BY MIYUKI NAGATA, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO
10分間、ただつけるだけの手軽さで、大ヒット商品となったウェアラブル美顔器「メディリフト」。人気のあまり最長で4カ月待ちになったというこの製品は、なぜこんなにも人々の心をつかんだのか? 開発を手がけたブランド戦略本部 マーケティンググループの吉田 誠さんにお話を聞いた。
「開発のきっかけは、“美容機器は使えば効果が実感できるけれど、使い方が難しかったり、面倒で続かない”というお客さまの声でした。それなら、お客さまは何もしなくてもケアできる美容機器を作れないだろうか? その発想から、顔に装着するマスク型の形状に行きついたのです」
機器に搭載するのはEMS(Electric Muscle Stimulation)という技術。通常、体を動かすときは、脳からの電気信号が神経を通って筋肉に届いて筋肉が動く。この技術は、脳からの信号の代わりに外部からの電気信号で、筋肉に運動をさせるというものだ。「体の筋肉と同じように、顔の筋肉も使わないと衰えてしまいます。ただ着けているだけで顔の筋肉をトレーニングできて、引き締める。そんなウェアラブル美顔器として、メディリフトの開発はスタートしました」
最初の難関は、マスクの素材と形状だった。「さまざまな素材、形を検討しました。布を使う案や、耳にかけるマスクの形状も検討しましたが、EMSを効果的に使用するにはフィット感が重要で、電極部分が皮膚に密着しないときちんと働きません。いろいろ試して医療用のシリコーンに行きつきました。バンドも最初は後ろ側だけでしたが、あごの下から頭頂部へ引き上げるバンドを追加してフィット感を高めました。バンドの素材は硬すぎると苦しいし、やわらかすぎるとちぎれる可能性があります。トライ&エラーを重ねて、後頭部で留めるバンドと頭頂部で留めるバンドで、それぞれに最適の硬度を追求しました」