「ファインダーの中はすべて楽園なんだ」。
最新作1000点以上をひっさげての展覧会『荒木経惟 写狂老人A』の内覧会で行われた荒木本人による作品解説ツアーを、本誌編集長がレポート

BY HIDEMI UCHIDA

画像1: アラーキーが
1000枚の写真を前に
語ったこと
画像2: アラーキーが
1000枚の写真を前に
語ったこと
画像2: ©NOBUYOSHI-ARAKI

©NOBUYOSHI-ARAKI
 

「写狂老人A日記 2017.7.7」。
 700点近い作品の日付はすべて2017年7月7日。当然、今日(内覧会は7月7日だった)撮ったものではない。2016年に撮られたものもある。
 ちなみに7月7日は荒木にとっては特別な日。亡き妻、陽子さんとの結婚記念日だ。

「どの写真も7月7日の風景ってことにしてるんだよね。つまり、未来も撮れるってこと」

画像: PHOTOGRAPH BY JUNKO ASAKA

PHOTOGRAPH BY JUNKO ASAKA
 

「八百屋のおじさん」。
 本邦初公開。荒木が1960年代に作ったスクラップブックの第一巻が、半世紀を経て公開された。銀座の路地で行商を行う「八百屋のおじさん」が被写体。

「天才もいろいろ努力してたんだねえ」
 荒木は自分を天才と呼ぶ。これは、写真家活動の初期に荒木が自分のために「表現とは何か」を模索しながら作り上げた、まさに偉大な歴史の幕開けを飾る貴重な一冊だ。

画像2: PHOTOGRAPH BY HIDEMI UCHIDA

PHOTOGRAPH BY HIDEMI UCHIDA
 

 そして、最後の部屋のタイトルは「切実」。

 写真を切り、それをコラージュして壁に貼った。一枚の写真は関係ない(いや、本当はあるのだろうけれど)ほかの一枚と組み合わされている。そしてひとこと
「写真はね、真実でもなく、切ないの。だから切実なんだよ」。

 1000枚の写真を通り抜けた荒木の最後の言葉は
「いいセンいってるよ」。

 あいかわらずかっこいいなあ、アラーキー。

 

荒木経惟 写狂老人A
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
会期:~2017年9月3日(日)
開館時間:11:00~19:00
     (金・土曜は~20:00、最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜)、8月6日(日)
入場料:¥1,200
電話:03(5777)8600(ハローダイヤル)
公式サイト

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