コンテンポラリーな時計ブランドであるロジェ・デュブイと、生きる伝説と評される現代アーティスト空山基がタッグを組んだ腕時計が発表された。無機質な機械式時計に空山が魂を吹き込むことで、艶めかしく時を刻み続ける時計が誕生。その制作秘話に迫る

BY KANA ENDO

限界へ挑戦し続けるウォッチメーカー、ロジェ・デュブイ

 ロジェ・デュブイは、多くの時計にジュネーブシールを取得しているマニュファクチュールだ。そう聞くと伝統的でクラシックな時計を作るメゾンと思うかもしれないが、ロジェ・デュブイは先進技術や革新的素材を取り入れた現代的な時計を提案している。多くのモデルがスケルトン構造で、トゥールビヨンを搭載したモデルや、モータースポーツとの繋がりも強い。

 また近年は、アーティストとのコラボレーションにも積極的で、2021年には世界的に有名なタトゥーアーティストであるDr.Woo、2022年にはフランスのグラフィティアーティストであるGullyとのコラボレーションモデルを発表している。自らをハイパーオルロジュリーと称し、これまで見たことのない革新的な時計作りに挑戦し続けるロジェ・デュブイの新たな挑戦が、最新のコラボレーションモデルで結実した。

画像: 2022年に発表したエクスカリバー Gully モノトゥールビヨンは、蓄光性のカラーラッカーでスプレーペイントに着想を得たGullyの文字を表現

2022年に発表したエクスカリバー Gully モノトゥールビヨンは、蓄光性のカラーラッカーでスプレーペイントに着想を得たGullyの文字を表現

機械に魂を吹き込む空山基のクリエーション

 今回ロジェ・デュブイとコラボレーションしたのが、現代美術家の空山基だ。両者とも限界に挑戦し続け、既成概念を打ち破るという価値観を共有していることから、コラボレーションが実現した。空山といえば、その驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求した作品で伝説的存在となっているアーティストで、女性の人体美をロボットで表現した「セクシーロボットシリーズ(1978〜)」でその名を世に知らしめた。またエンターテインメントロボット「AIBO(1999)」のコンセプトデザインを手掛け、昨今は多くのファッションブランドともコラボレーションを行っている。

 今回のコラボレーションモデルは日本限定。ゆえ、ロジェ・デュブイの日本チームが実際に空山のアトリエを訪ね、一からやり取りを重ねることで、空山のこだわりを十分に反映したモデルが完成したという。

画像: 今回のコラボレーションでは、制作チームが実際にアトリエを訪ね、何度もやり取りを重ねることで、空山のこだわりが詰まったモデルが完成した

今回のコラボレーションでは、制作チームが実際にアトリエを訪ね、何度もやり取りを重ねることで、空山のこだわりが詰まったモデルが完成した

両者の世界観が見事に融合したコラボレーションモデル

 コラボレーションのベースとなっているのは今年発表された「エクスカリバー モノバランシエ」だが、コラボレーションモデルである「エクスカリバー モノバランシエ ソラヤマ」は、オリジナルとはまったく異なる印象を受ける。まず目につくのは美しくポリッシュ仕上げされたケースとブレスレットだ。しかもチタン製ゆえ手に取ると非常に軽い。フルポリッシュ仕上げのケースとブレスレットの採用はロジェ・デュブイでは初めてで、絶妙な角度でエッジを落としたブレスレットは、有機的な輝きを放ち、まるで空山の作品である“セクシーロボット”のようだ。

「アート作品でもコラボレーションワークでも、基本的にすべては“セクシー”であることが絶対条件。このモデルのスケルトン文字盤もそうだし、そこから透けて見える歯車の動きは実にセクシーだね。目覚まし時計を分解して組み立て直すことに夢中だった子どものころから、機械なのに生命感のあるゼンマイの動きに魅了されていたのかもしれない。」(空山)

