BY CHIE SUMIYOSHI PORTRAIT BY KIKUKO USUYAMA
ヴァン クリーフ&アーペルが2020年に立ち上げたモダン/コンテンポラリーダンスのメセナ活動「ダンス リフレクションズ」。世界各国で好評を得てきたそのフェスティバルが、今秋日本で開催される。最新鋭のダンスカンパニーの公演をはじめ、多彩なプログラムを統括するディレクターのセルジュ・ローランは、長年パリのポンピドゥー・センターの舞台芸術企画部門の責任者を務め、2019年より「ダンス リフレクションズ」を牽引してきた。
「メゾンの歴史でも、バレエをはじめダンスはインスピレーションの源でした。パフォーミングアーツは常に時代精神を反映してきましたが、特にコンテンポラリーダンスは現代芸術の先鋭ともいえます。今回のプログラムにもコンセプチュアルな作品や抽象性の高い作品がありますが、異国で未知の文化に出会う旅の始まりのように、理解するよりもまず自由に感じて持ち帰ってほしい」とローランは語る。
プログラムの中でもまずチェックしたいのが、クリスチャン・リゾーがイスタンブールの路上で目撃した男たちの舞踊から着想を得たという作品だ。「戦いではなく降参のダンス。この時代を生き延びるための新しい男性像の提案だと思います」とディレクターの一人、佐藤まいみは読み解く。また世界的に注目される若手コレクティブ、(ラ)オルドはフランスの電子音楽家と協働し、大規模な作品を上演。「ポストインターネットダンス」と称する彼らは、ネット上のダンスや動画をもとに、映像やダンスが交錯する作品世界を展開する。
いずれも社会の動きを捉えた質の高い作品が揃う本フェスティバル。近現代の芸術史をさかのぼれば、印象派の絵画もピナ・バウシュのダンスメソッドも当時は前衛的すぎてスキャンダラスですらあった。多様化とともに激動する時代だからこそ、人間の行方を予見するダンスの最突端に触れてみたい。
『ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル』
会期:2024年10月4 日〜11月16日 会場:京都芸術センター、ロームシアター京都、京都芸術劇場 春秋座、彩の国さいたま芸術劇場 公演:アレッサンドロ・シャッローニ、(ラ)オルド、オラ・マチェイェフスカ、クリスチャン・リゾー、マチルド・モニエ&ドミニク・フィガレラ、ラシッド・ウランダン、マルコ・ダ・シウヴァ・フェレイラ。アーティストによるポストパフォーマンストークや多彩なワークショップも多数実施される。
『その部屋で私は星を感じた』
会期中、写真家オリヴィア・ビーの作品展がKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭と共同で開催される。
会場:ASPHODEL(アスフォデル)ギャラリー
開催時:12:00~21:00
休館日:月曜
お問い合わせ先:ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
TEL. 0120-10-1906