プラダ 青山店で開かれる『Role Play』展は、分身の創造、自己の拡散などを切り口に、アイデンティティのありよう、あるいはその問題に迫ってきた5組6名のアーティストにフォーカス。“本物の自分”や“理想化された自分”、集団社会のなかで“他者でもある自分”を行き来する現代人の生を浮かび上がらせる

BY MASANOBU MATSUMOTO

『Role Play』|プラダ 青山店

画像: ジュノ・カリプソ《Die Now, Pay Later》2018 COURTESY OF THE ARTIST AND TJ BOULTING

ジュノ・カリプソ《Die Now, Pay Later》2018
COURTESY OF THE ARTIST AND TJ BOULTING

「場所や時代が変わっても、私は変わらず私である」という確信、つまりアイデンティティが代替可能だと言われたら、不思議がる人も多いだろう。しかし、SNSなどリアルではないデジタル上でのコミュニケーション、またオンラインゲームやメタバースで、アバターを通じたアクションが可能な現代において、人は、リアルとは違った分身として生きることができるようになったのも事実だ。

 3月11日よりプラダ 青山店で始まった『Role Play』は、“本物の自分”、“理想化された自分”、社会や集団のなかで“他者でもある自分”の間を行き来するような現代人の自己のありよう、あるいはアイデンティティにまつわる問題を、制作を通じて提示してきた美術家たちにフォーカス。キュレーションは、政治学者で作家のメリッサ・ハリス。

 参加作家は、国際的に活躍するジュノ・カリプソ、ベアトリーチェ・マルキ、ハルカ・サカグチとグリセルダ・サン・マルティンのユニット、澤田知子、ボゴシ・セククニの5組6名。ジュノ・カリプソは、2015年に発表したセルフポートレイト作品「ジョイス」で注目を集めたアーティスト。「ジョイス」という自身が作り上げたキャラクターを装い「女性は美しくあるべき」という理念にがんじがらめになった女性の姿を描いた作品だ。本展では、永遠の生命を主題にした彼女の最新作「What To Do With a Million Years?」シリーズを見せる。

画像: ハルカ・サカグチ、グリセルダ・サン・マルティン 《Typecast Project》2019 COURTESY OF THE ARTISTS

ハルカ・サカグチ、グリセルダ・サン・マルティン
《Typecast Project》2019
COURTESY OF THE ARTISTS

 ベアトリーチェ・マルキは、自身の分身とも言える架空のキャラクターを創造し、その視点で伝統やジェンダーの固定観念を皮肉りながら作品を作ってきた。今回展示する『Never Be My Friend』は、キャラクターのひとり「ケイティ」に焦点を当てたオーディオ作品。

 ハルカ・サカグチとグリセルダ・サン・マルティンのユニットは、「Typecast」と題した写真プロジェクト作品を見せる。これは、米国のエンターテインメント界や映画界における多様性の欠如を訴える作品で、POC(People of Color)俳優が、メイドや移民、凶悪犯など典型的な役柄を演じさせられるケースが多いことを風刺的に表現した作品だ。

画像: 澤田知子 《OMIAI♡》2001 CREDITS OF THE ARTIST, COURTESY ROSE GALLERY

澤田知子
《OMIAI♡》2001
CREDITS OF THE ARTIST, COURTESY ROSE GALLERY

画像: ボゴシ・セククニ 《Consciousness Engine 2: absentblackfatherbot》2014、Bogosi bot Avatar still COURTESY OF THE ARTIST

ボゴシ・セククニ
《Consciousness Engine 2: absentblackfatherbot》2014、Bogosi bot Avatar still
COURTESY OF THE ARTIST

 澤田知子は、日本の伝統的なお見合い写真をフォーマットにし、衣装や化粧、体重を増やすことなどで、30人の異なるキャラクターに変身した『OMIAI♡』シリーズを発表。ボゴシ・セククニの『Consciousness Engine 2: absentblackfatherbot』は、疎遠になっている父親との関係をテクノロジーで再生しようと試みた作品。親子がかつて交わしたチャットの内容をしゃべるロボットの声に、それぞれ3Dアニメーション化されたふたりの顔が同期し、失われた会話を擬似的に生成する。

 展示空間のデザインは、国際的に活躍するクリエイティブ・エージェンシー、Random Studioが担当。個性的なインパクトのあるそれぞれの作品を、光をテーマにしたインスタレーションのなかに構成するという。その空間演出もひとつのみどころだ。

『Role Play』
会期:~6月20日(月)
会場:プラダ 青山店 5F
住所:東京都港区南青山5-2-6
時間:11:00~20:00
会期中無休
料金:無料
公式サイトはこちら

※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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