画像: 「エクスカリバー モノバランシエ ソラヤマ」 非常になめらかな質感のケースとブレスレット。チタンとは思えないほど艷やかな仕上がり

「エクスカリバー モノバランシエ ソラヤマ」
非常になめらかな質感のケースとブレスレット。チタンとは思えないほど艷やかな仕上がり

画像: ケースに刻まれるROGER DUBUISのロゴも、空山フォントが採用されている

ケースに刻まれるROGER DUBUISのロゴも、空山フォントが採用されている

 また「エクスカリバー モノバランシエ」はマイクロローターを文字盤前面に配置しているのが特徴だが、本作ではそのマイクロローターが中心から放射線を描くパーツで覆われており、ここにはある仕掛けが隠されている。なんとローターが回るとモアレ効果が生じるのだ。そしてこのモアレ効果はガーターベルトに着想を得ているという。

「ガーターベルトには二重になるところがあって、女性が動くたびにモアレが発生する。あれがとってもエロティックで。腕時計でこんな表現にこだわる人なんていなかったはずだよ。構造的にはまず無理だろうなと思っていたんだけど( 笑)、ロジェ・デュブイの優れた職人が実現させてしまった。」(空山)

マイクロローターにピラミッド状のギョーシェを施した金属パーツを取り付け、その上にラインが描かれたサファイアガラスを設置。ローターが動くたびに、線と線が干渉し、モアレが生じるというわけだ。精緻なパーツで構成される機械式時計の中に、ゆらゆらとうごめく有機的なモアレ生まれ、そのアンバランスさに目を奪われる。

画像: マイクロローター上部に配されたサファイアガラスに描かれるラインは、モアレが最も美しく生まれる本数にこだわり、何度も試行錯誤を繰り返したという。6時位置にはSORAYAMAのロゴも配される

マイクロローター上部に配されたサファイアガラスに描かれるラインは、モアレが最も美しく生まれる本数にこだわり、何度も試行錯誤を繰り返したという。6時位置にはSORAYAMAのロゴも配される

 さらに、ロジェ・デュブイのアイコンである星型のパーツにも空山らしさを備える。これまでこのパーツはゼンマイを支えるムーブメントの一部で自在に手を加えることは難しかったが、「エクスカリバー モノバランシエ」では、デザインを司るパーツとなったので、ここにもポリッシュしたパーツを採用。その形状にはほぼ手を加えず、仕上げ変更のみに留めることで、ロジェ・デュブイのアイコンをキープしつつも、空山らしさを加えることに成功している。

「性能に妥協することなく、これほどまでに表現力の高い傑作を実現し、さらに限界に挑戦してモアレを作り出したことには感動すら覚える。 そもそも最初から着地点が見えているものなんて誰も興奮しないでしょ? ましてや自分の過去作品の焼き直しなんて、ね。職人たちだって同じはず。クリエイティブって、びっくりさせることなんだから」という空山の言葉からもわかるように、本作からはマニュファクチュールであるロジェ・デュブイへのリスペクトが感じられる。普段は時計をあまり着けないという空山だが、伝統的な機械式時計を尊重し、そこに既成概念を打ち破る仕掛けを周到に組み込んだ本作は、巷に溢れるコラボレーションアイテムとは一線を画し、機械式時計を身につけられるアート作品へと見事に昇華している。

 時計という無機質な物質が、空山により魂を吹き込まれ、有機的な色気を纏う本作。間違いなくレアモデルとなると思われるが、もし実機を手に取る機会があれば、ぜひその艶めかしさを体感して欲しい。

画像: エクスカリバー モノバランシエ ソラヤマ <42㎜/チタンケース、自動巻き、チタンブレスレット、100m防水。日本限定28本>¥8,030,000/ロジェ・デュブイ ロジェ・デュブイ 銀座ブティック TEL:03(5537)5317 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ROGER DUBUIS

エクスカリバー モノバランシエ ソラヤマ <42㎜/チタンケース、自動巻き、チタンブレスレット、100m防水。日本限定28本>¥8,030,000/ロジェ・デュブイ
ロジェ・デュブイ 銀座ブティック
TEL:03(5537)5317
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF ROGER DUBUIS

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