したい―― プーケット島の“今”と“贅沢”を味わうスポットを紹介

TEXT & PHOTOGRAPHS BY WALTER GRIAO, TRANSLATED BY SHINJIRO MINATO

 東京からタイの首都バンコクまで飛行機で約6時間。そこからさらに南へ、約1時間ほどのフライトでプーケット島に着く。タイ最大のこの島は、ここ5、6年ですっかり様変わりした。以前はインフラが整っておらず、好奇心旺盛な若いバックパッカーたちが訪れるような“エキゾチック”な土地だったが、今では一般の旅行客でも十分に楽しめる、世界でも有数の観光地になった。

 美しい森や海岸には、この地に古くから伝わる精神が残ってはいるものの、島全体を見渡すと、新しい観光スポットをはじめ多くの変化が見られる。少し前までは、贅沢な宿泊をしようとしても、高級ホテルは数えるほどしかなかったが、いまや、プライベートビーチでゆっくりとくつろぐことができる四ツ星、五ツ星のホテルが多く建ち並ぶ。しかも、ホテルやリゾートだけではなく、タイ料理好きの美食家たちをうならせるレストランも充実しているのだ。

 このような環境の変化は、しかし、ただ利便性や高級志向を重視した発展の結果ではない。次世代のための環境保護の動きが、この島でも確実に始まりつつある。ここに暮らす人々の環境保護に積極的な姿勢も後押ししてか、多くの会社や五ツ星のホテルが、もはや飲料用のペットボトルやプラスチック製のストローを使用していない。

 いまや、プーケットは都会の喧騒から逃れる格好のリゾート地であるだけでなく、近い将来、プラスチックなどのごみ削減に成功した観光地として、ひとつのロールモデルになっていくだろう。この島を旅することは、環境に対してひとりひとりができることはなにかを知るきっかけになるはずだ。

<STAY>

Keemala Phuket(キーマラ プーケット)
 高級リゾート「キーマラ」へはプーケット国際空港から車で40分ほどで到着する。タイの自然と伝統が美しい均衡を保つ、心の安らぎを求める人にとってここはまさに“聖域”のような場所だ。木々が立ち並ぶ丘の中腹には、ユニークな形をした4棟のヴィラが建っている。これらを建築する際には、周囲の自然を壊さぬようにと最大限の配慮をした結果、完成するのに4年の年月がかかったそうだ。

 内装のデザインと施工をおこなったのは、Pisit Aongskultong氏。すべての建物はプーケットに伝わる歴史的神話から着想を得て、それぞれに異なる部族を象徴したデザインになっている。また各部屋は、島を一望することができる“プライベートビュー”仕様。さらに環境を配慮し、室内やレストランではプラスチック製品を使用していない。プレミアムスパやフィットネス、新鮮でヘルシーな食事を楽しめるレストランなど施設も充実。プーケットの伝統を感じながら、自然と共存する体験をここでは味わえる。
www.keemala.com

画像1: 自然と共存するリゾート
プーケット島の“今”

Thanyapura Phuket(タンヤプラ プーケット)
 長期休暇で、心身ともに健康を取り戻したいのであれば、プーケット国際空港から車で20分ほどの場所にあるタンヤプラ プーケットに滞在すべきだろう。ここには、スポーツやウェルネスを通して、健康かつ活動的な毎日を送ることを目的としたリゾート施設、「タンヤプラ ヘルス アンド スポーツ リゾート」がある。

 タンヤプラ ヘルス アンド スポーツ リゾートは、ここでの滞在をゆっくりと満喫するためのリゾートエリア「ホテル&スパ」と巨大な「スポーツセンター」の2つのパビリオンで構成されている。開放的な空間が広がるホテルはとても居心地がよく、ミニマルなインテリアは落ち着いた雰囲気を演出。中庭には図書館もあり、自然を眺めながらハーブティー片手に読書を楽しむのもよい。また、周囲にはカフェ、ヴィーガン料理や世界中の料理を楽しめるレストランなどが併設されているのもうれしい。

 もう一方のエリアにあるスポーツセンターは、2つのオリンピックプール、屋内外を含む7つのテニスコート、陸上トラック、サッカーやラグビーのグラウンド、ビーチバレー場、有酸素運動用と加圧用の2つのフィットネスセンター、エクササイズルーム、クロスフィット、ブートキャンプ、ヨガと瞑想のためのエリア…… と施設が充実。メディカルスタッフによるヘルスケアサポートのサービスも手厚く、アスリートの利用者も多いという。ハードなトレーニング後のスパ、デトックス トリートメントやマッサージを受けるための施設も揃う。

