裸の女性をロボットに見立てて描いた「セクシーロボット」シリーズをはじめ、初代「AIBO」のデザインなどを手掛け、世界中にその名を知られる稀代のアーティスト、空山基。開催中の新作個展「Space Traveler」の見どころをレポートする

TEXT & PHOTOGRAPHS BY HIROYA ISHIKAWA

画像: NANZUKA UNDERGROUND1階に広がる無限の世界

NANZUKA UNDERGROUND1階に広がる無限の世界

「いつだってゴーイング マイウェイ。流行などに目を向けることなく、好きなものだけを描き続けてきました」──そう話すのは、裸の女性をロボットに見立てて描いた「セクシーロボット」シリーズをはじめ、初代「AIBO」のデザインや「IRON MAN」のコミックカバーのイラストレーションなどで、長年にわたり世界を魅了してきた空山基(はじめ)だ。

画像: 内覧会場に顔を見せた空山基氏

内覧会場に顔を見せた空山基氏

 自らをエンターテイナーと名乗る、この稀代のアーティストの新作個展「Space Traveler」が開催中だ。会場は原宿のNANZUKAUNDERGROUND、渋谷のNANZUKA 2G、中目黒の3110NZ by LDH kitchenの3ヶ所。開催期間は会場によって異なる。

 メイン会場となるNANZUKA UNDERGROUNDの1階には、個展でのお披露目は日本初となる、通称 ”インフィニティミラー” と呼ばれる立体作品が6点並ぶインスタレーションが展示されている。これは鏡に囲まれた半円形の空間の中心に浮かぶシルバーのセクシーロボットが、合わせ鏡の奥に無限に映し出されるというもの。

画像: 実在しているのにホログラムのような儚さも感じられるインスタレーション

実在しているのにホログラムのような儚さも感じられるインスタレーション

「昔から金属のテカテカした質感が好きで、それが乱反射する今回のインスタレーションの実現は自分でも嬉しいです。最初は四角い空間をイメージしていましたが、後方部分を円形に変えて天地をつけてみたら、想像以上の強烈な体験になって驚きました。宙に浮かぶロボットと周囲の鏡、さらにそこに映っている虚像が、自分が動くことでズレるから酔ったような感覚になるんです。これはぜひ会場で体験してほしいですね」と空山氏。

 NANZUKAオーナーの南塚真史氏は、このインスタレーションは空山氏の世界観を最もよく理解できる展示だと話す。「作品のイメージが鏡によって無限に増殖していくことで、フィクションとノンフィクションの境界を錯覚させて、その先にある幻想的な光の世界を実体験していただけると思います」

画像: 2階では空山氏の世界観を等身大とも言えるサイズ感で鑑賞できる

2階では空山氏の世界観を等身大とも言えるサイズ感で鑑賞できる

 そして、2階の中央にはセクシーロボットのスカルプチャーが鎮座。これは1980年に登場した雑誌「Number」創刊号の表紙のために描いたイラストを立体にしたものだ。さらに壁面には ”ミクストメディアのキャンバスペイント” と呼ぶ大型の作品とCGを使った映像作品が展示されている。

「 ”ミクストメディアのキャンバスペイント” は、原画を大きくプリントして、その上から新たに描くことで一点もののオリジナル作品に仕上げたものです。日本で人間の背丈以上の大きさのペインティング作品を発表するのは初めてのことになります」と南塚氏。

画像: モササウルスをモチーフにした新作

モササウルスをモチーフにした新作

 作品の元になった原画は「IRON MAN」のコミックカバーやサントリーの広告ビジュアルに使われたものから、恐竜のモササウルスをモチーフにして描き下ろされた新作までさまざま。サイズが大きいこともあり、非常に見応えのある展示になっている。

画像: Hajime Sorayama Sexy Robot_Spece traveler ⅙ scale 2023

Hajime Sorayama Sexy Robot_Spece traveler ⅙ scale 2023

 また、今回の展覧会に際して新作edition作品「Sexy Robot_Spece traveler ⅙ scale」を発売。鏡面仕上げのロボットはもちろん、その周りも鏡面に囲まれているので、1階のインスタレーションのような無限に広がる世界を楽しめる。こちらは限定100点のedition作品で、価格は650,000円(税込)。会場に現物が展示されているのでチェックしてみては。

画像: 2階にはCGによる映像作品も展示されている

2階にはCGによる映像作品も展示されている

「1階のインスタレーションのように、昔は自分ではできなかったことを超一流の人たちの力を借りることで実現できるようになったから、嬉しくて仕方がないですね」そう話す空山氏。「自分はアートを学校で学んだわけではなくて、ずっと独学でやってきたから、制作手法にしても色使いにしてもタブーがないんです」とも。「Space Traveler」は、年齢やキャリア、名声を重ねてもなお、自由な感性で新たな挑戦を続ける空山氏の底知れぬパワーをも感じられる展覧会となっている。

空山基「Space Traveler」

会場:NANZUKA UNDERGROUND
会期:2023年5月28日(日)まで
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目 30-10
電話:03-5422-3877
時間:11時〜19時
休廊日:月曜・火曜 ※ゴールデンウィーク期間は営業

会場:NANZUKA 2G
会期:終了日未定
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2階
電話:03-5422-3877 (NANZUKA)
時間:11時〜21時
休廊日:無休

会場:3110NZ by LDH kitchen
会期:〜2023年5月27日(土)
住所:東京都目黒区青葉台1-18-7
電話:03-5422-3877 (NANZUKA)
時間:11時〜16時(金曜・土曜〜17時)
休廊日:日曜、月曜、火曜、祝日

公式サイトはこちら

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