BY MASANOBU MATSUMOTO, PHOTOGRAPHS BY YASUYUKI TAKAGI

色彩もジョシュの作品の重要な要素。彼のアトリエには、絵の具の配合比を記したノートがあり(自身はそれを“レシピ”と呼ぶ)、制作を重ねるたびに“ジョシュの色”は増えていく。その数はすでに700色を超えていると話す
<ジョシュ・スパーリングへ10の質問>
―― 作品制作をする日のだいたいのスケジュールを教えてください。
制作する日は、月曜日から金曜日まで。朝、まずコーヒーを飲んで、子どもを保育園に送り届けてから、9時から夕方5時まで作業にあてている。忙しいときは、夜中にアトリエに戻って12時くらいまで仕事をするときも。夜は、アシスタントが帰ったあと、ひとりで作品に向かい合う時間でもあるんだ。
―― あなたのお父さん、おじいさんもアーティストだったと聞きました。影響を受けた言葉は?
特に影響を受けた言葉はなかったね。ただ、父親は、僕が小さいころから作品をつくることをすすめてくれて、絵の具や紙、ノリなどを用意して遊ばせてくれたんだ。当時の作品づくりも、今の自分に影響を与えた要素だと思う。
―― 記憶に残っているいちばん古い物語は?
モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』。主人公と怪獣たちが夜中、森の中でパーティのように踊り、騒ぐシーンがあって、それをよく覚えている。

(左)作品が収納された木箱を開けるジョシュ
(右)幾何学モチーフを組み合わせた“コンポジット”タイプの作品には、まだら模様のディテールも見られる。これは、アメリカのポップ・アートの代表的作家ロイ・リキテンスタインの「コンポジション・ノート」から着想を得たもの
―― いちばん最初につくった作品は?
子どものときから、いつも父親が僕に作品をつくらせて遊んでくれたから、いちばん初めに作ったものは覚えていないね。だけど絵からコラージュまで本当にたくさんの作品をつくったよ(笑)
―― 制作の最中、気晴らしに行くスポットがあれば教えてください。
いま、ニューヨーク州のイサカという小さな田舎町に住んでいて、近くに湖があるんだ。そこで泳ぐのが最高の気分転換。

《Peeping Tom》
2019年、キャンバス、パネルにアクリル絵の具 84×106cm
PHOTOGRAPH BY GUILLAUME ZICCARELLI. COURTESY OF THE ARTIST AND PERROTIN
―― 自宅にある、自慢のコレクションを教えてください
じつは、あまり蒐集癖がなくて、モノを多く持たないのが僕の理想なんだ。あえて言えば、チワワかな。2匹、飼っている。
―― 今、読んでいる本は?
長らく紙の本は読んでいなくて、オーディオブックがほとんど。お気に入りは、劇作家ベティ・スミスの自伝的小説『ブルックリン横丁』、ジョン・スタインベックの『エデンの東』。
―― アート以外で、関心のあることは?
音楽、食べ物、デザイン、建築――たくさんのものごとに興味があるけど、それは創作のインスピレーションにもなっている。
―― 生活において、自分に課しているルールがあれば教えてください。
毎晩、家族と夕食をとること。さきほど5時には仕事を切り上げると言ったけれど、それは家族と過ごす時間をキープするためなんだ。
―― あなたをいちばんハッピーさせることは?
なにより作品が完成したとき。あとは、太陽の下で、ひなたぼっこすることかな(笑)
『Josh Sperling ー Summertime』
会期:7月3日(水)〜8月10日(土)
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
開廊時間:11:00~19:00
休廊日:日・月曜、祝日
電話:03(6721)0687
公式サイト