 都会での日常にストレスを感じたら、自分自身をもう一度見つめ直し、あるべき健康な心身を取り戻すための時間――ヘルシーな朝食でスタートを切り、日中はプールサイドでのんびり過ごし、夜にマッサージで1日を締めくくるような毎日は、きっと忘れられないものになるだろう。
www.thanyapura.com

画像2: 自然と共存するリゾート
プーケット島の“今”

Rosewood Phuket(ローズウッド プーケット)
「ローズウッド・プーケット」は、アンダマン海を見渡せる隠れ家的な高級リゾートだ。自然との調和を重んじ、内装は石や木など地元の素材を使用して作られており、建物内のいたるところに、床から天井まである巨大な窓が配置されている。その佇まいや眺めは、滞在中、まるで森の奥深くにいるような気分に浸らせてくれる。また、独自のエコシステムを採用しており、全施設の水を供給できる貯水池や、電気エネルギーを再利用するための巨大なソーラーパネルを設置するという配慮も怠らない。その他、受賞歴のあるレストランやスパなども充実しており、高級ホテルが備えているべきものがすべて揃ったホテルといえるだろう。
www.rosewoodhotels.com

<EAT>

Suay Cherngtalay(スアイ チャーンタレー)
 数多くの受賞歴を持つTammasak Choothong(通称Noi)氏は、プーケット島で最も知られたシェフの一人だ。カリスマ的な才能を持つ彼が手がける料理は、西洋とアジアの調理法が複雑に融合されたものだが、その根底には、タイの伝統的なレシピをきちんと踏襲している。

 Noi氏の家族からの招待で、彼が経営するレストラン「スアイ チャーンタレー」で心温まるもてなしを受けることができた。ひと口サイズの「タイ風フォアグラ」、「牛のほほ肉の蒸し煮」…… どの一品もとても美味しく、また店内の雰囲気が料理の味を一層引き立てる。言うならば、レストラン全体が、Noi氏一家の温かく明るいムードに満ちあふれ、料理を口にした人は誰でもそこに込められた愛と、なによりも彼の料理に対する“情熱”を感じることができるだろう。
www.suayrestaurant.com

画像3: 自然と共存するリゾート
プーケット島の“今”

Tu kab khao(トゥ カブ カーオ)
 地元のタイ料理を食べたいならここがおすすめ。プーケット旧市街のパンガーロード沿いの120年前に建てられた植民地時代の建造物の中にある店だ。「蟹のカレー」などの地元の料理や伝統的な南部の料理は値段もリーズナブルで、食通も唸らせる申し分ない逸品だ。居心地がよい店内は、中国とポルトガルの影響を受けた、中国・ポルトガル様式(シノ・ポルトギース・スタイル)の内装で、タイ王室と、オーナー自身の肖像が飾られている。

画像4: 自然と共存するリゾート
プーケット島の“今”

<SEE>

Old Phuket Town(プーケット タウン)
 歴史的な建造物が並ぶ旧市街、「プーケット タウン」。ポルトガル建築からの影響を受けた古い建物が、今でも店舗、ホテル、レストラン、博物館などに利用されている。その美しい街並みは、朝の散歩にはうってつけなスポットだ。旅のお土産を探すならば、地元の人たちによる手作りの工芸品を見つけるのもよいだろう。

Lard yai weekend market(ラート ヤイ サンデー ウォーキングストリート マーケット)
 毎週日曜日には、旧市街周辺で午後4時頃から夜遅くまで「ラート ヤイ サンデー ウォーキングストリート マーケット」が開催される。プーケットならではの、ありとあらゆるものが集まるこのマーケットを少し歩けば、買い物を楽しむ人々に混ざり、ストリートアーティストが道にあふれ、手作りの工芸品や、民芸服などを売るお土産物屋をたくさん見つけることができる。日曜日の午後に近くに行く予定があるなら、必ず行くべき場所だ。

ビーチとアイランドホッピング
 プーケットでビーチを楽しみたいなら、有名な「パトンビーチ」から、穴場の「フリーダムビーチ」まで数えきれないほどスポットがある。団体旅行でもひとり旅でも、初めての滞在ならば、島から島を渡りながら旅をする「アイランドホッピング」がおすすめだ。

 島の南方のビーチは、白い砂に透き通った海。まさに絵葉書のような風景だ。アイランドホッピングのツアーでは、ピーピー諸島のような人気エリアはもちろん、他にもいくつもの島に渡り、シュノーケリングでプーケットの海中の世界を楽しむことができる。そのなかでも有名な島のひとつが「ジェームズボンド島」だ。1974年、映画『007 黄金銃を持つ男』の撮影がおこなわれたことでも知られている。アイランドホッピングのツアーには、耳栓と防水のバックパックを持っていくと便利だ。

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